英国聖公会、緑とオーガニックの改革

英・インデペンデント紙、2005年2月3日


カンタベリー大主教、「緑の改革」で地球を救うよう教会に要請

 英国聖公会は、聖餐式で用いるパンとぶどう酒をオーガニックのものに切り替える、教役者は廃棄物のリサイクルを行うようにする、教会関係のフェスティバルではフェアトレードの商品を販売するようにするなど、地球に友好的な政策を発表し、緑の改革を行う。

 月末に行われる英国聖公会総会では、英国が地球温暖化問題に取り組むような要請が出され、カンタベリー大主教のローワン・ウィリアムズ師が、今以上の緑の豊かな世界を、という彼のビジョンを打ち出す。

 総会代議員に配布された会議資料によると、英国聖公会では、世界の気候が臨界点に近づいていると認識にしている。同聖公会は、「もし臨界点に達してしまったら、世界の気候のシステム、土壌、水、生物に起きている急激な変化は、壊滅的な結果を招くことになる」と警告する。そして、仮に「環境の壊滅」が切迫していないにしても、「限界のなき発展を抑制すべきことを、悟らなければならない」と指摘する。

 『Sharing God's Planet』と題された会議用のレポートによると、「現にある大規模な成長によって、さらに不正義が生み出されている。世界の3分の2の人々は食料が不足しているというのに、3分の1の人たちの中には、体重を落とすことに懸命な人たちも少なくない」。

 ウィリアムズ主教は、このレポートが、工業化が地球温暖化による環境破壊をもたらしている、という主張を具体的に示すものでもあると紹介している。彼は、キリスト者が「持続可能な消費」を採用するよう、求めている。それは、「神の創造の全ての部分を賛美し配慮する務め」である、という。

 総会では、温室効果ガスの削減を義務付ける京都議定書が発効する翌日、2月17日に、この議論が行われる。教会は、議定書から離脱した米国のような国を批判するものである。

 2つ目の環境問題に関する議題において、総会は、京都議定書は不十分である、と認識することを求める、というものである。「各国が自国の利益のために(アメリカは、署名を拒否した国の中でも著しい)せめぎあってしまったため、批准までに長い時間がかかった。そして、その目標は、本来必要なものからは遠ざかってしまった。」

 こうしたことと同時に、キリスト者は、『ボディショップ』の働きを評価すべきことが求められている。『ボディショップ』は、買物において商品を選ぶときに、倫理的に考えることを人々に求めるという、「勇敢なる異例」として記されている。

 そして、英国聖公会は、各教会に環境に友好的な政策を提案する、独自のキャンペーンを始める予定である。

 各教会に対しての具体的なアイデアとしては、リサイクル、カー・プーリング(自動車の共同利用)、教会のフェスティバルやバザーなどでのフェアトレード商品の販売、などの立案である。教役者には、礼拝において、オーガニック(有機栽培)のパンとブドウ酒など、自然のものを用いることが強く求められることになる。『haring God's Planet』の序文において、ウィリアムズ主教は、各教会に「環境監査」を行うことを呼びかけている。「もし、私たちの声が誠実であるべきならば、教会の中での応答は、決定的に重要である」と、ウィリアムズ主教は付け加えている。

 総会は、1986年に環境問題について討議しただけで、1992年以来討議してこなかった。議題文章は次のように付け加えている。「環境問題について総会で議論することは時機にかなったものである。環境危機の増大の問題に、大至急取りかかるべきである、との気づきは高まっている。G8の現在議長国の政府見解としての優先順位の高いものの一つが、気候変動の問題であり、EU議長となるにあたってもそうした問題が盛り込まれることが予想され、政治的な文脈においても好機である。」


2005年2月14-17日、英国聖公会総会 は、上記のレポート「Sharing God's Planet」を、キリスト者の環境に関する思想と行動に貢献するものとしてを推奨する決議を採択した。2008年の総会に、各教会や教区などの環境監査の報告が提出される予定である。