成熟社会とは何か?
〜これからの聖ルカ教会/聖ルカセンターの取り組むべき課題〜
池住義憲
ドイツの北部のニーターザクセン州は2年前(1995年)、州法を改正し、ハノーバー市など州内の市町村選挙の選挙権を18歳から16歳に下げた。初めての「少年少女の投票」が実現したのは1996年9月の統一地方選挙だった。少年少女の投票率は56.5%で、市平均と同じだった。ハノーバー市といえば、2000年ハノーバー万博開催問題で住民投票を1992年に実施したところだ。結果は万博開催反対票が48.5%もあり、万博計画の大幅な修正・変更を余儀なくさせられたところだ。
ドイツの国政選挙権は、戦後21歳以上と定められていた。が、1972年に18歳以上に改められた。1960年代後半、フランスの五月革命を口火に欧州全域に広がった若者たちの「異議申し立て(アドボカシー)」を背景に、1970年代に入って選挙権年令を引き下げる国が相次いだ。各世代がバランスよく参加できる意志決定システムを考えないと民主主義がゆがんでしまう、との危機感からだ。それと、若者と政治をつなぐ新しい試みでもあった。
さて、日本はどうか。投票による意志表明権を持った者(有権者)は、依然として20歳以上に限られている。20産未満は未熱で、法的な責任もとれない”子ども”だ、との判断からだ。本当にそうだろうか。このような考え方で、これからもいいのだろうか。
『投票日において愛知県に住所を有する者であって、前条に規定する告示日の前日までに愛知県に三ヶ月以上在住していることが住民票によって確認されるものであって、告示日の前日に満16歳以上の日本国民であるもの。」
これは、2005年に愛知県瀬戸市「海上の森(かいしょのもり〉」で万博を開催することの賛否を問う県民投票条例案の一部で、投票資格者を規定した条項だ(第五条第三項)。去る6月12日の博覧会国際事務局(BIE)総会での決定は、BIE公認による2005年の万博開催県を愛知県に与えたのであって、万博をやるかやらないかは県民が決めることだ。少なくとも県民の意思を聞いてから決めるべきだ。それが「民主主義」というものだ。わたしたちは、そうした想いから、去る10月8日から12月7日までの2ヶ月間、県民投票条例制定請求のために12万人を目指して署名集めを行なった。県民投票告示日の前日で16歳以上の日本国籍と外国籍を有する県民(愛知県に3ヶ月以上在住している者)を投票資格者として。
万博開催で影響を受けるのは外国籍住民も日本国籍住民も同じだ。20歳以上であろうと20歳未満であろうと同じだ。特に、万博開催による大規模な自然破壊は、次世代、次々世代に与える影書は大きい。ならば、なおさら次世代の少年少女の意思を聞く必要がある。十分な情報を公開して。
成熱社会とは何か?それは、”大人”が”子ども”の声、意思をどれだけ尊重しているかによって計られると言っても過言ではない。尾張旭市にあって、この聖ルカ教会/聖ルカセンターが成熟社会を創る拠点となることを私は期待したい。そこから、私たちの取り組むべき課題が見えてくる筈だ。