”激安”衣料品を考える
  〜グローバライゼーションの中での民衆のつながりの視点 から

2001/7/1 喜多幡佳秀(APWSL日本委員会)

(1)はじめに
APWSL(アジア太平洋労働者連帯会議)日本委員会について
*「草の根の労働者国際連帯」をめざす、各国の労働組合・労働NGOのネットワーク、15カ国
*スリランカの輸出加工区での組織化、インド・バングラデシュの繊維労働者の交流 etc
*日本の労働運動のあり方を考え直す

 

(2)”ユニクロ現象”をどう考えるか?
[ユニクロの概要]
2000年8月決算:売上げ 2289億円(前年比2倍)、経常利益 604億円(同4.3倍)、純利 益345億円(同5倍)、店舗数480。製造・小売の一貫システム、中国の約90の工場で委 託生産。

*新自由主義的グローバライゼーションの申し子
*米国のGAP、英国のH&Mをモデルに
*効率とコストと品質管理の徹底
*「小泉ブーム」との共通性、既存秩序に対する挑戦

”ユニクロ現象”がもたらす影響
*企業間の淘汰の激化、寡占化の一層の進行、とくに流通・小売産業において
*巨大多国籍資本による流通・小売産業の支配への露払い
*「1人勝ち」ゲームの危うさ(不健全さ!)
*店舗拡大、英国進出・・・、いずれはダイエーの二の舞?

 

クイズ
1)世界の繊維・衣料・履物産業の労働者の数は?
  (1)約3000万人(2)約1000万人 (3)約300万人
2)日本の繊維製品の国内需要に対する輸入品の割合(金額ベース)は?
  (1)50% (2)70% (3)80%

*中国における労働者の状態
・賃金が日本の 1/20 (1日1ドル程度)
・農村からの人口流出、国営企業の整理の中で膨大な失業者の存在
・国家から独立した労働組合が存在しない
→ユニクロにとって有利な条件

*起こりうる問題(一般論として)→モニターが必要
・市場の動向への迅速な対応→長時間労働の強制
・品質管理の徹底→「ストレスによる管理」の導入、労働者に対する日常的なコン ロール
・染料・化学薬品等の安全性
・リスクとコストの生産者への転化(契約業者をいつでも切り捨てできる)
・秘密主義

*過去の進出企業の例
・韓国スワニーの工場閉鎖(移転)をめぐって
・フィリピンのバターン貿易自由地区

(3)衣料産業における国際競争
*中国製品に対するセーフガードについて

クイズ
1)「セーフガード」とは
日本タオル工業組合連合会が中国からの繊維製品の輸入に対するセーフガードを申請した。セーフガードとは、(1、「関税暫定措置法」、2、1997年のG8合意、3、WTO繊維協定)に基づく緊急輸入制限措置で、業界団体から申請があった場合に政府が調査を開始し、(1、3カ月以内、2、6カ月、3、1年)以内に発動を決定する。期間は(1、1年間、2、3年間、 3、任意)、輸入量を1年目は(1、前年より1割減、2、前年と同じ量、3、任意)に制限する。過去に日本は(1、1度発動した、2、2度発動した、3、発動したことがない)。
2)日本の繊維産業
88年に繊維業者は約14万、従事者数は約259万人、98年には、繊維業者は(1、約9万4千、2、約7万2千、3、約4万9千)、従事者数は(1、約220万人、2、約200万人、3、約180万人)

*セーフガード
・必要な措置だが、効果はないだろう日本の繊維産業を脅かしているのは中国ではなく、日本企業である
 (農業の切り捨てと同じ構造)
・政府は自国産業を保護する責任がある
 (米国やヨーロッパ諸国も、自国産業保護のために膨大な補助金をつぎ込んでいるし、日本政府も金融機関の救済のために莫大な支出を行ってきた)

*「底辺に向けた競争」
・タイの衣料産業における争議の多発
・インド、スリランカにおける動き
・バングラデシュの衣料産業
→「コスト競争で勝ち抜く」という展望は成り立たない!

*「適正な価格」(生産地における持続的雇用や地域経済への貢献、安定的供給や環境保護の視点も加味した価格でなければならない)で、消費地に近い生産地から優先的に購入するというルールが必要。大量生産・遠距離輸送・大量廃棄の環境への負荷が考慮されない「自由競争」ルールを放置するべきでない。

◎クイズ
これは何の数字ですか? 以下から選んでください。
a.1300億ドル、b.1054億ドル、c.503億ドル、d.353億ドル、e.290億ドル

1、米国の貿易赤字(2000年)、2、ポルトガルのGDP(1998年)、3、ビル・ゲーツの資産(1999、保有するマイクロソフト株式の株価から算出)、4、ウォールマートの年間売上 (2000年)、5、バングラデシュのGDP

(4)多国籍企業の活動を規制しなくていいのか?
*新自由主義的グローバライゼーション=「投資の自由」と「投資の保護」
・多国籍企業の利益が国内法よりも優先される
・輸出加工区
・MAIの失敗→WTOと地域投資協定、2国間投資協定

*多国籍企業をめぐる人権、環境問題についての批判の高まり
・OECDのガイドライン

*「発展途上国」の労働問題をめぐって
・NAFTAの「社会条項」(「労働条項」)→WTOシアトル会議でも最大の焦点の1つに
・児童労働
・国際自由労連の「社会条項」、ILOの「コア条約」(強制労働の禁止、差別の禁止、団結権の保証等)

*「企業行動基準」(Code of Conducts)
・消費者運動の圧力
・反スウェットショップ運動

(5)グローバライゼーションと日本企業:フィリピンとインドネシアで大変なことが起こっている!

トヨタの空前の利益はどのようにもたらされたのか・・・
*フィリピン・トヨタ
*インドネシア・カデラ社(トヨタ系列・アラコ社の子会社)
自動車産業の国際的再編の暴力的展開
上記のほかにも、韓国の大宇自動車の争議をめぐる弾圧とGMの圧力
これらの国における現在の労働争議は、民主化の試金石である。国際連帯・支援を!

(6)まとめ
「競争社会」に未来はあるのか?、「競争社会」に未来を委ねていいのか?
「効率とコストと品質」の暴走
働く権利、人間の尊厳を基本に、今の社会のあり方を考え直すべき時

 

 

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