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篠田 恵見/医療班
昨年の暮れ、初めて炊き出しに参加しました。夜8時頃になると、地下鉄構内にどこからともなく集まり、雑炊の来るのを、整然と一列に並んで待っている人々。その人数の多さにまず驚きました。毎年炊き出しに関わる人はほぼ決まっているようですが、集まってくる労働者もまた顔なじみが多く、毎年恒例の行事といった感を受けました。これまで炊き出しに対しては奉仕のイメージが強かったのですが、参加してみて、名古屋のそれは、キリスト教各派の信者や、労働者の中から問題意識を持ち、自ら社会へ働きかけようとする者等の協働作業であり、単なる奉仕活動とは言えない性質であることが分かりました。そしてこれらの人々の間に生まれるユニークな人間関係が、継続するエネルギーの源となっているのではないかと思います。
さて、私に与えられた仕事は、医師と簡易診療所を開き、色々な身体症状を訴えてくる人の問診をとったり、血圧測定、尿検査及ぴ軽い外傷の手当て等をすることでした、アルコール常飲者はかなり多く(ほとんどといってよいか?)酔いのため訴えも聞きとりにくく、又本人も訳が判らないなど、病院の診療とは違う難しさを感じました。主な疾患は、高血圧症、糖尿病、アルコールによると思われる肝臓病など慢性のものが多く、病院への紹介状もかなりの枚数を必要としました。
ある労働者は、血圧が210〜120mmHg程もあり、即受診するよう勧められたが、ラバウルから密入国しているため、身分が知られて強制送還されることを恐れ、絶対に医者へは行かないということでした。又、土建業者に、賃金未払いの請求に行ったところ、逆に乱暴され、胸や腹に打撲症を受けている者もありました。ここには、単にけがや病気の手当てだけでは解決できない根深い問題があることを学ばされ、それは、昨年訪れたフィリピンのスラム街が抱えている苦悩と共通している点があるように思います。今回の短い参加を通して、奉仕とか協力は、それを受ける人達が真に主体的に自らの問題に取り組んでいけるような働きかけを行なうことが必要であると考えさせられました。真の隣人になることの難しさを改めて思い知らされています。

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