日本聖公会中部教区・名古屋学生青年センター
「社会保障・社会福祉をめぐる最近の動きと
『オルタナティヴな教育』」
初出:1998/5 発行 『こえ』 No.35
ささしま・野宿労働者と共に
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池住 義憲/名古屋聖ステパノ教会信徒

 社会保障・社会福祉をめぐる最近の動きはめまぐるしい。いや、恐ろしい動きになっている。昨年11月に成立した財政構造改革法は、社会保障、社会福祉、教育などの生活予算を向こう3年間連続して自動削減する、というものであった。98年度の社会保障予算は、昨年度の社会保障水準を維持するのに必要な額を、 5,500億円も削減されている。そして、99年度と2000年度の社会保障予算は、対則年度2%を上回らないという「キャップ制」を敷いた。しかし、さすがにこのことについては大きな批判があり、去る4月、政府は 99年度に限ってこれを凍結するという閣議決定をした。
 厚生省は今後、抜本「改革」と称して (1) サラリーマン本人3割負担 (2) 大病院の外来5割負担 (3) お年寄りは1、2割の定率負担のうえ、健康保険の被扶養者になっている低所得者からも保険料を取りたてることなどを打ち出している。一方では、公共事業の長期計画は1年あたりの事業費を前より増やし、軍事費も、依然ほぼ5兆円規模を確保している。
 消費税増税、2兆円規模の医療費負担増(1997年 9月から)に続くもので、社会的に困難な状況に押しやられた人たちをさらにムチ打つようなものだ。
 去る3月31日に閣議決定した「新規制緩和推進三ケ年計画」(1998年度-2000年度)では、15分野・624項目にわたって医療・福祉の分野で「改革」が謁われている。たとえは、高齢者介護に関する社会福祉事業や、児童の保育に関わる福祉サービスについては民間企業の参入がはかられ、民間企業と社会福祉法人とが「同等」の基盤に立つことができるように、各種の規制緩和および競争的環境の整備を検討し、99年度に結論を出す、としている。個々人の「自助」原則を前面に出して、社会保障・社会福祉の公的給付を抑制し、一定水準以上のサービスについては、民間業者の参入を図ることにしている。この結果、低額所得者・日雇い労働者・非正規雇用の労働者・過疎地域の住民 (いずれも外国籍住民を含む)などへの影響が深刻になる。これは、貧困層・低所得層の切り捨てだ。
 保健・医療・福祉サービスを受ける機会の均等性・公平性の崩壊である。
 この動きはおかしい。社会保障・社会福祉の基本原則は、一般の経済活動とは大きく異なっている。
 社会保障・社会福祉分野では、サービスの供給主体は園や自治体などが公的責任として、事業を運営することが基本原則である。すなわち、生活上の困難に直面したり、疾病状態にあるか、または、介護・援助を必要とする者を対象とする事業であるので、日本国憲法は、国民の生存権保障(憲法第25条)を基礎として、社会保障・社会福祉の推進は国の公的責任である、と明文で定めている。また、すべての者に到達可能な、最高水準の身体および精神の健康を享受する権利を保障する国際権利条約(A規約第12条)にも違反する。現在進められている社会保障・社会福祉分野での法制度「改革」と「規制緩和」の論議と方向は、そうした基本原則そのものを崩すことになっている。
 さて、私たちはこれにとう対処するか。名古屋学生青年センターは、創立40周年を機に、「オルタナティヴな教育」を目指したシンポジウムやワークショップを開催してきている。その目的は、社会保障・社会福祉などをめぐる最近の「おかしい」動きや、園内外の状況・問題に立ち向かい、それを変革していく「仲間」を増やすことだ。
 「オルタナティヴな教育」は、それを可能にする大切な「場」であるのだ。

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