キリスト教あれこれ (11)
―キリスト教にまつわる豆知識―


リンカーンの演説

 「人民の、人民による、人民のための政治…」。この演説は、南北戟争の激戦地となったゲティスバークで戦没者を祀った国立墓地の開所式での、わずか272語、3分足らずの短い挨拶の中の言葉で、これが世界に知られる名演説となった。1863年11月19日のことである。

 リンカーンはいろいろな演説の中で、たびたび聖書を引用して語っている。1858年6月の共和党大会では「分かれて争う家は立たず」(マコ3:25)と党の一致を訴え、また第2次大統領就任演説(1865年3月4日)では「額に汗して得たパン」(創3:19)、「他人を裁くな」(マタ7:1)、「この世の躓き」(マタ18:7)、「主の裁きは真実」(詩19:10)などの言葉を引用し、この演説は教会での説教を思わせる。(リンカーン演説集、岩波文庫)

リンカーンの切手
演説の言葉が書かれている

切手の図
 このリンカーンの「人民の、…」は、実はリンカーンのオリジナルではない。ウィクリフの聖書の序言に始まる。その言葉を最初?に引用したウェブスター(1782〜1852、雄弁家、政治家)、さらにそれを引用したパーカー(1810〜1860、牧師、雄弁家、黒人解放運動家)と順次引用され、リンカーンによって世界的な名演説となったのである。ウィクリフの序言では、「この聖書は人民の、人民による、人民のための統治に資するものである」となっている。参考までに原文は「This Bible is for the government of the people, by the people, and for the people」となっている。(英米故事伝説辞典、富山房)

(2001.10)

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(c)NSKK Diocese of Chubu, Last updated on 9/4/2003