第483号(1999年10月)
朝の連続テレビ小説「すずらん」がついに終わりました。
昨年暮れ、留萌への巡回の途上、大雪の中、撮影中の明日萌駅(恵比寿駅)を通り、
また、今年の五月、稚内の帰りに留萌駅で「すずらん」に登場する蒸気機関車を見たこと
もあり、北海道が舞台のこのドラマを毎朝欠かさず見続けました。
涙を流したり、大声を上げて泣きたくなることがよくありました。今、思いますと、
涙と関連する三つのことがあります。
まず北海道の大自然の厳しさと美しさです。神様が創られたこの大自然に、人間だけが
調和できない悲しさ。人間を遥かに越えた神聖な大自然に、ため息と涙が出るのです。
二つ目は、蒸気機関車。私の幼少時代は、まさに蒸気機関車と共にありました。シュッ
シュッと息をはき、それが出発や坂では大きく喘ぎ、また私の心にまで響くもの哀しい
汽笛。生きているかのような蒸気機関車は、私の帰れない昔を思い出させ、懐かしさと
せつなさで胸をいっぱいにさせるのです。
そして、何よりも感動するのはこのドラマの登場人物。一人ひとり、みんないい人。
憎ったらしい人がいたり、意地悪な人がいても、結局それらの人は、本当のところ愛す
べき人だということがわかるのです。どんなに苦難や試練が訪れようと、みんな深い
ところで愛し合い、信じ合っている。人間が孤独で哀しい存在であるがゆえに、人は
他の存在を必要とし、また自分も必要とされている。それを象徴的に表したのが明日萌
駅だったのです。私にとって、帰るべき明日萌駅はどこなのか考えています。
主教ナタナエル 植松 誠