第485号(1999年12月)
教区会 主教告示
本日、ここに北海道教区第58(定期)教区会を開催できますことを,主なる神様に感謝いたします。また、昨日はそれぞれお仕事など終えられた後お集まりいただき,また本日の休日も返上して教区会のために時間と労力をお捧げくださいました教役者・信徒の皆様に深く感謝申し上げます。広い北海道教区で、全教会の代表者が共に集うことは、困難なことですが、このように年に一度,私たちが集められ、祈り、賛美し、また教区の平安進歩に関することを話し合う中で、イエス・キリストを主と信ずる家族の絆が深められ、協働してこの地に福音を宣教する勇気と希望が与えられますよう、聖霊のお導きを心から願うものです。
この1年間も皆様のお祈りとお支えにより、無事に守られ、この教区会の日を迎えることができましたことを、教区主教として心より感謝申し上げます。この1年間を顧みますと、日本の経済状況はまだまだ不況から脱することはできず、特に北海道では景気の落ち込みや失業率の上昇など厳しい状況が続いています。このことは教区の信徒の生活に大きな影響を与えていますが、教会・教区も厳しい財政を強いられています。しかし、そのような中で、教区はこの1年間も必要が満たされてきたことを主に感謝いたします。財政部の方々、また教区の資産活用の任を持って労して下さった方々に感謝いたします。また、多くの方々の弛まぬ献金と熱心な祈りがその背後にあったことも覚えて感謝いたします。
さて、人事のことを申し上げます。昨年の日本聖公会第51(定期)総会で、法規が改正され、女性にも司祭への道が開かれました。北海道教区では、今年3月にフィベ岡村トシ子執事が、また6月にはマリヤ小貫ツマ執事が司祭に叙任されたことは大きな喜びでした。現在お二人が司祭として、それぞれの教会で、宣教・牧会の最前線でご活躍されていることを嬉しく思います。女性司祭に関しては、昨年の総会でも、またその後出された主教会教書でも、このことによって日本聖公会の分裂や、日本聖公会から離脱する人が無いようにという願いと祈りが表明されています。北海道教区にあっては、私たちが皆、それぞれの信仰的立場を尊重することを、ここで改めて確認したいと思います。
去る3月末で、ダビデ江口博司祭とフィベ岡村トシ子司祭が定年退職されました。そして4月以降は、このお二人と三澤康二司祭、斉藤昭一司祭が嘱託として、現在も牧会に当たって下さっていることを深く感謝いたします。また、上田貞雄司祭も定年後、教区の諸教会で礼拝にご奉仕下さっていますことを感謝いたします。教役者数が不足しております教区にとって、これら退職司祭達のお働きは大きな支えとなっており、また聖職・信徒に励ましと希望を与えるものであることを覚えます。また、来年3月をもって、パウロ寺本睦夫司祭が定年となられます。寺本司祭の長年にわたる献身的なお働きを感謝いたしますと共に、今後も許されますならば、教区にご協力いただけますようにと願っております。
昨年の教区会において、私は皆様に聖職に献身される人が与えられるように祈って下さいと申し上げましたが、主は私たちの祈りをお聞き下さり、この1年間に新札幌聖ニコラス教会信徒のフランシスコ飯野正行さん、深川聖三一教会信徒のパウロ横山明光さん、新札幌聖ニコラス教会のアルバン阿部芳克さんの三人が聖職候補生として認可されました。飯野聖職候補生は今年4月からウィリアムス神学館で勉学中で、来年4月からは阿部聖職候補生が神学校に進みます。聖職候補生が与えられると言うことは、その教会が主イエスの福音を生きている何よりの証しであると信じて主の御名を賛美いたします。
神学生を支えるために、多くの聖職・信徒の方々がご献金をお寄せくださり、また本来、教区で行うべき援助を、出身教会で支える会を作って熱心に支援してくださいましたことを感謝いたします。本教区会で、神学生、またその家族を教区的に支援するための議案が出ております。今後も、聖職に献身される方が続いて興されますよう皆で祈りましょう。来年4月には、神学校から松井新世、飯野正行両聖職候補生が教区に戻り、教区の宣教・牧会の働きを始めます。このことも皆様と共に喜びたいと思います。
現在、教区には幼稚園と保育園が合わせて9園あり、その内6園は牧師が園長を兼ねています。時代と共に、幼稚園・保育園事業は複雑・専門化し、その経営も、少子化が進む昨今、思いきった施策を講じなければ、生き残ることが困難となっています。既に、教区としても、その対策の一環として、信徒を園長に起用していくことが望ましいということが、数年前の教区会において報告されていますが、教役者数の不足なども合わせて考えますと、今後、その方向で、牧師と園長を切り離していく必要を感じております。ただし、現実の問題として、何人かの聖職の牧師給を園長給に頼っている教区の厳しい財政状況があり、今後、教区に属する私たちが、どのように教役者を支えていくかという大きな課題を財政部だけではなく、私たち一人ひとりも考えていかなくてはなりません。ただ、それを重い課題としてではなく、今後の教区・教会の宣教・牧会のために、聖職達が思う存分働くことができ、それによって教会が活性化されるのだという希望を持つことが大事だと思います。
今年、教区内の2つの教会が礼拝堂・牧師館・会館を改築しました。網走聖ペテロ教会も、留萌キリスト教会も、経済不況と過疎化のあおりをまともに受けた地方都市にあり、決して多いとは言えない信徒数で、教会の建築ができるか危ぶむ声もありました。しかし、両教会とも、熱心な祈りが捧げられ、また教会内だけでなく、教区中から、また北海道教区以外の教会の方々からの祈りと献金によって支えられ、それぞれ立派な教会堂が完成し、礼拝堂の聖別式が行われました。求める時に、人の思いを遥かに越えた主のお導きと祝福があることを私たちは知らされたのではないでしょうか。聖別式の際、ある方が、「自分は不可能だと思っていた。祈ることも余りしなかった。今、神のなされた業を見て、自分が如何に不信仰であったかを思い知らされた」と仰ったのが印象に残っています。今現在、北海道教区では、札幌キリスト教会(主教座聖堂)の改築、また有珠聖公会の修復工事が計画され、来年には工事が始まる予定です。私たちのためだけの教会ではなく、私たちの信仰を後の世代の人々に継承していく器としての教会です。多くの方々の祈りと捧げものによってこれらの大事業が達成され、主の栄光を仰ぐことができますように祈っております。
今年はチャーチ・ミッション・ソサイエティ(CMS)の創立二百周年に当たります。CMSは125年前、この北海道の地に宣教師W・デニング司祭を送り、その後も積極的に多くの宣教師とお金をこの教区のために送って下さいました。私たちの北海道教区はまさにCMSのおかげでできたといっても過言ではありません。今年5月、ロンドンで行われた二百周年記念大式典に、北海道教区から教区主教以下27人が参列して、私たちの感謝の意を表すことができたのは大きな喜びでした。またその折り、ジョン・バチラー大執事の故郷であるアックフィールドを訪ね、バチラー先生が過ごされた教会の記念碑の前で「北の果てなる氷の山」を歌った時、百年以上も前に遠い英国の地から、北海道の人々のためにキリストの福音をもたらしてくださった宣教師たちを思い、その方々のおかげで今の私たちがあることを感謝し、またこれらCMS宣教師たちの燃えるような信仰と伝道の情熱を私たちにもお与えくださいと涙ながらに祈ったことでした。
宣教について申し上げます。ここ数年、北海道教区では、一人一人がキリストの福音を証しする人になろうと、宣教活動推進部の主催でいろいろな研修会や修養会がもたれてきました。その集会でも、多くの実りが与えられ、参加者は大きな勇気と励ましをいただいて帰っていきました。このような修養会は今後も必要ですが、北海道教区の宣教を考える場合、それが、各教会で生きたものとならなくてはなりません。それぞれの教会は、その地にあって、独自の環境や伝統を持っています。宣教の方法が違うのは当然です。今、教区で必要なことは、それぞれの教会が、自分の教会の宣教の目標を立てることです。決して無理な目標ではなく、今、これだったらできるという目標を立て、その目標に向かって聖職・信徒が祈りつつ、力を合わせることです。その上で、もし困難や問題が生じる場合は、教区の宣教活動推進部に、また、伝道分区の他教会に、また教区内の教会に助けを求めることも大事です。そして、次の年には、それをもとにして、また新たな宣教目標を立てるのです。来年は主イエス・キリストのご降誕二千年の記念すべき年です。歴史の中で働き、今も働いておられる主が私たちを生かし、導いてくださることを信じ、それぞれの教会の宣教計画が立てられることを願います。
宣教の中心は、キリストが自分にしてくださったことを、他の人に、自分の言葉で語ることです。それができるように、聖霊のお導きと力づけを祈りつつ、これからの1年を過ごしましょう。主が皆様と皆様の教会を、そして北海道教区をお守りくださいますように。
主教 ナタナエル 植松 誠