第501号(2001年4月)


 「主教さんに質問があります」。ある教会を巡回して礼拝後の愛餐会の際、一人の婦人が急に聞いてきました。「ああ、あのこと・・・」とまわりの人たちもニコニコしながらわたしとその婦人を見つめています。「このあいだの『北海の光』の『主教室より』で、主教さんは自分の間宣教目標を立てるようにとおっしゃっていますが、『口数を減らす』というのはどういうことですか」と。彼女の質問の意味が咄嗟には理解できず、わたしまどぎまぎ。「礼拝に遅刻しない、毎日聖書を少しでも読む」などという努力目標の例として私が挙げたことの一つに、確かに「口数を減らす」があったのです。「そんなこと説明するまでもないのに」と思いながらも、何か言おうとしたわたしに、その婦人は、「わたしはね、主教さん、毎日畑仕事をしていて、土を相手に朝から晩まで、なんも話しをしないで黙って働いているんですよ。そして夜になると、疲れてすぐ寝てしまう。だから、教会に来た時くらい、思いっきり話したいんですよ。一週間ぶりにみんなに会って、話すことがいくらでもあって、それがとっても嬉しいんです」と、楽しそうな明るい声で「異議申し立て」をしました。
 まわりで笑いころげる牧師や信徒たちの顔も見ながら「いえいえ、それならば口数を減らす必要はありません。教会というのはまさにそのようなところですよ」とわたしも笑いながら答えました。その婦人や他の方々がこの日のために用意してくださったお昼ご飯は、じつに美味しく、教会に来ることを喜びとして毎日待ちわびているこの婦人の心がこもっていました。
      主教 ナタナエル 植松 誠


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