第508号(2001年11月)
昔、「サウンド・オブ・ミュージック」という映画に感動していたわたしに、「あの話はインチキだ。野外でのいろいろな歌の伴奏にオーケストラがあるのはおかしい」という人がいて、その超真面目さに返す言葉がありませんでした。テレビ局の番組制作に携わっている知人に話を聞いたことがありますが、いわゆる「感動秘話」とか、「告白もの」、「潜入カメラ」のようなものは、ほとんどが「やらせ」とのこと。最大限の効果(涙、感動、怒り、恐怖など)を計算した上で台本通りに作られていくのだそうです。それを聞いて以来、これらの番組を見ていても「これは本当じゃない」と疑ってしまうことがよくあります。
九月十一日の米国での同時多発テロ事件発生以来、毎日、テレビや新聞でこの事件に対する世界の国々の動きが報じられています。事件直後、ニューヨークで見たテレビは、世界貿易センタービルに突入するジェット機の映像を数分おきに映し出し、「アメリカ攻撃さる」「アメリカ、戦争に」などという言葉があふれていました。その流れの中で、アフガニスタンを武力で攻撃することが正しいというような報道操作が行われてきた感があります。明確な証拠も無いまま、このような報道が正当化され、それに平和憲法を誇る日本がその解釈を変えてまで参戦することの非や、この戦いで傷つき、飢え、家を失い難民となる一般市民、また、アメリカにも責任のあるパレスチナ問題で苦しむ人々の現状が、あまりにもわたしたちに伝わってこないことに、わたしたちは問題意識を喚起しなくてはならないと思います。
主教 ナタナエル 植松 誠