【感謝】
本日、ここに日本聖公会北海道教区第六五(定期)教区会を開催するにあたり、道内各地よりお集まりくださいました聖職議員、信徒代議員、教区役員、招待議員の皆様に深く感謝いたします。また、この教区会のために会場準備や食事、議事運営にご奉仕くださっている方々にも心より感謝いたします。広い北海道教区で、二四の教会から代表が集まって一緒に祈り、親睦を深め、そして教区の宣教について話し合うこの貴重な時が、聖霊の豊かなお導きの中で祝福されますようお祈りします。
【最近の政局への懸念】
最初に、日本の社会情勢を見る時に、教会として危惧している点について申し上げたいと思います。よく、教会には様々な立場や考えを持った人がいるのだから、政治や社会問題については触れるべきではないという声を聞きます。しかし、政局であれ社会問題であれ、私たちは主イエスの福音を生きるキリスト者として、そこに、信仰や良心の自由が脅かされたり、戦争や暴力などによって平和が危うくされたり、神の創造されたこの地球環境が破壊されたり、また人々の尊厳が失われる状況がある時には、これらに対して毅然とした態度で「否」を唱えていかなければいけないと思います。そもそも「信仰」は私たちの生活のすべてに関わることです。
「信仰」と「政治」を別次元のこととして捉えることはできないと思います。現在、「教育基本法改正」や「憲法改正」が国会で議論されています。何を改正するのか、それは大きな問題をはらんでいると思います。日本は神の国という首相発言や、首相の靖国神社参拝、「日の丸、君が代」の強制、個よりも公共を尊重させる精神や愛国心の教育現場への持ち込みなどが一方にあり、また他方には防衛庁を省に格上げしたり、核武装の議論、米国軍備再編成への加担、さらに日本が世界に誇り、また世界の信頼を得ていた憲法九条の改正の動きがあります。これらは私たちが平和の器として生きようとする時に、必ず大きな問題となって私たちの前に立ち塞がってくる事がらです。一人ひとりのキリスト者が、自分の問題としてこれらに関心を持っていただきますよう、また、これらに関する学びが教会や教区でも行われますように願っています。
【教区主催研修会の恵み】
昨年の教区会で決められたことですが、この一年間、教区ではいくつかの目新しい宣教の試みが行われました。一つは主日礼拝司式者研修会です。教区の聖職が足りない状況の中、信徒だけで主日礼拝を守ることはいくつかの教会でもこのことは現実味を帯びてきました。私たちの生活の中心である主日礼拝で、聖職が不在の場合、どのようにして礼拝を捧げるべきかを学び実習するこの研修会には、多くの教会から信徒が集まりました。教会が礼拝共同体であり、困難な状況にあっても礼拝をきちんと守っていきたいという信徒の熱い思いを感じました。
二つ目は、礼拝音楽奉仕者研修会です。これも、多くの教会からオルガニストや聖職が集まりました。礼拝において、豊かな感謝賛美をお捧げするためにはどうしたら良いのか、熱心な学びが行われました。ちょうど新しい聖歌集が出版される前で、新しい聖歌についても学ぶことができました。これらの研修会は、これからも継続して行われることになっています。どの教会でも主日礼拝ができるように、またオルガニストがいない教会でも豊かな礼拝が捧げられるように、これからも礼拝の司式、聖歌などについて学んで参りましょう。
三つ目は召命黙想会です。これは九月に留萌キリスト教会を会場に二泊三日で行われました。主催者側の予想を遥かに越える一四名が参加しました。今回は聖職への献身を考えている人ではなく、自分の今の信仰生活や教会への奉仕などを考えてみたいという方もいました。参加者全員が、この黙想会から大きな養い、示唆を与えられたとのことでした。この中から聖職志願者が興されると信じて祈っています。この召命黙想会のために、教会を挙げて協力してくださった留萌キリスト教会にこの場をお借りして感謝いたします。
【海外宣教協力への展望】
さらに、昨年の教区会以降、海外宣教協力委員会が発足したことも、北海道教区の新たな宣教への試みでした。いくつかの点で、この委員会は今後の私たちの宣教に新たな視点を与えてくれます。北海道教区は日本聖公会にあっては北の端の地方教区です。教区自体が広く、教区内での交流も困難です。また海外からの訪問者もあまりなく、そのような事情から、海外の教区・教会との交わりにまであまり関心が向けられなかったというのが実態だと思います。
もちろん、アジア・アフリカへの中古衣料援助やサハリンの教会との交流なども続けられてきましたが、教区全体が関わる宣教課題にまではなっていなかったように思います。ともすると外に目が向かないで、内に籠もってしまいがちな私たちが、教会は世界大で、世界の各地で神の聖霊は豊かに働いておられる様子を知ることは、私たちにとって世界に広がる神の御業に参与する喜びや励ましを与えてくれるのではないかと思います。
私たちにとって馴染みの深い聖地イスラエル・パレスチナの教会との交流、また、オーストラリアの地方教区であるリヴェリナ教区との交流が、すぐにも始まろうとしています。人とのまた教会との生きた関係の中から、私たちが得るもの、また私たちが提供できるものがたくさんあると信じています。さらに、海外宣教協力は、若者たちを教会に引き寄せる大きな力になると思います。今日、どの教会も青年や子どもの教会離れが顕著です。どの教会も、これらの若者たちをどのようにして教会に結び付けられるかで悩んでいます。簡単な解決法はありませんが、一つ言えることは、現代の若者たちへの宣教にはいろいろな切り口が必要だということです。彼らを受け入れるために、何でも試してみようということが大事です。
その切り口の一つとして、海外の教会との交流も挙げられます。来年一月にベトナム・カンボジアでの研修旅行をこの委員会が呼びかけたところ、すでに二〇名が参加を申し込みました。そのほとんどが若者たちです。単なる観光旅行ではなく、戦後の復興に生きる人々、多くの困難の中で生きる人々との交流を通して、私たちにも何かができる、私たちも生きていることを実感する貴重な体験をすることができ、それは、教会の中で私たちの居場所があるという彼らの目覚めに繋がっていくであろうと期待しています。海外宣教協力委員会の働きを通して、北海道教区のすべての教会が、新たな宣教の視点を持つことができますように祈っています。
【聖職への献身者を】
ここ数年、教区会の度に、教区の宣教の最優先課題は聖職者の養成であると申し上げてきました。今教区会でも、それは同じです。現在、教区の現役聖職は主教一名、司祭一三名、特任執事一名となっています。退職された聖職にも主日礼拝のご奉仕をいただいています。しかし、現役司祭の内、今後五年間に四名が定年となります。現在、神学校に一名が学んでいますが、これらの数字からは、現在でも教区の宣教に支障をもたらしている教役者不足が、近い将来、教区の宣教体制に極めて困難な状況をもたらすことは明白です。単純計算をすると、五年後には、教区の四つある分区が、それぞれ二名の司祭で宣教・牧会に当たらなくてはならないという状況を想像していただけたらその深刻さがおわかりになると思います。
先に述べました召命黙想会への積極的な参加、または参加のお勧めなどを通して、聖職への献身者が与えられるよう皆様のお祈りと、働きかけを切にお願いいたします。また、聖職になるということが、いかに自分にとっても家族にとっても祝福された行き方であるかをぜひお考えいただきたいと思います。この世の仕事を持ちながらでも、この世の仕事を終えた後でも、聖職になる道は開かれています。どうぞ、このことを皆様お一人ひとり、しっかりと心に刻み込んでくださいますようお願いいたします。
【行ってみたい教会】
青年達を教会に呼び込むのも、聖職になりたいという人が現れるのも、また私たちの子どもや孫たちを教会に導くのも、すべては教会の宣教の姿勢にかかっています。教会がどのような場になっているか、教会は何をしようとしているかが問われています。まず、私たち一人ひとり、どんな教会だったら、自分は家族をまたは友人を教会に連れていけるか考えていただきたいのです。自分にとって、教会が楽しく、魅力があり
、豊かな養いや励まし、希望を与えられるところになっているか。もしそうでないなら、そこに人を呼ぶのは無理です。どうしたら自分にとって、教会を人にお勧めするところにできるか、そのために、ぜひ皆様に労してほしいと思います。決して傍観者にならず、皆様の全身全霊をもって、教会を良くしていっていただきたい。そしてそれはもちろん教役者との共同作業です。聖職はしっかりとみ言葉を語り、礼拝を捧げ、信徒の声に深い感性をもって耳を傾け、信徒をまとめて、魅力ある教会作りに驀進していただきたいと願います。
【新聖歌集発行】
新しい聖歌集が発行されました。聖歌は私たちの願い、叫び、感謝、賛美の祈りです。マザー・テレサは、歌いたくない時にも歌いなさいと言いました。教会は祈る共同体です。
一人でも歌い、会衆全体でも歌い、祈る時に、聖霊が神の生命を、力を私たちに豊かに与えてくださいます。私たちは大いに歌いましょう。これからの一年、私たちは神様によってまた一歩前進させていただきましょう。主の御手が皆様を、教会を、北海道教区をいつも支えてくださることを信じて感謝いたします。