2001年秋、『改訂古今聖歌集 試用版』が出版され、収録聖歌全118曲が、各地の教会・礼拝堂において歌われる運びとなりました。
 聖歌は、神の民であるキリスト教会が共同でささげる礼拝の中で、心からの賛美として歌われてはじめて「聖なる歌」、すなわち「聖歌」としての命を与えられるものです。したがって、『試用版』に収められた聖歌は、皆様に何度も歌われ、親しまれることなくしては存在し得ないものです。
 しかしそのためには、それらの聖歌を歌うためのアドヴァイス、またその聖歌についての説明が必要であるとの声が、日本聖公会各教区の礼拝音楽担当者をはじめ、教役者及び信徒から寄せられました。この本は、そのご要望に応えるべく用意した、『試用版』の聖歌を歌うためのガイドブックです。
 『試用版』に収録された聖歌の一つひとつについて、それがどのような内容や背景を持ち、どのような歌い方、また奏楽の仕方がよいのか、どのようにして礼拝でふさわしく用いることができるのか、といった点に着目して解説しています。ただしこれは、あくまでも「略解」ですので、聖歌研究のためのより詳しい注解書的なものは、5年後(2006年)に出版予定の『改訂古今聖歌集(本格版改訂聖歌集)』(仮称)に併せて用意するべく、聖歌集改訂委員会として、教役者・信徒、また専門家諸氏のご指導を仰ぎながら、さらなる調査・研究に時間を要することになります。

 聖歌集の全面改訂は、日本聖公会のこれからの礼拝生活、及び宣教・牧会の姿勢全体に深く関わりのあることで、全教会をあげて取り組まなければ成し遂げられない大事業です。皆様には是非とも『試用版』を積極的に用いていただき、改訂の意図へのご理解とともに、ご意見やご提言を、聖歌集改訂委員会までお寄せくださいますようにお願いいたします。
 なお、付録として、聖歌集改訂の意図や方針、また改訂委員会の姿勢などを理解するための助けとなる、文書及び資料を掲載いたしました。


2002年2月2日 被献日
日本聖公会 聖歌集改訂委員会