「救い主は馬小屋に」

主教 ヤコブ 宇野 徹

 私は時々馬小屋の飼い葉桶に寝かせられているイエス様を描いたクリスマス・カードをいただくことがあります。そのカードにはイエス様の寝かせられている飼い葉桶が黄金で輝き、まるで御殿のように描かれています。このような絵を見ていると、イエス様が寝かせられていた馬小屋は何か素晴らしい所のように錯覚してしまいます。

 さて、ルカによる福音書2・6〜に「ところが、彼らがベツレヘムにいるうちに、マリアは月が満ちて、初めての子を産み、布にくるんで飼い葉桶に寝かせた。宿屋には彼らが泊まる場所がなかったからである」と記されています。この記事は宿屋にヨセフたちが泊まる場所がなかったが故に、馬小屋に行かざるを得なかったことを語っています。もしヨセフが大金持ちであったら、社会的に高い地位にいたならば、果して馬小屋に泊まることになったのだろうかと考えさせられます。ヨセフが貧しく、みずぼらしい、無力な、取るに足りない者であったが故に、馬小屋で泊まらざるを得なかったのではと考えます。馬小屋は人間の宿泊する所ではありません。馬小屋は臭い、汚い、不潔な場所で、およそ、赤ん坊が誕生するような場所ではありません。イエス様はそんな臭い、汚い、不潔な馬小屋で誕生されたのです。自分さえ良ければ良しとする自己中心的な社会、自分の欲望を追及してやまない社会、弱肉強食の社会の中で、貧しい者、無力な者、地位のない者といったより弱い、より小さな者は社会から弾き飛ばされて、人間の尊厳を損なう非人間的な状況、場所の中に押し込まれ、そこで苦しみ悩み、悲痛な思いを持って生きているのです。その非人間的な場所こそが馬小屋であると言えます。

 最近の厳しい経済状況において会社はリストラによって失業した中高年の人達の中にホームレスになった人が多くいると言われています。物質的に豊かに満たされることにのみ幸せを感じて物質的に豊かになることを求めてきた現代社会、また、強い者を中心に動いて来た社会は常に弱い者を蔑み、虐げ、弾き飛ばし、悲惨な目にあわせ、捨てていきます。

 私は大阪教区で牧師をしていた時、殊に、釜ケ崎(今は愛隣地区)の近くの教会にいた時には年末になると生活に困ったホームレスの人達がお金や食べ物を求めて教会にやって来ました。その度に私はその人達をどう援助すべきなのかどうかということに悩みました。確かに少しのお金や食べ物を与えることによって自分の気持ちは少しは軽くなりますが、それがその人に何の解決になるのだろうかと思うと、自己満足でしかないように思いました。そして、ホームレスの人にアパートを借りて、自立した生活が出来るように関わりを持ちましたが、その時は自分の姿勢を問われていることの連続で、苦しみ悩んだり、悲しんだり、腹を立てたり、そして、喜んだりしました。しかし、自分が人間として生きていることを実感させられる時でもありました。

 私達は主イエスのご降誕を迎えます。教会では主のご降誕を祝うパーティーが開かれることでしょう。私達はどこで主のご降誕を祝おうとしているのでしょうか。主は馬小屋におられます。羊飼いも、東方の占星術の学者も馬小屋に行って、主にお会いして喜びと希望に満ち溢れました。私達も馬小屋におられる主にお会いして喜びと希望に満ち溢れていたいものです。


「日本聖公会北関東教区
第61回(定期)教区会報告」

 北関東教区第61回(定期)教区会が1999年11月23日(火)10時30分より志木聖母教会聖堂および会館で行われた。

 主教告示の中で宇野 徹教区主教は、最初に、本年4月4日に大宮聖愛教会、11月21日に水戸聖ステパノ教会で宣教百年記念礼拝および祝賀会が催されたことに触れ、将来を展望しながら現在をいかに歩み生きていくかを確認する重要性を説かれた。

 次に、牧師館建築を終えた日立聖アンデレ教会、牧師館・信徒会館建築中の川越キリスト教会、信徒集会室新築・牧師館改修中の日光真光教会、来年牧師館建築着工予定の宇都宮聖ヨハネ教会の状況を報告、各教会に協力を要請した。

 また本年末に期限が迫った教区会館外壁修理募金(目標1000万円)にまだ200万円余の不足があり、新しい歩みのためにも是非達成する気持ちを持っていただきたいと述べられた。

 さらに宇野主教は、21世紀を控え、1若い人たちへの働きを推進し、教区が展望を持ち、活動していくことが大切である。2聖職の養成を進めること、聖職になってほしい人を祈り求め、見出したならば働きかけることが大切である。3聖職も信徒も互いに育ちあっていくこと。聖職は信徒に育てられ、信徒は聖職に育てられるのである。4教区は教会からなっており、教区は主教でも常置委員会でもない。教区は皆さんであり、各個教会である。互いに血の通った交わりをなし、共に重荷を負い合うことによって活き活きした教区にしていきたい。5教区財政の健全化をはかりたい。 と今後の方針を述べられた。

 続いて報告の承認に移り、18の報告がすべて承認された。

 議案関係では、1998年度教区一般会計および教役者俸給援助資金、「セント・ジョンズ・ハウス資金」決算が承認された。

 続いて2000年度教区一般会計予算案の審議に移り、岩木仁平財務部長は、本年より基金・収益依存体質を改めて教区財政のあるべき姿を見出していきたいと方針説明をし、各教会からの分担金を合計約300万円増額すると共に、算定基準を受聖餐者割、普通献金割それぞれ5対5(従来は7対3)にしたいと提案した。審議の上、総額約3745万円で可決された。

 高崎聖公教会・栃木聖公教会・新町聖公教会は、戦中までそれぞれ高崎聖オーガスチン教会、栃木聖アルバン教会、新町聖マルコ教会と称していたが、外国語の使用は認められないと軍部の圧力によって現在の名称使用を余儀なくされたことを振り返り、当初の名称を復活させたいと受聖餐者総会を経て今教区会に提案され、満場一致で可決された。

 今回最も注目されたのは、第13号議案「教区会館使用目的変更に伴う改修の件」で、1教区会館を改修し、一階および二階を大宮聖愛教会会館とし、三階に教務所・主教室および書庫等を設置する。2予定費用約4500万円のうち大宮聖愛教会が3000万円を負担し、教区が1500万円を負担する。3教区負担分の費用はセント・ジョンズ・ハウス宣教基金より支出する。というものであった。今教区会での決断に難色を示す意見も出されたが、大宮の宣教のことを考慮して早く決断すべきとの意見が出され、賛成多数で可決された。

 選挙関係では、常置委員に広田勝一司祭、斎藤英樹司祭、金子 功司祭、谷川 誠兄(大宮)、横川 浩兄(水戸)、菊池邦杳兄(川越)が選出され、総会代議員には、金子 功司祭、広田勝一司祭、横川 浩兄、谷川 誠兄が選出された。

 最後に、本年3月をもって定年退職された末永 恵司祭へ一同より拍手が送られ、、本日ご奉仕くださった志木聖母教会婦人会の方々に議員を代表して小橋豊平兄(栃木)が謝辞を述べ、すべての日程を終え17時前に閉会した。

(文責 司祭 鈴木伸明)


北関東教区時報のページへ戻る


このページの曲は、聖歌第20番です。