司祭 バルトロマイ 三浦恒久
歓 喜
少年の頃
深い森の中に迷い込んで
泣きながら
ようやく出口を見出した時の
あの歓喜を覚えているか
少年の頃
小舟が沖に流され
必死で漕ぎながら
ようやく岸辺にたどり着いた時の
あの歓喜を覚えているか
少年の頃
夕日が落ちるまで遊び
後悔しながら
ようやくわが家の明かりを見出した時の
あの歓喜を覚えているか
深い森 激しい潮の流れ 暗い夜道
少年はそれらを突き抜けて存在する
歓喜を知った
教会の暦は、一般の暦よりも一ヶ月早く、この十二月二日の降臨節第一主日をもって、一年が始まります。「降臨節」とはクリスマスを迎える準備の期間で、十二月二十五日のクリスマスの前日まで続きます。「主日」とは日曜日のことです。また、教会の暦は祝日と斎日とから成り立っています。「斎日」とは心身を整え、待つ期間のことです。具体的には、降臨節が斎日で、クリスマスが祝日です。
このように教会の暦は、まるでわたしたちの人生のように、斎日と祝日が繰り返えされます。「冬来たりなば、春遠からじ」と言われます。冬の到来は、春が近づいたことの証拠です。冬が春を運んでくるのです。
冒頭の詩は、少年時代のことを思い出して書きました。だれもが一度は味わう、少年時代の懐かしい思い出です。不安や孤独、そして恐怖。それらの向こう側に、それらを突き抜けて歓喜が約束されていることを、少年達は体験を通して知らされるのです。
いよいよ降臨節が始まりました。心をひそめ、思いを巡らし、身を慎んで、この時を過ごしましょう。そして歓喜をもって、クリスマスを迎えましょう。