1月6日  顕現日(A年)

司祭 ダビデ 佐保靖幸

その星を見て喜びに溢れた

 メリークリスマス。教会は新しい年の創造の時である新年をクリスマスの歓びの中で祝う。今日の日曜日は顕現日というクリスマス最後の祝日です。
 シェークスピアの劇に『十二夜』というのがある。これはクリスマスの夜から数えて十二夜目、つまり1月5日夜の顕現祭イヴに演じられる劇の意味で、顕現日が第二クリスマスとも呼ばれる事情がよく分かる。
 顕現日のテーマは特祷・福音書に記されている通り、聖書の民・イスラエル人ではない「東の博士・学者達」が『星に導かれて』、神の独り子である赤ちゃんのイエスに出会って感謝と喜びの礼拝を献げた最初の外国人となったことである。「東の博士占星術の学者達」はイスラエル人でない我々全ての代表者である。占星術の学者、つまり彼らは星と天体の全てに関する当時の専門家であった。星の運行に天地万物と人間の運命を支配する不思議な力があると信じていた彼らは、「星を見たので」、「ユダヤ人の王として生まれた方を拝みに来た」。「東方で見た星が先立って進み、ついに幼子のいる場所の上に止まった。学者たちはその星を見て喜びにあふれた。家に入ってみると、幼子は母マリアと共におられた。」この喜びはどこから来るのか。この喜びは何故なのか。彼らは自分が生まれる遥か以前から、そして自分の死の後も永遠に輝き続ける星々、その中の特別なこの星の輝きに打たれ、その心が「喜びにあふれた」。彼らは今、星々や自分自身と天地万物を創造したお方が人間として降誕されたみ姿そのものにであったのである。星々の存在とそのキラメキは、その創造主の存在と栄光を証し続けている。彼らの旅路と人生もまた、万物の創造主であるお方のご降誕とその栄光を指し示し、証し続けるものとなった。彼らが献げた「黄金、乳香、没薬」は、お祝いの贈り物以上の意味を持つ物となった。彼らは「黄金、乳香、没薬」を、深い感謝の心と共に創造者の足元に置き、そのみ手に返した。
 今、我々もまた母マリアの膝に眠る神の幼子に出会って、自分たちをこの世に創り出し召し出されたお方と相見え、そのお方の永遠の子・愛と平和の子へと招かれていることを知って、自身の存在と人生の意味があの夜空にキラメク星々と同様、創造主の存在と愛と栄光を指し示し証することにあると気づき深められる。
 「東の博士・学者達」は地上のイスラエルの支配者である「ヘロデ」の所へは帰らず、「別の道を通って自分たちの国へ帰って行った」。さあ、我々も皆とともに新しい年を祝おう、神の幼子に出会った喜びに満たされて!。さあ、皆とともに新しい年へ歩み出そう、神の幼子が約束する愛と平和を現すために。東の星の輝きが、全ての人の心を愛と平和で照らし満たし導くように。アーメン

 

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