2月10日  大斎節前主日(A年)


司祭 エリシャ 富田正通

「キリスト教の寒行」

 私たちは日本聖公会という英国系の教派に属しています。この教派ではイースターの前、日曜日を除く40日間を「大斎」と定めています。
 ところが、「大斎は何ですか。」とよく聞かれます。
 プロテスタントの牧師たちには「レントのことです。」と英語で答えると理解していただけます。教派によって日本語訳が違うのですね。
 それ以外の方には「キリスト教の寒行のようなものです」と言います。
 「ほう、キリスト教にも寒行があるのですか。どんな行をするのです?」と言われます。
 「もとは、信者になるための訓練だったのですが、今は全ての信徒が行います。第1は、イースターを迎える心と体の準備です。このため、信徒になった初心に返って、過去の生き方を振り返り、これからの1年を歩む決意を新たにします。早朝の礼拝・夜の礼拝・集会に勤めて参加するように努力します。また、課題を定めて取り組みます。第2は、節制した生活をして、生み出した剰余金を大斎克己献金として捧げ、救済事業に用います。」と答えます。
 大斎は他人や教会から強いられて行うのではなく、自分の意志で行います。教会はさまざまな立場の人が選択出来、どれかに参加できるように豊富なプログラムを提供できるようにしています。
 今週の水曜日から始まる大斎節を悔いのないように過ごしてください。
 大斎を失う者は、その1年を失うと言われます。しかし、何かの事情で不本意な大斎を過ごしたとしても落ち込むことはありません。
 イエス様によって、私たちに与えられた救いは究極的なもので完全無欠です。この世の終わりの時、神様による最後の審判が行われますが、イエス様の十字架と復活によって、すべての罪が許されるのです。この有難い保証を、洗礼を受けイエスさまのしもべとなった時に頂きました。
 「罪の女」と言われていた女性に対して、イエス様は「私もあなたを罰しない。二度と罪を犯さないように」と言われました。このやさしいイエス様に応える行為として大斎節を過ごしましょう。


過去のメッセージ