6月30日  聖霊降臨後第6主日(A年)

 

司祭 スコット マーレー

 「つのぶえ」(京都教区の教区報)で主教様が私の名前を話題にしてびっくりさせられました。もっとびっくりしたことは、「もっと知りたい方がいるから、もうすこし仕事のことを書いて下さい」と頼まれたことです。主教様がいわれたように、名刺には“家具作家”と書いてあります。ちょっとえらそうな感じがしますが、わたしが言いたいことは、家を立てる大工ではなく、家具作りだということです。
 名刺を渡す時、いつもどんな家具を作っているのか、どういう風にして作っているのかというようなことを聞かれます。この質問に答えることはかなりむずかしいです。
 わたしの作品は、まだ自分のスタイルを模索していますが、あまりきらびやかなものではなく単純なものを目指しています。それは日本の渋いというセンスに強く影響されています。美しさとはシンプルさです。シンプルさと機能です。
 さらに昔のアメリカの宗教運動のシェーカーの影響も受けています。かれらは共同生活しながらすばらしいクラフトや家具などを作りました。かれらも作品の美しさはシンプルさと機能にあらわせることだと思っていたようです。
 それは日本語の家具という言葉の漢字が示していることと同じように思います。家具。いえのぐ。生活の道具。上手に考えてつくって、毎日簡単に使えるものに特別な美しさが付加されていると思いませんか。
 シェーカーの方は心から神の栄光の為にものをつくりました。美しいものは見るためではなく、使うためのものです。ものはとてもシンプルですが、心がつくった美しさがさらに深い栄光を表すものになりました。そういうスタイルをめざしています。
 使う方のために丁寧につくって、自分の栄光を忘れるようにしています。使う方がわたしの作品の中にそこにこめられたわたしのこのような思いを感じてほしいと願っています。
 よく家具を作るのはロマンチックなことだと言われていますが、そうではありません。いやになることもあります。ふだんは汚く危険です。よく考えると、人生とよくにています。つらい仕事ですけれども、作るものに心をいれれば、作品に特別な美しさが出てきます。この点も、よく考えて見ると、神様がくださった人生とよくにています。

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