9月29日  聖霊降臨後第19主日(A年)

 

司祭 エリシャ 富田正通

今、なぜ「学力低下」が問題?

 学校5日制が完全実施されたとたん、学力低下が話題になっています。半年経った今も、<学力>とは何かという論議はされていません。
 約20年前に東芝会長の土光氏が当時の文部省審議会の臨時教育審議会会長になられました。経済界から教育について意見を具申した最初のものです。経済界から一流大学の卒業者でも言われたことしか出来ない、自主性・創造性・判断力・決断力のない者が多い。これまでのような教育を続けていては国際競争に勝てない。自分で自発的に学習する機会を設けようと学校週5日制が提案されました。文部省はこれを受け、20年かけて段階的に実施してきたのです。教科書の改正は10年単位ですから、2回変更したことになります。土光氏の主張を裏付ける話として「一流大学を優秀な成績で卒業し、一流会社に就職した前途を嘱望される青年が結婚式の披露宴の時粗相をし『お母様が手洗いに行きなさいと言わなかったから、僕おもらしをしちゃった』と言ったので花嫁の両親は驚いてその場から花嫁を連れ帰って結婚は破談した」という有名なものがあります。大学の教授達が講演会で好んで用いた話題です。
 <学力>とは、<知覚動考(ともかくうごこう)>だと聞きました。知って、覚えて、実際に行動して、その結果を検証する。検証して不足を補い新たな知識として覚えというように循環させながら身に着けていくものだそうです。
 以前の教育は<知覚(ともかく)>の段階でテストをし、評定を下してきました。授業で習ったことを覚えてお仕舞い。この段階を週5日で終え、<動考(うごこう)>を週2日でしよう。このために<知覚>の内容を軽減したのです。<動考>が加わって初めて確かな学習となるのでしょう。詰め込まれた学習だけでは、<水>で自動車を走らせようとは考えつかないでしょう。水は酸素と水素から出来ているので爆発できる。出来た水を酸素と水素に分解させればよい。このような自由な発想これが<ゆとり>の目的です。うっそー水で自動車が動くの?動きますよ。今、実験段階です。
 神さまは、人間を神さまの<かたち>に似せてお創りになられました。神さまは天地の創造主です。神さまから頂いた創造力を活かしましょう。



 

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