2003年3月9日   大斎節第1主日(B年)


執事 サムエル 奥 晋一郎

 先週の水曜日(3月5日)から大斎節に入りました。大斎節の期間は、先週の水曜日から主日(日曜日)を除く40日間です。大斎節はイエス様の復活を記念するイースターに洗礼を行うという教会の古い伝統から生まれたものであるといわれています。40日と定められている根拠の一つは、この主日の福音書の箇所にも書かれているように、イエス様が悪魔に誘惑を受けられたことが書かれている誘惑物語です。
 この主日の箇所ではまず、イエス様が洗礼を受けられた後、天から下った霊はイエス様を荒れ野に送り出しました。荒れ野は水も食べ物も手に入れるのが難しく、また人間を傷つける野獣もいるとして恐れられている場所とされていました。ですから、神様と敵対するサタンにとって、荒れ野はイエス様を誘惑し、神様から切り離そうとするのに絶好の場所だったのです。そして、そこにイエス様は40日間留まり、誘惑を受け、野獣と一緒におられました。しかしその場所には、イエス様に仕える天使がおり、悪魔はイエス様の登場によって神様の支配が近づいたことを示されたのでした。
 この箇所から、荒れ野は神様の支配とサタンの誘惑が対立する場所であると言えます。この世には食べ物がたくさんあり、安全ではあります。しかし、この世が神様の下にあるということを信じることができない、忘れてしまっているとすれば、この世は荒れ野の中であるといえるのではないでしょうか。しかし、神様は神様を信じることを妨げる、その荒れ野の中にイエス様を送られ、最後には全ての人の罪を贖うためにイエス様を十字架に架かられました。
 以前、キリスト教のことはよく分からないので、神様を信じること、イエス様を信じることが出来ないと言われたことがあります。信じることよりも理解することが優先する、この状況こそ、この主日の箇所である荒れ野の状態であると思いました。その状況の中にイエス様は送られたのでした。大斎節は慎みの気持ちを持って過ごすことが大切であるといわれています。この大斎節の期間、イエス様によって神様の支配が近づいたことを改めて信じて歩んでいくことができればと思います。

 

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