2003年5月11日  復活節第4主日(B年)

 

司祭 エリシャ 富田正通

 世界中の教会でイエス様のご復活が祝われて、20日ばかりが過ぎました。この間に福井県キリスト教連盟の後援で、<ベン・ハー>という映画がメトロ劇場で上演されました。30年ほど前の映画で懐かしく思いました。フィルムは未使用で保存されていたもので美しい画面でした。
 主人公はハー家の長男で、妹のふとした過ちがもとで幼馴染のローマ貴族と対決し、ローマ軍の奴隷となってガレー船の漕ぎ手になります。海戦の時、船が沈没して海軍長官を救出したのが縁で長官の養子となりますが、母親と妹が気ががりでエルサレムに帰国します。この途中で、イエス様の誕生を祝った東方の博士の一人であるバルタザールと出会います。バルタザールは幼子イエス様に神様の姿を認め、成長したイエス様にどうしても会いたいと再び長い旅をして来ました。
 エルサレムに着いたベン・ハーは昔の恋人と再会して、母と妹の消息を尋ねます。彼女たちは永い牢獄生活の間に重い皮膚病に罹っていました。このことを仇敵から聞かされたベン・ハーは復讐するために競馬場で雌雄を決します。勝利を得た彼は、長官ポンテオ・ピラトから祝福を受けますが、ローマ人としてでなくユダヤ人として生きること、またローマに対する復讐を告げます。
 イエス様は話しを聞きに集まった人々に山上の説教として有名な教えを語られます。「あなたの敵を愛しなさい」。このメッセージにベン・ハーは反発しますが、イエス様が十字架に架けられながら息を引き取る直前に自分に敵対した人に対して、「神様、この人たちをお許しください」といわれた言葉に心を動かされます。雷鳴が激しく轟く中で、たたき付けるような雨が、イエス様が流された血を丘から川へと運びます。やがて大河となり、海に注いで全世界に広がることを暗示しているようでした。
 この時ベン・ハーの心から、憎しみや復讐の気持ちが雨に流されるように消えていきます。同時に母や妹の病気も癒されました。
 イエス様の復活が私たち全ての人に永遠の命を与えてくださったばかりでなく、人々の心に憎しみや争いをなくし、平和をもたらしてくださいました。
今も世界では戦争が絶えません。この映画が私たちにイエス様のように平和をもたらす器となりなさいというメッセージを真摯に受け止めたいと思いました。


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