[すぐ? 待つ?] 

                           司祭 テモテ宮嶋 眞

 


 

 千葉県、松戸市に40年以上前に作られた「すぐやる課」と言う部署があったと思う。お役所に何か相談をしに行っても、色々な窓口にたらい回しにされ、結局、どこも対応してくれないというクレームが多かった当時、今は亡き松本清市長(あの、ドラッグストア大手のマツモトキヨシの創業者でもある)の命を受けて作られたと聞いている。役所は役に立つところなのに、市民の願いに対応できないようではダメと市長室の横に作られ、すぐやる課で対応できない難問は、すぐに市長の判断を受けたという。

 最近、ハラスメント防止・対策担当者と言う管区のお仕事をお引き受けしている関係で学ぶことが多くあります。問題が起きた時の「初動」の大切さです。まずは、不快な思いをさせた被害者に対し、組織の責任者が、そのような思いをさせたことをすぐに詫びることから始まる。そして事件の経緯を、被害者からまず十分に聞き、思いを受け止める。加害者にもその想定している事実や思いとは違う被害者の思いをしっかりわかってもらう。

 これができれば、かなり解決へと近づくと、専門家が言っておられます。

 ハラスメントからもう一つ。かつては、各会社に「ハラスメント相談窓口」が作られていた。しかし、そこに相談に行くこと自体ハードルの高いことなので、最近では「EAP(従業員支援プログラム)」と言う形で社内問題解決ルーム、いわゆる「よろず相談窓口」のようなものを設けているところが増えています。その名のとおりどんな相談でも引き受ける。困った部下との付き合い方、新しい部署になれない、転勤が嫌、上司と気が合わない、残業の問題、家庭の問題、子育ての悩み、借金、親の介護などプライベートな問題まで、仕事の足を引っ張ると思われるものは何でも受け入れる。そして同時に「自分の問題を積極的に解決できる社員が、有能な社員だ」という宣伝をする。すると、行列のできる相談所になるのだそうだ。受け付ける問題の幅を広げることで、ハラスメントかどうかなどと悩まなくても相談しやすくなる。精神的なしんどさを抱えている社員も見つけられる。さらに全体の相談の傾向を分析して会社の経営方針に反映させることもできる。教会でも同じようなことができれば、「安心な教会」づくりに大いに活用できるのではないかと思う。

 有名な「ニーバーの祈り」の変形判が、 すぐにできそうに思う。 神よ  すぐに出きることについて 素早く行う勇気をお与えください。 すぐにできないことは、それを受け入れ 祈って待つ忍耐をお与えください。 そして、すぐにできることと、すぐにできないことを識別する知恵をお与えください。          アーメン