月報「コイノニア」
2000年5月号 No.201


疑うことをお許しになる神

司祭ヨハネ

さて八日の後、弟子たちはまた家の中におり、トマスも一緒にいた。戸にはみな鍵がかけてあったのに、イエスが来て真ん中に立ち、「あなたがたに平和があるように」と言われた。それから、トマスに言われた。「あなたの指をここに当てて、わたしの手を見なさい。また、あなたの手を伸ばし、わたしのわき腹に入れなさい。信じない者ではなく、信じる者になりなさい。」トマスは答えて、「わたしの主、わたしの神よ」と言った。イエスはトマスに言われた。「わたしを見たから信じたのか。見ないのに信じる人は、幸いである。」
           (ヨハネ福音書20・26―29)

 御復活の日の夕方、集まっていた弟子たちの真ん中に主がお姿を現されました。その日の朝早くマグダラのマリアから「わたしは主を見ました」と報告を受けてはいましたが、弟子たちが主を見たのはこの時が初めてでした。しかしその場に居合わせなかったトマスは、「わたしたちは主を見た」という弟子たちの証言を受け入れず、自分の目と手で確かめなければ決して信じないと言い張ります。それから八日目、再び弟子たちに現れた主は、トマスの願いに応えようとなさいます。ただし「信じない者ではなく、信じる者になりなさい」とのお言葉を付け加えて。
 何ものをも信じずすべてを疑うという懐疑論者は昔から今に至るまで大勢います。彼らは一つの疑いが晴れると次の疑いが生じる際限ない疑いの泥沼に身を浸し、決して信仰に至ることがありません。信じないために疑うというのがその本性だからです。これに対して、もう一方の極には、あやしげなことでも何でも信じてしまう「信じやすい人」がおり、クリスチャンの中にもよく見られます。しばしばクリスチャンは疑うことは罪であると思い込むからです。聖歌225番の2節にも「疑いと罪の沼、悲しみの深みより、主よひきあげたまえや、わが心を御許に」とあり、あたかも疑いと罪とが同列であるかのようです。しかしここでの「疑いの沼」とは、むしろ懐疑論者の疑いの泥沼のことではないでしょうか。
 主がトマスに言われたのは、「信じないためでなく、信じる者となるために疑っているのであれば、今それを晴らしなさい」ということではないでしょうか。信仰者には、正しく信じるための疑いが許されるということです。あやしげなことまで無批判に受け入れるのでなく、理性のふるいにかけて本当に信ずべきことを受け入れる信仰です。理性は神にかたどって創造された人間に与えられた賜物であり、正しく用いるならば神の栄光を現すものとなるからです。神学はまさにこのような営みです。しかし同時に理性もまた両刃の剣であって、際限ない「疑いの沼」に陥れるものにもなり得ます。先ほどの聖歌は、この泥沼からひきあげてくださるのはただ主のみであると歌います。
疑うことを許されたトマスは「わたしの主、わたしの神よ」と正しい信仰を告白します。それに対して主は、「見ないのに信じる人は、幸いである」とおっしゃいます。御復活は一回限りの出来事であり、弟子たちは主を見ることを許されましたが、後世の人々には弟子たちの証言を見ないで信じるしか道がありません。主は最後の晩餐の席上、弟子たちのためだけでなく、弟子たちの言葉を聞いて信じる人々のためにも祈られました。この祈りによって「見ないのに信じる人」に信仰が与えられています。二千年の時を隔てた現在もなお、私たちが復活の主を礼拝していることそれ自体が、「見ないのに信じる人は幸いである」という主のみ言葉の証しとなっているのです。
(図は一五世紀末ノブゴロード派のイコン「聖トマスの告白」)


祝 ご復活!

 4月23日(日)は新しい聖堂で初めて迎える復活日。約140名が出席して御復活の主に大いなる感謝と賛美をお献げしました。大礼拝ではこの日のために大斎節中熱心に練習を重ねてきた聖歌隊が、チャンセル左側に座を占めてご奉仕しました。たまたまお隣の旅館に滞在しておられたアメリカ聖公会退職司祭エドワーズ師(写真前列右から二人目)がチャリス奉仕をしてくださったので(ニュースの頁参照)分餐が予想外に早く進み、聖歌隊がもっとも力を入れて準備していた一曲を歌いそびれてしまうほどでした。しかし、音響を十分に考慮して設計された聖堂の響きがよく生かされたすばらしい歌声で、エドワーズ司祭もしきりに感嘆しておられました。浦地司祭が転勤に際してお献げくださった復活のろーそくも、ひときわ光り輝いて御復活の喜びを告げていました。礼拝後は会館ホールで持ち寄りのごちそうをいただきながら楽しいひとときを過ごしました。早朝の英語聖餐式にも旅行中の外国人が大勢見え、世界に広がる教会を実感しました。
 復活日に先立つ聖週にはさまざまな礼拝が行われました。復活前主日の「しゅろの行列」では、聖堂建築工事で前庭のしゅろの木が失われたため、信徒の方々があちらこちらから調達して来られたしゅろの葉が用いられました。聖週の一連の礼拝の中でも、特に聖木曜日夜の「洗足式・聖餐制定聖餐式・黙想」と、聖土曜日夜の「復活のろーそく(パスカル・キャンドル)の祝福・洗礼の約束の更新」などは、歴史の古い聖マリア教会でも初めて経験する礼拝でしたが、延べ30名を超える出席者が恵みにあずかりました。これらは主の受難と復活の意味をより深く味わうために長い歴史の中で教会が築き上げてきた礼拝であり、大切にしていきたいものです。


投稿

神学生 シモン 岩城征文

 ウィリアムス神学館入学式には、多くの方のご臨席を賜りましたことを心より御礼申し上げます。
 はやいもので、入学してから二週間がすぎました。 神学館も、18日のリトリートをもって今学期の行事が始まりました。この週は、聖週であったので、毎朝神学館のチャペルで武藤主教様司式の聖餐式があり、今までの生活と目に見えて違うことが実感できました。
 神学館の生活には、少しは慣れてきたように思います。礼拝でもマリア教会での礼拝と細かいところで違ったりすることがあるので、少しとまどっていましたが、何とかなってます。
 この二週間で、「自分一人でここにいることができているのではない」こと、「多くの方がおぼえて祈ってくださっている、また支えてくださっている」ことが、自分の奥深いところで、感じるようになりとても感謝です。
 教会実習も始まり、神学生・聖職候補生として多くの方と出会い、接する機会が与えられるようになってきました。この中で、多くの方の祈り・支えがあること、主が呼んでくださっていることに感謝しながら、少しずつでも主の歩かれた跡を一人でも多くの方と共に歩んでいくことができるように日々祈り、進んでいこうと思います。この中で、多くの方の祈り・支えがあること、主が呼んでくださっていることに感謝しながら、少しずつでも主の歩かれた跡を一人でも多くの方と共に歩んでいくことができるように日々祈り、進んでいこうと思います。
 主の導きと恵みが京都聖マリア教会の皆様の上に豊かにありますように

聖歌隊メンバー大募集を知り、
     元聖歌隊員の思い出

投稿者 ヨハネ 木村忠一

 昭和11(1935)年頃の京都聖マリア教会の聖歌隊は、マリアとしての何回目かのピークを迎えていました。日曜礼拝は元より、聖歌隊の夕べ・アグネス教会との合同礼拝等、年間の行事も数多く行われました。
 その中心であった方々は、故人となられた小川次郎兄、小川(成瀬)京子姉・柳原一男兄他ですが、各パートに強力なリーダー、それにパイプオルガンでの奏者が揃っておられました。そして当時の平安女学院の藤本更子先生が週一回マリアにこられて、二時間余り、途中休憩もなく、中味の濃いご指導を受けました。幼稚園卒園後、小学校の唱歌の時間以外音楽の時間というもの自体がない時代で、その私どもが聖歌隊に入れていただいていたのですから、藤本先生には大変なオニモツであったろうと思っています。その中で、「息の取り方」から教えていただき、一年経たない内に「コールユブンゲン」の一冊目を仕上げるという特訓を受けたのでした。
 当時のメンバーは、亡くなった方、遠方へ行かれた方がおられますが、ご承知のとおり「マリアの会」として現在も交流をしております。
 京都聖マリア教会聖歌隊がますます発展されますことを祈ります。(東京在住)


聖マリア幼稚園コーナー

主任 大鹿加奈子

 聖マリア幼稚園に復帰させていただいてから、この三月で五年の月日が過ぎました。今年度からは主任という幼稚園の大切なお役をさせていただく事になり、新たなスタート地点に立ち、いろんな方々に支えていただきながら四十人の大切な幼な子の保育に従事していきたいと考えています。
 前年度最後の理事会の席での「菅原先生を園長に、大鹿先生を主任に」との浦地先生からのお言葉に、そんな事とは予想だにしなかった私は、一瞬頭の中が真っ白な状態になり、その場ですぐにはお受けすることが出来ず、「少し考えさせてください」という返事しか出来ませんでした。
 今は亡き良子先生や、現園長の菅原先生のように保育経験豊かな、且つとてもパワフルな、そして子ども達をふんわりと包み込んでしまうような大先輩の次に、このような大切なお役を引き受けてもいいものか、私にやっていけるのかと随分悩んでしまいました。
 しかしこれも五年前にこの聖マリア幼稚園に、「戻ってらっしゃい」と神様が呼んでくださったのと同様、また新しい場をお与えくださったんだな、と考えることにしてお引き受けすることにした次第です。とてもうっかりものの私ですので、皆さんにご迷惑をおかけすることがいっぱいあると思いますが、どうぞよろしくお願いします。
 さて、皆様に我が家の紹介をさせていただきたいと思います。家族は総勢六人です。主人45歳、趣味は魚釣り。休日はそおーっと車を出し、琵琶湖へと一目散。長男18歳、大学生。中高時代は陸上部に入り、幅跳びに熱中でした。今は始まったばかりの大学生活をエンジョイしています。次男15歳。六年生の時より剣道を始め、ただいま二段です。お兄ちゃんより背が高くなった事を密かに喜んでいます。父79歳。いつもジーパン姿で現役の職人です。自宅で仕事半分趣味半分、行灯や香炉作りなど手仕事の細かい作業をしています。母73歳、主婦。私の代わりに殆どの家事をこなしてくれています。過労で時々倒れてしまいます。趣味は俳句と書道です。私44歳。休日は好きな音楽を流しながら小説を読んだり、友達と会ってしゃべったり、ショッピングに出かけたりしてリフレッシュします。もちろん休日には家事も少々します。ちなみに家族の中でキリスト教の信徒は私一人です。キリスト教との出会いは平安女学院短期大学に入学した時で、聖マリア教会に就職させていただき、子ども達の祈る姿を見て、23歳の時に洗礼、堅信を授かりました。そして現在に至っています。奏楽当番以外には主日礼拝にあまり出席できていない状態ですが、皆さん仲良くしてくださいね。
 最後に教会の皆様方はじめ多くの方々に、幼稚園をお手伝いご協力いただいております事を感謝しています。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

6月から
Pre-Pre Schoolを始めます。

○対象は満2才から就園までの
 子どもたちとお母さまがたです。
○週二回午前10時より11時半まで
 みなさまご一緒に遊びましょう。
下記の日時に説明会をいたします。
どうぞおいでください。
日時:2000年5月18日(木)
   午前10時から約1時間
場所:京都聖マリア教会会館
   1階集会室
お問い合わせは菅原園長まで


ニュースとお知らせ

=受洗=
源豊宗さん(大岡みゆきさん父、104歳)が4月28日自宅で受洗されました。教名はヨナタン、教父母は佐々木功さん、佐々木富美子さん。

=教籍転入=
ヘレナ伊藤美魚さんが京都復活教会から転入されました。よろしくお願いします。

=教籍転出=
○テレジア山下道子さん―大津聖マリア教会へ。
○シモン岩城征文さん―京都教区聖職籍へ。
○モーセ猪俣友次さん・セシリア猪俣美紀さん―高槻聖マリア教会へ。

=故ルカ林恒男氏納骨式=
聖土曜日に林恒男氏(1999年11月27日逝去)の納骨式が行われました。同日午後新島会館にて浦地司祭司式による逝去者記念式および記念会が催されました。

=のんびりキャンプ=
4月29日(土・祝)から30日(日)にかけて聖マリア教会芦生キャンプサイトにおいて「のんびりキャンプ」が行われました。延べ24名が参加されました。

=宮西ゆきさん・良子さん納骨式=
4月29日(土・祝)に行われた宮西良子さん逝去二周年記念式の中で、新納骨堂への納骨が行われました。

=逝去者記念式・納骨式=
5月4日(木・休)、中島三重子さん(下鴨基督教会)ほか遺族の方々が集まって故中島誠さん・名倉洋子さん(次女)の記念式が行われ、新納骨堂に納骨されました。

=中根冬雄さんの近況=
4月19日、北関東教区熊谷聖パウロ教会の藤井文宏執事が森田みどりさん・しおりさんと共に深谷市で入院療養中の中根冬雄さんを訪問してくださいました。同執事からのメールによれば、中根さんは一時よりだいぶお加減がよいようで、枕元にはインターネット版コイノニアのプリンタ出力が貼ってあったとのことです。

=植松糸子さんの病状=
京都厚生園(特老)で療養中の植松糸子さんの病状が悪化し、この連休中二人のご子息が泊まり込みで看病された結果、現在少し持ち直しておられます。お祈りください。三月に武藤主教様がナザレ修女会の八千代修女の依頼を受けて植松さんを訪問し、塗油式をしてくださいました。

=叙勲受章=
このほど谷嘉明さんが紫綬褒章を、佐々木功さんが勲三等旭日中綬章を受章されました。おめでとうございます。

=教会実習=
イサク伊藤幸雄神学生(中部教区聖職候補生・ウイリアムス神学館三年生)が当教会で主日実習勤務をされることになりました。よろしく。

=牧師任命式=
4月15日(土)晩祷の時に武藤主教様をお迎えして牧師任命式が行われました。

=名札をつけましょう!=
受付にある名札に教名・氏名を記入して着用して下さい。持ち帰らずにご自分のメールボックスに入れてお帰り下さい。

=復活日大礼拝に米国から助っ人=
カリフォルニア州パシフィックグローブ市の聖マリア教会をこのほど退職されたドワイト・エドワーズ司祭ご夫妻がたまたま聖週を京都で過ごされ、復活日礼拝のご奉仕を申し出てくださいました。武藤主教様の許可を得て、補式をしていただきました。感謝。

=ミニバザー収益で二階席座布団献品=
このほど二階会衆席の座布団が完成しました。ミニバザー収益によって婦人会がお献げくださいました。感謝。

=当教会ホームページを見て礼拝へ=
復活日を控えた数日間、ホームページを見て礼拝出席を希望する問い合わせが相次ぎました。今のところ英語礼拝が主ですが、ホームページ充実のために一層のご協力ご支援をお願いします。

=復活節中は使徒言行録が読まれます=
新しい聖書日課によれば、聖霊降臨日までの復活節中の主日聖餐式では旧約聖書に代えて使徒言行録が朗読されることになっています。主の御復活によって旧約における神の約束が完全に成就され、新しい教会の時代が始まったからであるとされています。朗読前後の言葉にご注意ください。

=イースター献金・大斎克己献金=
4月30日で締め切りました。イースター献金は総額477200円、大斎克己献金は総額173439円でした。ありがとうございました。

=婦人会の皆様へ=
今年も感謝箱献金をお願いします。この献金はウイリアムス神学館、アジア学院東アフリカの子供を救う会、生野センター等の支援のために用いられています。5月21日(日)までに会計(服部)までお願いします。

=礼拝奉仕に関する懇談会=
5月14日(日)礼拝後、礼拝奉仕者と司祭との懇談会を行います。有志の方々のご参加をお願いします。

=GFSフィリピンキャンプ(第五回)=
日本聖公会GFSと北中央フィリピン教区GFSとの交流をはかる表記の行事が7月27日―8月5日フィリピンで行われます。高校生以上で定員15名。参加費三万円、申込期日5月31日です。

=結婚式予告=
乙野謙さんと加治樹里さん(共に未信徒)の結婚式が6月11日(日)14時30分から行われます。

=司祭神学館講義日程=
ウイリアムス神学館講義のため毎週次の時間帯は留守になります。ご理解とご協力のほどよろしくお願いいたします。
○水曜日8時半―10時半(教理学T)
13時 ―15時(教理学V)
○木曜日14時半―16時半(ヘブライ語T)
○金曜日10時―12時(ヘブライ語U)


他の月の月報へ

インデックスページに戻る