月報「コイノニア」
2000年8月号 No.204


主の母聖マリア

司祭ヨハネ

 天使は答えた。「聖霊があなたに降り、いと高き方の力があなたを包む。だから、生まれる子は聖なる者、神の子と呼ばれる。あなたの親類のエリサベトも、年をとっているが、男の子を身ごもっている。不妊の女と言われていたのに、もう六か月になっている。神にできないことは何一つない。」マリアは言った。「わたしは主のはしためです。お言葉どおりこの身に成りますように。」そこで、天使は去って行った。
       (ルカによる福音書第1章35節―38節)

8月15日は「主の母聖マリア日」です。私たちの教会がその名を冠している聖マリアについて、案外知らないことが多いのではないでしょうか。この祝日を、それとは意識せずに過ごしてしまうことがないでしょうか。キリスト教の歴史の中で、時には行き過ぎと思われる聖母崇敬が見られたことに対する警戒心から、逆に聖母に対する無関心が聖公会の中にも広がってはいないでしょうか。
 東方正教会では六世紀の終りに一連のマリアの祝日が成立し、受胎告知、キリスト奉献、マリアの誕生日と並んで、8月15日をマリアのドルミツイオ(聖母就寝祭)として祝ってきました。これらの祝日は徐々に西方にも浸透し、1000年頃までには西方の教会暦に組み込まれました。8月15日は「マリア被昇天の祝日」として813年に西方で公式に祝われるようになったと言われます。「被昇天」とはマリアの体が死による腐敗を免れて天に挙げられたという意味です。それは「就寝(永眠)」と必ずしも同じではありません。祝日として祝いながらも、「被昇天」をめぐっては西方教会内部に根強い警戒心があり、論議の決着はなかなかつきませんでした。「被昇天」がローマ・カトリック教会の公式の教理として認められて信仰箇条の中に入ったのは、意外に思われるでしょうが20世紀半ば、1950年に出された教皇ピオ12世の大勅書によってでした。
一方、東方教会では、マリアの永眠は「被昇天」でしかあり得ないという理解が早くから確立していました。神の言(ロゴス)を胎に宿し、神である御子に肉を与えた「神の母」が、罪の報酬である肉体の死を免れるのは当然とされたからです。
上に掲げたのはロシア・イコンで、15世紀トヴェル派の「聖母被昇天」です。横たわる聖母の周りで十二使徒をはじめとする聖人たちがその死を悲しんでいます。一方、中央ではキリストが、聖母を生まれたばかりの幼児の姿でご自分の手に受けておられます。さらに上方には、天国で聖母が神の御前に執り成す方として慎み深く座り、それを取り囲む天使や使徒たちは、神を賛美する天の全会衆、勝利の教会を表わします。聖母就寝祭聖務の晩課では次のように歌われます。「地の果てに住む者よ、来たれ、誉れある神の母が天に移されたことをたたえよう。ご自分の汚れない魂を御子の手にゆだねられた。その聖なるおん眠りにより世は目覚めさせられ、天使と使徒とともに詩と賛歌と歌をもって喜び祝う」(古谷功著『イコン』より)。
不従順によって死すべき者となった人類の母エバに対して、「お言葉どおりこの身に成りますように」という従順により神の母となったマリアは、キリストを第二のアダムとするなら第二のエバです。神が御子によって救いの御業を成し遂げられるとき、マリアの協力を必要とされました。そのように教会も御業の遂行のために従順と協力を求められています。マリアは聖化された教会の姿です。私たちにやがて起こる体のよみがえりを先んじて示すのが被昇天です。マリアを正しく理解することは教会にとって不可欠の要件なのです。


堅信式行われる

 7月30日(日)午前10時45分より、武藤主教様の司式・説教により、堅信式が行われました。マーガレット津田恵理子(教父母・南寛、人与紀久子、長谷川寛子)、バルトロマイ南耕祐(教父母・津田繁、津田恵子、久保田栄三)のお二人が按手を受けられました。
 この日は聖歌隊のご奉仕もあり、入退堂のプロセッションも行われ、ギター伴奏やソプラノ独唱も入ったアンセムと、素敵に堅信式に花を添えました。
 本人たちより緊張していたのは双方のご両親。津田恵子さん談「自分の堅信の時より感激しました」。


第2回SDGコンサートも大盛会!

 7月20日(木・祝)午後2時より第2回SDGコンサート・ビワコブリリアントコンサーツが当教会礼拝堂で行われました。来場者数150名。
演奏は弦楽アンサンブル5名とソリスト2名、そして合唱16名という編成で素敵な音楽を響かせてくれました。
 プログラムはレスピーギとペルゴレージのスタバト・マーテル、そして我が聖歌隊お得意のモーツァルトのアヴェヴェルムコルプスと、なじみのある曲で、特にお二人のソリストの独唱が素晴らしく印象的でした。
 このコンサートでわかったこと、この礼拝堂は第1回SDGで実証された「管楽器に向いている」に加えて、「声にも大変向いている」ということです。少々響きすぎという感じはあるものの、立ち位置、その他工夫をすれば、京都の、いや日本のどのコンサートホールにも負けない素晴らしい音響であると胸を張って言えます。響きすぎについては吸音材等今後の研究課題とさせていただきます。
 これからSDGは10月1日(日)のバッハ(本山秀毅氏)、11月19日(日)(クラウスオッカー氏)と続いていきます。この二公演は聖マリア教会主催となりますので、宣伝活動、チケット販売等皆さまのご協力をよろしくお願いいたします。
(礼拝音楽委員会 吉村由理)


聖マリア幼稚園コーナー

聖マリア幼稚園はここ数年、園児数の減少に悩んでいます。少子化、新設公立幼稚園の進出、マンモス幼稚園のバス送迎等による遠方からの獲得と、いくつもの原因は挙げられますが、少人数のマリア幼稚園ならではの魅力、特長が信徒の皆さまにも認知されていないようなのが気にかかります。実際に通園してこそわかるその違いを皆さまにもご紹介し、お知り合いの方にも、「話題」として提供していただけたら・・・・と、今号より数回にわたり、在園児父兄にお願いしたアンケートの回答を紹介いたします。

(設問・見学時、現状等を含めて「こんな事が良いと思っている事」は?)

*初めて見学でマリア幼稚園を訪れた時、先生方のとても優しい笑顔で迎えていただき、そして、緊張している娘をとても自然に迎え、遊びの輪に入れてくれた。お兄さん、お姉さんに、親子ともとても感激し、「ここに行きたい!!」という娘の言葉で、こちらに決めました。子供にとっての初めての集団生活、お友達との関係、いろんなルールを保育の中で、自然に身につけられる様に、先生方がサポートしてくれ、また、一人一人の個性をとても大事に出来るまで、その子に合せて、見守って下さる。そんな先生方 と一緒に二人三脚で、子育ての一番大事な時期を過ごせる幼稚園だと思います。毎日のなやみ、不安な事も、ずい分解消されましたし、お母さん達の交流も深まり、自然にお互い助け合える様な関係もとても私にとって心 強いものでした。マリア幼稚園で、子供はもちろん、親もいろいろ成長し、それが自信につながっていくと思います。マリア幼稚園で培われた思いやり、自信は、きっと大きくなってから、もっと形に表れ、「あぁ、マリア幼稚園で良かったなぁ。」と思える事と思います。

*マリア幼稚園のよいところは、子供一人一人、その子の個性を最大に生かして下さるところです。長所も短所も受け入れてもらえることで、子供たちは安心感を覚えているようです。「何が何でも幼稚園に行く!」毎日幼稚園に行くのが楽しくて仕方が ない、子供は自分を愛してくれる先生方とお友だちが何よりも大切なようです。

*毎日の送り迎えの時間は、子供との貴重な会話の時間です。また、子供以上に毎朝幼稚園に行くのを楽しみにしています。(マンモス幼稚園にはない)きめ細かい、愛情こもった保育をして頂いてます。 素朴な昔ながらの幼稚園で、素直な子供に育てて頂いているとおもいます。小さい頃から神様に出会い、感謝する心、敬う心、素直な心を自然に身につけさせて頂いてると思います。本当に楽しく、毎日幼稚園に行くのが大好き、先生大好き、友達大好きな親子になれます。送り迎え時、保護者の方々とはもちろんですが、先生方も気軽にお話して頂き、いろいろ園児のみならず、兄弟の子育ての事や悩んでいる事などいろいろなアドバイスを頂き、すごく心強く人生の先輩としても尊敬させて頂いています。バス通園では味わえません。

=聖マリア幼稚園HP=
http://fame.calen.ne.jp/~stmaria/index.htm


ニュースとお知らせ

=渡辺喜美代さん逝去=
東山老年サナトリウムで長年療養しておられたマーガレット渡辺喜美代さんが7月30日(月)早朝逝去されました。同日通夜の祈り、8月1日(火)葬送式が聖マリア教会で行われました。享年九二歳。

=退院=
鎌田洋子さんは、国立京都病院を無事退院されました。いばらく自宅で静養されて、今はお元気に教会へ来ておられます。

=樋本恵子さん入院中=
樋本恵子さんは腎盂炎で桂病院に緊急入院されました。初め血小板の極端な低下が見られましたが、治療により回復しています。また、腎臓結石もありましたがその後自然に流れて手術の必要がなくなりました。最近は目に見えて回復に向かっておられますが、薬の副作用で歩行に難渋し、まだしばらく入院が続く見込みです。お祈りください。

=教籍異動=
ハンナ高畑ゆりさんの教籍をこのほど九州教区宗像聖パウロ教会(福岡県宗像市)へ送籍しました。

=共通訳「主の祈り」を用います=
日本聖公会・日本カトリック教会共通訳「主の祈り」(別紙)を7月16日から用います。日本聖公会は先の総会で「主の祈り」を共通訳に改めることそ決議しましたが、法規上、最終決定は二〇〇二年の総会を待たねばなりませんので、それまでは「試用」となります。一方、カトリック教会ではすでに二月の臨時司教総会で公式のものと確定されて用いられています。なお、この式文は文の区切りや改行を勝手に変更しないことが条件とされていますので、式文を作るときなどご注意ください。お手元の式文カードは岩城昭夫さんが制作してくださいました。感謝。

=オルターギルド打ち合わせ会=
オルター奉仕の具体的なやり方について、7月16日と23日の主日礼拝後の二回、集まりをもちました。

=オルターリネンとダストカバー奉献=
主聖堂聖卓のダストカバー、小聖堂聖卓のオルターリネンとダストカバーを佐々木富美子さんが制作してお献げくださいました。布地は服部伸子さんが提供してくださいました。感謝。

=伊藤神学生教会実習一学期終了=
一学期の実習は7月9日(日)で終わりました。二学期の実習は9月8日(土)から始まります。

=幼稚園夏休み=
聖マリア幼稚園は7月19日(水)に終業式が行われ、夏休みに入りました。二学期は9月1日(金)からです。

=日曜学校北小松キャンプ無事終了=
7月22日(土)―23日(日)北小松キャンプ場で開催され、子ども約50名、スタッフ・リーダー約30名が参加しました。報告は次号にて。なお、日曜学校礼拝は30日から夏休みに入り、二学期は9月3日(日)から始まります。

=新たな聖研二つ=
これまで月曜日の朝と夕方に隔週でそれぞれ幼稚園保護者と教員を主な対象とする聖研を行ってきましたが、それに加えて新たに朝の聖研と夜の聖研が始まりました。頻度・曜日・時間帯・内容などについては、進めながらご一緒に考えていくことにして、とりあえず7月10日(月)午前10時半と11日(火)午後7時半にそれぞれスタートしました。四つの聖研のどれにでも、またどなたでも、ご参加ください。

=続木創さんミサ曲入選=
立教大学教会音楽研究所主催「教会音楽作曲コンクール」の最終選考が6月11日聖霊降臨日に行われ、続木創さん作曲のミサ曲が入選作品に選ばれました。おめでとうございます。

=バザー委員長決まる=
今年度バザー委員長を南寛さんが引き受けてくださることになり、7月30日に前委員長野本武さんから引継が行われました。この日の礼拝出席者一同は、野本さんに対し拍手をもって感謝の意を表しました。新委員長のもと、バザーの成功に向けて皆様の一層のご協力をお願いします。

=岩城征文聖職候補生礼拝奉仕=
7月23日と30日、教区主教の指示により母教会の礼拝に出席されたのを機に、聖所で奉仕していただきました。

=婦人会例会は30日に=
7月の例会が30日(日)に開かれ、「暑い夏を健康に過ごすために」と題して立石昭三先生のユーモアに富んだお話を聴き、健康のことや病院・医師の選び方など日頃気になっていることをめぐって活発な質疑が行われました。

=海の主日(7月9日)=
管区から来たパンフレットによれば、ミッション・トゥ・シーメンの名称がミッション・トゥ・シーフェアーラーに四月から変わりました。船では多くの女性が働いていること、また、シーメンは船上での船乗りの地位と混同されるとの理由によります(日本ではMtSのまま)。船員たちの最大の脅威はマラッカ海峡などに出没する海賊で、武装してジャンク船で襲い、時には船ごと奪われます。また、賃金の不払いや老朽船による航海の危険も大きな問題とのことです。

=平安女学院『写真で見る百二十五年史』=
創立125周年記念事業として刊行された表記の書籍の寄贈を受けました。

=横浜教区礼拝音楽研修会=
8月23日(水)―25日(金)清里・清泉寮で開催されます。詳細は掲示板でご覧ください。


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