月報「コイノニア」
2000年10月号 No.206


黙想への招き

司祭ヨハネ

あなたが祈るときは、奥まった自分の部屋に入って戸を閉め、隠れたところにおられるあなたの父に祈りなさい。そうすれば、隠れたことを見ておられるあなたの父が報いてくださる。また、あなたがたが祈るときは、異邦人のようにくどくどと述べてはならない。異邦人は、言葉数が多ければ、聞き入れられると思い込んでいる。彼らのまねをしてはならない。あなたがたの父は、願う前から、あなたがたに必要なものをご存じなのだ。
       (マタイによる福音書 第6章6―8節)

主は祈りについてこう語られた後、「だから、こう祈りなさい」と、弟子たちに「主の祈り」を教えられました。
主イエスの御生涯において祈りは特別な位置を占めています。主は祈るためにお一人で山に登られ、長い時間ただひとりそこにおられました(マタイ14・23)。また、朝早くまだ暗いうちに起きて人里離れた所へ行き、祈っておられました。弟子たちが主を探し回っていた時でした(マルコ1・35)。弟子たちが一緒にいたときでさえ、ひとりで祈っておられました(ルカ9・13)。このように、聖書はしばしばひとりで祈られる主のお姿を印象深く記しています。
 日常的な祈りだけでなく、特別な場合に祈られた主のお姿はさらに強く弟子たちの心を捕えたようです。聖ルカは、少年のときすでにエルサレムの神殿を「わたしの父の家」と呼ばれてそこに留まった主を描いています(2・49)。洗礼を受けるとき祈っておられ(3・21)、荒野で四十日四十夜断食して祈られました。十二使徒を選ばれる時には山で夜を明かして祈られ(6・12)、変容の出来事も山で祈っておられる時でした(9・28)。「主の祈り」を教えられる前に祈っておられ、そのお姿を見て弟子たちが「わたしたちにも祈りを教えてください」とお願いしたとルカは記しています(11・1)。祈る主のお姿が、弟子たちを「あなたは神からのメシアです」という信仰告白に導きました(19・18)。その御生涯の集約として、ゲツセマネの祈りにおいて、主は身をもって祈りの本質を示されました。
聖ヨハネは、主が最後の晩餐のときに、どのように祈るべきかを教えられ、また、弟子たちのために祈られたことを記しています。その中で主は「今までは、あなたがたはわたしの名によっては何も願わなかった」がこれからは「わたしの名によって」願いなさいと言われ(16・23、24、15・16)、「父がわたしの名によってお遣わしになる聖霊」がすべてのことを教え(14・26)、「あなたがたを導いて真理をことごとく悟らせる」(16・13)と約束してくださいました。主イエスによって、わたしたちの祈りはまったく新しい段階に入りました。「生きているのは、もはやわたしではありません。キリストがわたしの内に生きておられるのです」と聖パウロは言い切ります(ガラテヤ2・20)。
主が教えられたように祈りたい。主が祈られたように祈りたい。呼吸のように自然な祈りをしたい。わたしたちのだれもがそう願いながら、現実のわたしたちの祈りがそれからはるかに遠いこともしばしば自覚するところです。教会は古くから実に様々な祈りを実践し、経験を蓄積してきました。それは先人たちから伝えられた至宝です。この宝をわたしたち自身のものとするために、今月から毎週水曜日夜に黙想会をもつことにしました。ご一緒にする黙想のひとときが、隠れたところでひとりでする祈りの助けになることを願っております。
(図は15世紀ノブゴロード派イコン「手で描かれざる主の御顔」)


連載
京都聖マリア教会の印象(1)

司祭 ヨセフ 小谷春夫

私が1981年から、牧師を定年退職した1995年まで十数年を過ごした京都聖マリア教会の旧礼拝堂。赤煉瓦造りの礼拝堂は奥行きが深く、祭壇は高く、ステンドグラスから差し込む光に神秘な思いがする聖堂でした。そこで礼拝を守ることを許された日々。毎主日に捧げた三度の聖餐式―暑い日にも寒い日にも必ず出席者のある早朝聖餐式、英語聖餐式、それに敬虔な態度で信徒の奉仕される日曜学校礼拝、ジュニアチャーチ礼拝と続き、中心となる10時45分からの聖餐式の厳粛な思い、一週間はその思いを胸に留めて過ごすことの出来た恵み、感謝の念一杯で、今京都聖マリア教会で過ごした日々を振り返るこのごろです。
 私は、この聖マリア教会は、最初の牧師カスバート司祭の心が込められている礼拝堂が中心となっているという思いから離れることが出来ないでいました。
一九八五年夏、シアトルの教会と交換牧会をするという企画に応じ渡米の機会を得ました。その機会を利用して、カスバート司祭が修練を承けたナショタハウスという神学校を訪問しました。
アメリカ聖公会は十八世紀後半に英国と戦争をして独立を得た歴史的状況から、米国聖公会の中にある独立派と国王派の統合に時間がかかったようですが、1789年には、米国聖公会として統合し独立した組織を整えています。更に米国聖公会独自の聖職養成の神学校を建てるのは1820年代からです。最初それらは東部13州の中に置く考えが中心となりますがやがて西部への進展が開始され、ナショタハウスはその動きの中に、中部ミシガン湖のほとりのウイスコンシン州に1841年に建てられています。西部開拓の機運と共に建てられたからと思いますが、伝道熱は盛んで日本が鎖国を解いてキリスト教布教への禁制を撤去した報をうけて、卒業生を日本伝道に送り出します。マキム主教もその一人で、明治12年(1880年)に来日しておられます。その後に続いてカスバート司祭が来日(1903年)されました。最初、学生伝道を目標とし聖アグネス教会におられましたが、京都鴨川東部が新しく学究地域として開拓されだしたのを見て、この岡崎に拠点を置かれました。そして、ナショタのチャペルに似せて聖マリアの礼拝堂を建てられました。ナショタハウス(神学校)を訪問したとき、実際に見てそのことを確認しました。美しい礼拝を敬虔な雰囲気を漂わせる中で守ることを大切にしています。
 私は、聖マリア教会で礼拝を捧げるとき、自然とその雰囲気に導かれましたが、その基はナショタにあると思います。
(小谷司祭様が京都聖マリア教会の歴史を研究しておられると伺い、無理にお願いして本誌に連載していただくことになりました。その第1回です。)


三つのお願い聞いて

バザー委員長
クレネ人のシモン
南 寛

 今年も11月3日に恒例のバザーが開催されます。しかし、委員長の私には一抹の不安があります。それは、代々のバザー委員長と私との性格の違いです。各方面からのプレッシャーに耐えかね、二ヶ月遅れで、やっと軽い腰を振り始めたのですが、小心なくせに生来のナマケモノ。いつまで続くか自信ありません。期待が大き過ぎると神経性の下痢を口実に、入院療養という事態になるかもしれません。かくなる上は、教会員全員がバザー委員になった気持ちで臨んでいただくほかなさそうです。そこでバザー成功のために三つのお願いがあります。
 お願いその1
チケット買ってちょうだい 
 皆さんの手元にはバザーの案内と共に、食券チケットが届いていると思います。チケットはおでん、カレー、喫茶の栄光の3枚綴りです。チケットの返却は、10月22日まで可能ですが、ご家族の分だけでなく、お知り合いの分も、ぜひご購入ください。追加は何口でもOK。チケット収入が一番確実な売上です。
 お願いその2
寄贈品ちょうだい
 チケットが確実な売上なら、バザーの目玉は寄贈品販売です。もとがタダですから利益が高いだけでなく、お客さんにとっても人気があります。特に定価がはっきりしていて、生活に欠かせな食料品、家庭用品は安定した人気があります。子供服などの衣料品も人気がありますが、大人の古着は今年はご遠慮ください。寄贈品のジョーカー的存在はビール券です。これはあらゆるものに変身しますので、1枚、2枚でも大助かりです。
 お願いその3
売るアホォに買うアホォ、同じアホなら・・・
 バザー開催前日と当日には多くの人手を要します。後日、お手伝いをお願いしますので、よろしくお願いします。寄贈品がたくさん集まり、立派な会場ができても、買い手が来なければバザーは成功しません。お客様は神様イヤお客様はバザーの主役です。お知り合いの方をバザーにお誘いください。また、皆さんも、売手であり買手です。しっかり働き、グハグハ食べて奥様の衝動買いにも目をつぶり?楽しくバザーを成功させましょう。


10/1 第3回SDGコンサート

 10月1日(日)、第三回京都聖マリアコンサート、J・S・バッハ教会カンタータの夕べが開催されました。
 京都芸大の大学院生の若々しい熱気に満ちた演奏と、本山秀毅さんの分かり易い解説で、礼拝堂を埋め尽くしたお客様一人一人にも、楽しく有意義なコンサートになったと思います。今回実施した、お客様アンケートの一部をご紹介します。

▼バッハの教会音楽を礼拝堂のよい響きで聞くことができ感謝でした。(神戸市・女性)
▼正に魂が安らぐ音楽を聴けて心から感激しました。訳文と解説のおかげで、自己の感性と音楽が共鳴した理由がわかりました。また聞きたいです。(西京区・女性)
▼素晴らしいバッハを聞かせて頂き、心に喜びを与えられました。ありがとうございました。御教会のコンサートにとてもふさわしく、よかったと思います。やはり宗教曲は教会で聴きたいです。(左京区・女性)
▼丁寧な説明で聖語と音楽の関係が理解できバッハを身近に感じることができました。このような集まりをまた開いて頂ければ幸いです。今日はありがとうございました。(匿名)
▼すばらしい企画、プログラム、演奏でした。(泉南・男性)
▼宗教音楽ゼミの方が心を込めて本山先生のもとに、主を賛美する音楽の研鑽を積んで下さっていることに感謝です。七八才の老研究者も若返らせていただきました。年に何回かこのような夕べをお持ち下さい。感謝!(左京区・男性)

 お手伝い下さった皆さん、ありがとうございました!(礼拝音楽委員会・続木)


聖マリア幼稚園コーナー

今月号もアンケート特集第3弾。10月1日の願書提出は??

(設問・見学時、現状等を含めて「こんな事が良いと思っている事」は?)
*家庭からはじめて出る社会として、とてもいい環境であると思います。マンモスで目立たなく自分のいいところを見つけてもらえず、いつもうもれたままで自分を出せない幼稚園ではなく、一人一人の個性をのばし、長所を見つけてもらえて、幼稚園での生活を生き生きと思い切り力を出して自分を出していけるところだと思います。大人になって、母になってもマリアでの事が懐かしく思い出せる私のように、昔からのマリアの保育を変わらず続けて欲しいと思います。
*いつも子供の為の保育をしていただき、親も共に育てて頂いています。やさしく、明るく、元気にのびのび私の聖マリア幼稚園に対するイメージです。保護者のおつきあいについても同じです。
*少人数ではありますが、いつ見学に来ても(途中入園でも)先生方や子供達も気軽にお話できて楽しい幼稚園です。又、親子で楽しめる想い出多き幼稚園ですね。保育時間外でしたが、子供がけがをした時、つき添って頂きまして、大変嬉しかったです。他の幼稚園では、あまりつき添う話を聞きませんが・・・。どうでしょうか。
*子育てに忙しいけれど、季節の変化を感じながら、子供を毎日送り迎えして、今まで以上に自然が大好きになれたこと。一人で悩んでいないで、送り迎えの時に色んなお母さんと子育ての話ができること。何よりも子供が毎日幼稚園に行くことを心待ちにしていること!!
*私が一番マリアにしてよかったと思った瞬間は、第一子が卒園するときに作った文集の中で、先生が我が子に書いて下さった一言です。『「楽しいな 楽しいな 幼稚園って遊びにくるところ?」そう言って毎日毎日幼稚園に来てくれましたね。』この短い文の中にマリアに来て本当に良かったなの気持ちが私の中にいっぱい溢れてきました。
*昔のように近い幼稚園に行くという感覚は無くなってきていると思います。でも、近くにいてマリアの良さを知らない人も多くいらっしゃると思います。今のお母さんは何でも比べる事がきっと好きだと思います。物理的な事で比べられると、マイナス面が目立つかもしれません。例えば、延長保育、バス、降園後の課外教室のことなど・・・。でも、少人数だから学年を超えて、先生も園児もだれ1人知らない人はいないし、送り迎えだから突然お友だちと遊びたくなれば、お約束すればいい。お散歩で動物園に行けるし、平安神宮のお庭も見られる。保育にもいろんなハイテク技術なんかを駆使して、親サイドの興味をひく幼稚園は増えてると思います。(具体的には分かりませんが)でも、そんなことをしなくても、子供の五感は敏感に働いていることを毎日感じさせてくれる幼稚園の生活が、マリアにはあると思います。見学に来られるお母さんたちには、まず、少人数だからいいんだよっていう所をもっとアピールすればと思います。

=聖マリア幼稚園HP=

http://fame.calen.ne.jp/~stmaria/index.htm


各部からのおしらせ

=日曜学校=
10月29日(日)秋の遠足。比叡山方面。11月26日(日)感謝祭。
10月17日(月)午後7時半より10月度SS教師会。スタッフの方ご予定ください。

=ジュニアチャーチ=
10月15日の朝の礼拝は都合により22日に延期します。
11月12日(日)秋の遠足。神戸方面。

=幼稚園=
10月1日(日)予定されていた運動会は雨のため7日(土)に延期されました。錦林小学校校庭で午前9時半から開催されます。
10月3日(火)親子芋掘り遠足。4日(水)新入園児面接。26日(木)お誕生会。

=婦人会=
10月22日(日)午後1時半から幼稚園ホールにおいて、婦人会10月例会。一部礼拝。二部バザーお仕事会。

=幼稚園母の会=
10月6日(金)おやつ同好会。16日(月)手芸部講習会。17日(火)幹事会。27日(金)和菓子講習会。

=ボーイスカウト=
10月15日(日)教会にてビーバー隊入隊式。新しく3名の仲間を迎えます。
10月28日(土)・29日(日)静原キャンプ場にてカブ隊秋季一泊訓練キャンプ。
10月22日(日)百井方面へボーイ隊新入隊員歓迎「家族ハイク」。
各隊とも新入隊員募集中です。詳しくは団委員まで。


ニュースとお知らせ

=故中根冬雄さん葬儀と記念聖餐式文備付=
9月3日(日)中根冬雄さんの「お別れ会」が行われ大勢の方々が参列されました。ご協力ありがとうございました。なお、中根冬雄さん逝去記念として「聖餐式」分冊五〇冊を教会備え付けとさせていただきます。

=誕生感謝の祈り=
9月10日、聖餐式の中で森田いずみちゃんの誕生感謝の祈り(旧産後感謝式)を行いました。

=敬老感謝の集い=
敬老の日に最も近い主日の9月17日に、恒例の敬老感謝の集いを行いました。森田朋宏・葉子さん夫婦の司会のもと、婦人会が準備してくださった食事をいただき、ゲームや歌やと楽しく過ごしました。75歳以上の方は28名おられ、104歳の源豊宗さんを筆頭に次の方々です(敬称略)。速水冨貴、星野富士子、星野富美、浦地つね子、中掘孝志、塩見英子、野嶋喜代子、木村忠一、山本進、中堀妙子、白神芳子、上野久子、望月満子、古和菊子、鎌田梅子、山口ヨシエ、三井みさ子、浅井みよ、松本時子、尾崎泰子、椹木信子、木元民、速水佳子、戸川和子、東清士、佐々木功、東節子。

=聖餐準備の式を用います=
9月10日より、聖餐式の直前に聖餐準備の式(祈祷書143頁以下)を用いています。主の贖いのみ業にあずかるためには心の準備が必要です。聖餐式全体を通して与えられる恵みをしっかりと受けとめるために、聖餐準備の式が備えられています。その心を大切にして、準備の祈りの時をもちましょう。

=黙想会を始めます=
10月から、毎週水曜日夕の礼拝に引き続き黙想会を行います。

=堅信50年おめでとうございます=
教区成立記念日(9月19日)にあたり、堅信50年を迎えた次の7名の方々に教区主教から記念品として銀のスプーンが贈られます。野嶋喜代子さん、古館典子さん、市井隆子さん、橘高アヤ子さん、東節子さん、林良武さん、浦地恭子さん。

=伊藤幸雄神学生、教会実習再開=
9月9日(土)から二学期の実習が始まりました。よろしくお願いいたします。

=北海道産「だんしゃくいも」ご注文を!=
毎年好評のおいしいじゃがいも200箱の注文を始めます。10s入り一箱1700円で10月15日(日)お渡しです。建築献金になります。ご希望の方は申込書を続木泰子さんまで。

=長坂かぼちゃ・じゃがいも好評完売=
売上17,498円の内5,000円を長坂聖マリア教会のため、残り12,498円を京都聖マリア教会のためにお献げしました。

=結婚式中止=
10月15日(日)に予定されていた結婚式は、都合により取りやめとなりました。

=ハイオルター留め金と十字架立て完成=
聖堂建築の過程でハイオルターの布類の留め金と錘が失われていましたが、久保田栄三さん苦心の工作により復活しました。目に見えない箇所ですが、フロンタルのずり落ちが起こらなくなったことでお分かりいただけるでしょうか。また、プロセッション用十字架を立てる装置をクリーデンステーブルの後側に取り付けてくださいました。ありがとうございました。

=東海地方集中豪雨被害への支援要請=
中部教区から、特に被災したホームレスの人々を支援する募金と救援物資の要請が来ています。詳細は掲示板でご覧ください。

=重債務国開発協力資金献金=
5月の総会において、「重債務国開発協力資金」設立が決議され、各教区の全収入の0.7%を捧げることになりました。これによれば当教会の献金額は75,126円となります。9月の教会委員会で、これを9月から11月まで3回に分けて、各月第四日曜日の信施金を充てることになりました。九月分については17日の信施金21,971円を送りました。

=マリア教会HPアドレス=
http://www.nskk.org/kyoto/stmaria
当教会のHPが新しいアドレスにホームページを引っ越ししました。このURLは日本聖公会のHP領域の一部を京都教区情報発信委員会の斡旋により、使用させていただいているもので、対外的にも体裁良いアドレスになりました。


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