月報「コイノニア」
2000年12月号 No.208


聖ヨセフの従順

司祭ヨハネ

イエス・キリストの誕生の次第は次のようであった。母マリアはヨセフと婚約していたが、二人が一緒になる前に、聖霊によって身ごもっていることが明らかになった。夫ヨセフは正しい人であったので、マリアのことを表ざたにするのを望まず、ひそかに縁を切ろうと決心した。このように考えていると、主の天使が夢に現れて言った。「ダビデの子ヨセフ、恐れず妻マリアを迎え入れなさい。マリアの胎の子は聖霊によって宿ったのである。マリアは男の子を産む。その子をイエスと名付けなさい。この子は自分の民を罪から救うからである。」
       (ヨハネによる福音書 第一七章二一―二三節)

主の天使がヨセフの夢に現れて、マリアに生まれる男の子を「イエス」と名付けなさいと告げました。その理由として天使は「この子は自分の民を罪から救うからである」と述べます。「イエス」というのは、もともとヘブライ語の名「ヨシュア」(あるいはイェシュア)をギリシア語で書き表した名ですが(新約聖書はギリシア語で書かれています)、その意味は「ヤハウェ(神)は救い」ということです。神はご自分の民を救うために、聖霊によってマリアから男の子を生まれさせられる。そのマリアを妻として迎え入れ、生まれてくる子にイエスと名付けなさいというお告げでした。
 子に名を付けるのは父親の役目でした。名を付けることによって、父親はその子を自分の子として認知します。母と子の関係が直接的・肉体的であるのに対し、父と子の関係は間接的・法的であるといわれます。マタイ福音書の冒頭に「アブラハムの子ダビデの子、イエス・キリストの系図」として長い人名の系列が記されています。その最後は「ヤコブはマリアの夫ヨセフをもうけた。このマリアからメシアと呼ばれるイエスがお生まれになった」となっていて、イエスがヨセフの子であるという書き方をしていません。ヨセフがもし天使のお告げを受け入れなかったとしたら、イエスはこの系図と何の関わりもなくなり、系図自体が無意味になります。そしてダビデの家系からメシアが現われるという預言も成就しないことになってしまいます。
神の御心に対するマリアの従順はよく知られています。マリアの従順がなければ神のみ子が世に来られることがないという意味で、マリアの従順は決定的です。しかし同時に、ヨセフの従順もまた神の救いのご計画の成就にとって欠くことのできないものでした。マリアの従順が新約の民の模範であるとすれば、ヨセフの従順は旧約と新約の接点に立つものと言えましょう。日本聖公会の旧い祈祷書(文語)では聖ヨセフ日(三月一九日)は小祝日でした。新しい現行祈祷書(口語)ではこれが祝日に「格上げ」されています。聖ヨセフの従順の重要性が再評価された結果かもしれません。
よく目にするクリスマスの聖画では、多くの場合、幼子と母マリアが中心になり、父ヨセフは脇役の位置を占めるにすぎません。聖母子像は多く描かれますが聖ヨセフも登場する聖家族像はそれほどでもありません。聖書の中でも、聖マリアは主の十字架の場面を経て昇天の後(使徒言行録一)にも登場しますが、聖ヨセフの名は早々と消えてしまいます。人となられた神の御子のこの世での父親として聖母子を守り、養育し、ダビデの子として世に送り出す務めを黙々と果たして静かに退いていく。そのような聖ヨセフの生涯を想像します。
上の図はキリスト降誕を描いた一五世紀ノブゴロード派のイコンです。左下の聖ヨセフは、老人の姿をした悪魔の試みに耐えていると言われます。 (古谷功「イコン」より)


バザー報告

 早いものでバザーが終わって一月が過ぎ、季節はいつのまにかクリスマスに向けて駆け足を始めています。
当日は、雨男のプライドと晴天特異日という大自然のプライドの間をとって何とか曇天に落ち着き、無事バザーを終了することができました。これも一重に皆さん方のご協力のおかげです。感謝。一番気になる収益ですが総額919857円、ボーイスカウトと折半し、490857円を建築献金会計に納めることができました。まずはめでたし、めでたし。
 普通ならここでバザー委員会は解散となるのですが、今年は何と反省会なるものを開催しました。私が反省会の連絡をすると、「反省会はバザーの後にやったのに、もう一回飲ませてもらえるのですか、悪いですねぇ」などと返事した天然者がおりました。
 それでは、反省会で出された課題を紹介します。

日程
 11月3日は天候も良く、祝日の為、教会行事にも支障がありません。しかし、そのような好条件の日だから他教会・他幼稚園のバザー、その他行事と競合してしまいます。これは来客だけでなくスタッフ数にも影響します。また、前日の会場設営が平日の午後から行わなければならず、スタッフが限定される問題があります。
 以上の前提を踏まえて協議した結果、これ以上贈品の量が増えず、荷物の移動が必要ない幼稚園ホールのみの使用を前提にすれば、夕刻からの設営で準備は可能との結論に至りました。なお、今年は、婦人会担当者の下に寄贈品をコーナー別に下ろしたため、陳列の効率化が図ることができました。今年の準備は、午後2時からホールの設営を開始し、4時過ぎには陳列台は完成していました。婦人会の陳列も午後5時から開始し午後七時には概ね完成していました。また、当日設営作業がかなりあること、飲食関係は11時までは客も少ないことから次回は午前10時30分開場も検討することにしました。

準備・宣伝
 バザーで一番収益が大きいのは寄贈品。今年は寄贈品が少なかったので、9月中旬には寄贈品の依頼ができるように、委員会を立ち上げ、10月に入って寄贈品が少なければ自動車での回収などを呼び掛けるなど余裕を持たせることにしました。
 宣伝については、関係者以外へのPR対象は教会周辺住民であることを考慮し、教会フェンスに開催予告の大看板を設置する他、サンプラザなどのスーパーへ掲示を依頼するなどの対策を講じることにしました。

場所、配置
 屋上の子供コーナーは馴染みが薄いので、園庭が理想的。その方が当者も来場者と交われます。園庭の当日券販売所には教会だけでなくBSの担当も配置すると声掛けがしやすくなる。事務室前駐車場の活用を考える、野菜・干物など通行人が買いそうなものは見えるところに移すなどの課題が出ました。

各コーナー
 受付・会計=10円、50円、100円の釣銭が不足。今年は一万円でのチケット精算が以外とあったので、千円、五千円も必要です。15万円分の釣り銭確保が理想的。
 喫茶コーナー=ケーキが途中で品切れになりました。前売りについては返金するのか、クッキーなど代替え品で対応するのか、事前に決めておくべきとの反省がありました。また、企画の決定が遅く器材の調達が大変でありました。 
洗い場=共同洗場の設置は成功したといえます。喫茶の生クリームも紙で拭くなどの前処理を徹底すべし、人数は十分であったとの意見がありました。
 寄贈品・手作品・雑貨=寄贈品が少なかったので人数は足りた。予め担当者が決まっていたのが良かったとの意見もありました。中古衣料品を断ったので売れ残りが少なく済もました。
 ホーリーコーナー=よい雰囲気がありました。高齢者と子供のふれあいの場になればとの期待があるため、JCの参加も検討します。
 カレーライス=おでんとの組み合せを考慮して要検討。
 生ビール・ジュース=発泡酒にして、値段を百円下げたのは好評。
 芦生佃煮・干物=芦生佃煮
は買い取りのため次回は辞め、好評の干物は継続します。
 野菜・萬古焼=野菜の一キロ単位の袋詰は重いとの声あり。萬古焼も重い為、欲しくても持ち帰れないとの声あり。取り置きなどの対処が必要です。
 綿菓子=好評。担当者の確保を!子供が食べながら転倒した場合危険なので、横から食べる食べ型の掲示をします。
 整理・誘導係=年齢の低いボーイ隊にはやらされているという感覚しか残らないのでは?箇所も多くないので壮年会で担当を検討します。
 その他=焼きいもの復活を望む声ありました。綿菓子人気に象徴されるように、子供たちが安価に買って楽しめるものが必要です。ポップコーンはその代表。
 バザーは収益もさることながら、各部門に所属する多くの人が楽しみながら参加できることが大切です。その為には、スタッフが名札を付けるのも一案です。又、私は来年、味見用の干物を焼く、炉端焼きのおっさんを夢見ています。だってバザーの「バ」は出会いの「場」であり楽しみの 「場」であるからです。

(2000年度バザー委員長 南 寛)


聖堂正面壁十字架の奉献

辻淳一・法子夫妻より十字架が奉献されました。象嵌の専門家辻淳一さんの作品です。高さ100センチ、幅50センチ、厚さ20センチ、総重量8キロ。ステンレス箱型の台に純金の板が象嵌の技法で貼り付けられています。辻淳一さん、富木章さん、辻俊郎さん他3名の方々が製作に関わり、約8ヶ月の日時を費やして完成しました。ステンレスは堅くて象嵌が非常に難しく、大変ご苦労なさいました。12月2日(土)取り付け、3日(日)聖餐式の中で奉献・聖別式が行われました。感謝。

辻淳一さん(中央)と
富木章さん(左)
富木さんは奇しくも
マリア幼稚園の卒園生で
クリスマスページェントにも
出た記憶があるとか..

十字架背面には
寄贈者・製作者の名


11月と12月の教会委員会から

《11月報告事項》
▽コイノニア購読継続意志確認を12月に行う。
《11月協議事項》
▽10月度教会会計報告および礼拝堂建築会計報告承認。
▽来年度教会委員および信 徒代議員選挙について=選挙人名簿確認。11月26日(日)投票用紙発行。投票期間12月3日(日)―25日(月)13時。選挙法改定の是非については受聖餐者総会において論議する。
▽来年度受聖餐者総会日程=2月18日(日)
《12月報告事項》
▽マリア・コイノニア=「教会委員会から」の速報性を高めるために12月号より毎月15日発行とする。
《12月協議事項》
▽11月度教会会計報告および礼拝堂建築会計報告承認。
▽クリスマス祝会(24日)=食事は持ち寄りとする。司会は服部卓爾氏/野嶋久暉氏。
▽来年度献金袋。
▽来年度信伝協委員。
▽当面の主日会計担当。
▽イブ礼拝=聖書日課朗読者。アッシャー等。


聖マリア幼稚園コーナー

クリスマスページェントの練習に一生懸命のこの時期。来年は少人数になり、配役、その他、いろいろと工夫しなければなりません。信徒皆さんのご理解とご協力を!

(アンケート設問・見学時、現状等を含めて「こんな事が良いと思っている事」は?)
*すぐに友達を泣かせてしまって、どこへ行ってもあやまってばかりの毎日を送っていました。幼稚園は、年上の子とも交わり合えるところがいいと思って見学に来てみると、すぐに「お名前は?」と聞いて下さって、何の抵抗もなく仲間に入れてもらって、「こんな子でにみんな仲間に入れてくれるんだー。」と涙が出るくらい嬉しい思いをしました。マリアに通ってよく先生が話してきかせてくださるので、随分と落ち着いた優しい子になってきました。
*人見知りの強い子でしたが、一年間通園させてもらって随分色んな事に積極的にチャレンジできるようになりました。また、友達もたくさんでき、物の貸借、善悪の判断、思いやりなど、知らない間に可能になり、とても成長したように思います。
*親も子も神様を信じ、決して自分の為に何かをするのではなく、「わたしやぼくがこうすることによって、まわりの人達がいい気持ちになり、神様もお喜び下さるんだ」という考えで、何事にも取り組んでいる。先生方がガミガミと大声をはりあげて、子供達を統一することがない。常に子供達は、ピアノの音色により決められた事をめいめいが静かに行動している自分の意志によりである。だから精神的に安心している。
*マリアを見学する前に、大人数、バス通園の園を見学に行きました。ちょうど何かの発表会の前とかで、それはきびしいおけいこの最中でした。
ついていけない子、ウロウロする3〜4人の子は、先生はほったらかし。残りの子でも、楽器などタイミングが遅れると「やり直し!」と言われ泣き出す子も・・・。「すい分、厳しいですね。」と言いますと、「年に何度か、親御さんの見に来られる時ですから、きちんとしたものをお見せしないと、『普段もいい加減なのか?』と思われてしまいますから。」とおっしゃいました。子供達のためというより、親のための様です。加えて「うちは、親御さんにそんなに出て来ていただかなくてもいいです。バスに乗せれば、3時過ぎまでゆっくりしてもらえますよ。」とおっしゃいました。子供のために入れる幼稚園を選ぶのに、親の都合にしている様で驚きました。そういう園が最近ふえていますね。マリア幼稚園は、発表会でも子供達と一緒にゲームもしますし、入園、卒園式も全園児の保護者も参加します。それだけ、子供達に心を向ける機会を与えられていると思います。6才で亡くなった長男のことを思いますと、本当にマリア幼稚園で親子一緒に過ごせてよかったです。もし、親の優先の園に入れて、[園にいた時間は親と全く別行動]の3年間だったら、「もっと、ああしたかった、こうしたかった。」の思いもあると思いますが、これ以上望めぬ程、手をかけて、目をかけていただき、園の中で子どもと一緒に過ごした充実した時間を考えると短い一生をここで送らせていただいて幸せでした。


各部からのおしらせ

=日曜学校=
12月22日(日)クリスマス。

=ジュニアチャーチ=
12月21日(木)教会会館二階においてクリスマスパーティー。

=幼稚園=
12月19日(火)クリスマスページェント。20日(水)二学期終業。
三学期は新年1月10日(火)より。

=婦人会=
11月26日(日)午後1時半から会館ホールにおいて、婦人会11月例会が行われました。

=幼稚園母の会=
クリスマスページェント聖歌隊コーラス練習随時。12月11日(月)幹事会。

=ボーイスカウト=
12月23日(土)クリスマス。
各隊とも新入隊員募集中。


ニュースとお知らせ

=聖洗式=
11月11日(土)15時30分より聖堂でアンナ山本千代子さん(大倉敏子さん実母)の聖洗式が行われました。教父母は服部卓爾さん、伸子さん。

=転居=
芝正己さんが10月下旬、転居されました。住所電話は教会へお問い合わせください。

=入院=
中野豊さんは12月6日(水)腸閉塞で池田市民病院へ入院されました。ずっと食事が摂れない状態が続いています。お祈りください。なお、中野さんは六月末池田市へ転居されましたが、教会委員の任期満了後、石橋聖トマス教会へ教籍を移されます。

=退院=
▽19日朝、メニエール病と高血圧でバプテスト病院に緊急入院されていた浅井みよさんは十二月四日(月)退院されました。
▽人与紀久子さんは11月9日勤務中に階段を転落し、右肘脱臼骨折・右頬骨折で第二日赤病院に入院。20日、右肘の手術を受けられ、12月4日退院されました。

=転院=
▽西山静夫さんは快方に向い、普通食になりました。11月21日に自宅近くの佐藤病院へ転院されました。一か月ほど養生してから胆嚢の手術を受けられる予定です。
▽バプテスト病院に入院しておられた源豊宗さんご夫妻は一時体調を崩されましたが、八瀬の高折病院へ転院され、今は比較的安定しておられるとことです。お祈りください。

=クリスマス総員礼拝について=
例年、「クリスマス総員礼拝」として、降誕日前の主日に降誕日の礼拝が行われてきたようです。京都教区ではよくあることで、降誕日が休日でない日本の現状ではやむを得ない面があるとはいえ、どこの教区でもそうしているわけではありません。一番大きな問題点は、降臨節第四主日が失われてしまうことです。降誕日の前の四回の主日を降臨節として守る習慣は六世紀頃からと言われますが、少なくとも現行の教会暦ではっきりと定められた大切な期間です。降臨節は神の子キリストが人として世に来られた御降誕と、終わりの日に再び来られる再臨との二つの来臨を待ち望む期節として置かれており、聖書日課もそのように選ばれています。主の来臨を喜び迎えるために降臨節を大切にしなければなりません。12月24日の主日礼拝は「総員礼拝」ではありますが降臨節第四主日(紫)として守ります。聖歌隊がご奉仕し、チャントも歌いますが、大栄光の歌は用いません。聖歌も降臨節のものを用います。礼拝はこのように降臨節第四主日として守りますが、礼拝後の祝会は、一足早いクリスマスとして盛大に祝いましょう。降誕日礼拝は24日の深夜礼拝から始まります。詳しくは「クリスマスから新年へ、礼拝のご案内」をご覧下さい。

=逝去者記念聖餐式(レクイエム)=
12月に逝去記念日を迎える方々のための逝去者記念聖餐式は第三水曜日にあたる12月20日(水)午前11時から行います。

=誕生感謝式=
11月19日続木暁音(あかね)ちゃんの誕生感謝式が行われました。

=旧納骨棚聖別解除=
11月10日夜、武藤主教様が幼稚園理事会においでくださった機会に、会館二階の旧納骨棚の聖別解除のお祈りをしていただきました。

=教区会=
11月22日(水)〜23日(木・祝)に教区会が開かれ、十の議案が審理されました。「京都教区災害緊急基金の設立」、「教役者給与規程の一部改正」、「教区会開催に関する教区規程の一部改正」、「教区収益事業の変更」、「来年度経常費予算」が可決され、次の六名の新常置委員が選出されました。原田司祭、古賀司祭、文屋司祭、菊地泰次氏、服部卓爾氏、尾松澄代氏。

=総務局長人事=
前総務局長文屋司祭が常置委員になったため、下田屋司祭におはちが回ってきてしまいました。日中時々教務所へ行くことに加え夜の会議が増えるため、夕の礼拝に支障を来すことが多くなるのが残念です。ご理解お願いいたします。

=重債務国支援献金総額=
管区の「重債務国開発協力資金」への献金は9月〜11月の三回にわたり毎月第四日曜日の信施金を献げてきました。その総額は81136円となり、目標を超過達成。ご協力ありがとうございました。

=選挙の投票始まる=
来年度教会委員・信徒代議員選挙の投票が3日から始まっています。締切は12月25日(月)午後1時となっています。

=司祭按手式=
12月9日(土)10時半から主教座聖堂で小林聰執事の司祭按手式が行われ、新司祭が誕生しました。引き続き京都聖ステパノ教会勤務となります。


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