月報「コイノニア」
2002年7月号 No.227


イスラームをめぐって(十)

司祭ヨハネ

おまえたち、礼拝を守り、きめられた喜捨を行え。神にりっぱな貸付を行うがよい。おまえたちがおのれのためにあらかじめ行ったことの報酬は、いずれ神のみもとで見いだすことになろう。それは、もっともよく、もっとも大きな報酬にちがいない。 (七三「衣をかぶる者の章」二〇)
喜捨は貧者、困窮者、その募金にたずさわる者、心をなびかせた者、また奴隷、負債に苦しむ者のために、それに神の道のために、旅人のためにのみあてるべきである。これは神の定め、神はよく知りたもう聡明なお方である。(九「悔い改めの章」六〇)
汝は彼らの財産のうちから喜捨を受けとったならば、それによって彼らを清め、かつ浄化し、彼らのために祈ってやれ。汝の祈りは彼らのために安らぎとなろう。神はよく聞き、よく知りたもうお方。 (九「悔い改めの章」一〇三)

五行(信仰告白・礼拝・断食・喜捨・巡礼)のうち「喜捨」がまだ残っています。財産はすべて神の恩恵によるものであって、惜しみなく施すことが善行の一つであるとムハンマドは教えました。コーランは喜捨を重要な義務として繰り返し強調しています。相互に助け合うことだけでなく、「自分自身の貪欲をよく抑え」(六四・一六)「己の身を浄める」(九二・一八)ためでもあり、また、改悛や贖罪のためにも喜捨が勧められます。浄めとの結びつきが特徴的ですが、これについては次の機会に取りあげます。
 冒頭に掲げた最初の句など、キリスト教とかなり異なる考え方も目につきます。喜捨は自分のために行うもので、神への貸付であり、最大の報酬が約束されている。あたかも神との取引のようです。また、ひそかに行う施しが最善で、悪行を帳消しにするものであるとしつつ、目立つ施しもよいものとして肯定されています(二・二七一)。
喜捨を受ける側から言えば、施す者に自分のための善行を積む機会を与えることであり喜捨した者を浄化し安らぎを与えることである(冒頭の三つ目の句)。喜捨はムスリムの相互扶助であると言われますが、単に一方向の物質的援助ではなく、文字通りの「相互扶助」が喜捨において成立することに注目すべきでしょう。イスラーム世界を実体験した人から、彼らは施しを当たり前のように受け取って謝意も表さない、と憤慨に似た感想を聞くことがよくあります。しかし彼らの論理からすれば当然のことです。また、施しをした人がクリスチャンであれば、謝意というお返しを期待しないで施すことこそ本当の施しということになるはずです。
 最初期の喜捨はムハンマドの宣教に対する純粋に宗教的な施しであったと言われます。しかしメディナ聖遷以後、新しい宗教共同体の形成や、聖戦などの政治行動の展開に伴い、喜捨は次第に租税的な性質を帯びて行きます。実際、ムハンマドが喜捨を強調したのはメディナ時代からで、おそらくユダヤ教徒のザカート制を知り、それを取り入れたものと言われています(ザカートという語もアラム語起源のようです)。
コーランでは「喜捨」を表す語として「サダカ」と「ザカート」の二つが使われています。その使い分けは必ずしも明らかでありませんが、後世のイスラーム法では明確に区別されました。サダカは上で見たように信徒が自発的に行う「自由喜捨」ですが、ザカートはすべてのムスリムが義務として支払う「定めの喜捨」として制度化され、その使途にちなんで「救貧税」とも訳されました。ザカートの対象となる財産や所得は、食用作物、ナツメ椰子と葡萄、ラクダ・牛・羊・山羊、金・銀、商品、の五種類に分けられ、それぞれ最低所得額を超える分について税率が定められました。ザカートはアッラーの財としてアッラーの庫に納められ、冒頭二つ目の引用句に列挙された八種の人びとに分配されました。やがて国家が徴収する税と化した時代もありましたが、近年は個人の自発性に委ねられてサダカ的性格のものになっている国も多くなっています。

写真はラマダーン月の終わりに貧者への喜捨のために売られている3キロの米袋(サウジアラビア)


聖マリア幼稚園コーナー

 4月9日から2002年度が始まり、新たな「聖マリア幼稚園」の看板や羊もお目見えしました。7月19日をもって一学期を終了します。過去最低数の26名でスタートした昨年度より増え、40名のスタートでした。そして、一学期終了時には43名になり、9月の二学期には更に5名増えて48名になる予定です。いずれも花組での増員で、定員数25名(うち、満3歳児入園の小花が7名です)きっちりになります。pre-preからの途中入園を含め、賑やかになるのでとても嬉しく思っています。教会の方々には、(特に昨年度は)物心両面での支えを頂き本当に感謝しております。この園児数の推移をコイノニアを通して是非ともお知らせしなくてはと考えました。また、この人数は先生ひとりひとりの頑張りでもあります。そして、特に三歳児のクラスでは、従来の副担任の体制がとれないものかとハローワークを通したところ、四年間の幼稚園教諭経験のある先生と出会えました。様々な事情を考えあわせてアルバイトとして来て頂きます。9月から来年3月の卒園式まで、また子供達の降園後30分までという仕事になりますが、アルバイトとは言え、幼稚園の仕事を経験し、責任ある仕事である事は重々承知の上なので、麻衣先生の助け手として子供達のお世話をして頂けるのではないかと思っています。また、機会があればみなさまにご紹介したいと思います。pre-preも九月から新たなメンバーを迎える事になっています。
 そこで、また皆様にお願いする時期がやって参りました。来年度の入園願書交付が9月1日より始まります。受け付けは10月1日からです。9月中には「子育て支援講演会」をはじめ、入園説明会、保育見学会を予定しております。今、その「ちらし」を準備中です。一人でも多くの方々にお勧め下さり、入園募集のポスター貼付と合わせてご協力下さいます様よろしくお願い致します。
 (園長 ルデア菅原さと子)


各部からのおしらせ

=日曜学校=
7月20(土)〜21(日)北小松キャンプ。
7月28日〜8月25日まで夏休み。

=ジュニアチャーチ=
8月は18日(日)10時より朝の礼拝(礼拝堂)。4日は第1日曜ですが芦生キャンプですので礼拝堂での朝の礼拝はありません。
ジュニアチャーチ芦生キャンプが8月2日(金)〜4日(日)に行われます。参加者、スタッフ(特に二日に車を使える方)募集中です。詳しくは吉村まで。

=幼稚園=
7月18日(木)お楽しみ会。19日一学期終了。
8月6日(火)7日(水)通園夏期保育。8日(木)9日(金)緑組宿泊保育。
26日(月)27日(火)園外夏期保育。
28日(水)教師会

=婦人会=
7月14日(日)午後1時半より教会会館二階集会室にて7月度例会が行われました。
第一部=礼拝・下田屋先生のお話、第二部=幼稚園保護者OBの井上三紀さんによる講演会。演題は「老若男女みんなあつまれ〜〜」みんなで元気に体操教室、第三部=役員よりの諸報告。

=ボーイスカウト24団=
8月2日(金)〜8日(木)日本ジャンボリー(大阪・舞洲)。
15日(木)〜18日(日)ボーイ隊・ベンチャー隊夏季キャンプ(芦生キャンプ場)。
16日(金)〜18日(日)カブ隊夏季カブホリディ(マキノ)。
●創立50周年記念に向かって準備が進められています。それに伴い、各団とも団員募集中。各隊該当年齢にお知り合いのある方はご紹介ください。見学も随時受け付けています。お問い合わせは団委員まで。


ニュースとお知らせ

=木元民さん再入所=
バプテスト老人保健施設に入られた木元民さんは16日に一時帰宅され26日に再入所されました。8月9日まで入所の予定です。

=椹木信子さん入院中=
過日バプテスト病院に入院され、点滴治療を受けておられます。お祈りください。

=谷敬子さん退院=
無事手術を終えて7月12日(金)に退院されました。御加祷ありがとうございました。

=藤原なつきさんオーストラリアへ=
7月6日(土)〜29日(土)、短期海外留学生としてブリスベンで勉強してきます。

=水本千代子さん逝去記念式=
7月6日(土)15時半、水本千代子さん50日記念式を行いました。

=續木満那さん逝去記念式=
7月7日(日)12時半、續木満那さん逝去20周年記念式を行いました。

=逝去者記念聖餐式(レクイエム)=
7月17日(水)11時から7月の逝去者記念聖餐式を行い、次の方々を記念しました(敬称略)。
2日―續木満那(1982)、
5日―マリア松田美也子(1978)、
6日―三井正二(1972)、
11日―マリア太田キヨ(1949)、
12日―笠井金作(1994)、
21日―永田保治郎(1941)、
28日―エステル立石光(1947)、サムエル大槻憲史(1994)、
31日―マーガレット渡辺喜美代(2000)。

=大塚勝聖職候補生執事志願=
当教会委員等の推薦書を添えて執事志願書が提出され、このほど教区主教に受理されました。9月末日から三日間、執事試験が行われます。良き準備のためにお祈りください。

=大塚勝聖職候補生転居=
6月29日、城陽市から中京区へ転居されました。
新住所・電話番号は教会へお問い合わせください。

=『聖所のそなえ』発刊=
山田襄司祭(当時)著『聖所のそなえ』がこのほど岩城昭夫さんのご努力により完成しました。1955年に刊行された冊子の改訂版です。祭壇・聖器・祭服・花・オールターギルドなど聖餐式をめぐる事柄全般についてていねいに解説され、結婚式・葬式などにも触れられています。岩城さんのご好意で教会に50冊いただいていますので、ご希望の方はお申し出ください。教会外の方は岩城さんに直接ご連絡ください。

=信伝協ボーリング大会で京都マリア各賞入賞=
6月30日(日)午後2時よりしょうざんボウルで信徒伝道協議会のボーリング大会でマリアが行われ、楽しい時を過ごしました。わがマリアチームは見事団体優勝を成し遂げ、その他、個人優勝吉村伸さんをはじめ団体ブービー賞までほとんどの賞を独占しました。

=日曜学校賛助会費=
日曜学校賛助会費納入袋を過日メールボックスに入れさせていただきました。續木智子さんがとりまとめ役をしてくださっています。新たに賛同いただける方には封筒をお渡しします。お申し出ください。

=京都教区次期主教選挙について=
武藤六治主教から、来年1月13日(月・祝日)に主教選挙を行うこと、またそのための祈りを求める旨の書簡が届いています。掲示板をご覧ください。お祈りは毎月第一日曜日に行います。


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