月報「コイノニア」
2002年12月号 No.232


東の国の博士たち

司祭ヨハネ

彼らが王の言葉を聞いて出かけると、東方で見た星が先立って進み、ついに幼子のいる場所の上に止まった。学者たちはその星を見て喜びにあふれた。家に入ってみると、幼子は母マリアと共におられた。彼らはひれ伏して幼子を拝み、宝の箱を開けて、黄金、乳香、没薬を贈り物として献げた。            (マタイによる福音書2・9―11)

聖マリア幼稚園のクリスマス・ページェントで、毎年可愛らしい博士たちが登場します。「われらは東の三人(みたり)の博士」を歌いながら、聖堂の入り口から、巡礼者の歩道の赤い絨毯を精一杯大股に踏みしめ、頬を紅潮させて進んで来ます。きらきら輝く大きな星のついた竿を捧げ持つお星様役がそれを先導します。ページェント中動きが最も大きく華やかな場面です。
 この場面でいつも考えます。彼らはどんな星を見たのだろう、どこから来たのだろう、なぜ三人なのだろう・・・。昔の人も同じように考えたようです。そしてさまざまな物語が生まれました。
 彼らはマギ(ラテン語、マグスの複数形)と呼ばれます。マギとはメソポタミアかペルシアに起源をもつ聖職者の階層で、医学、宗教、占星術、天文学、占い、魔術など高度の学問を修めた人々と言われます。ローマのカタコンベに残る原始キリスト教の絵にもペルシアの衣服をまとった姿で描かれているそうです。六世紀頃から彼らは王とされ、顕現日の旧約聖書「国々はあなたを照らす光に向かい、王たちは射し出でるその輝きに向かって歩む」(イザヤ60・3)の預言の成就とみなされます。「三王礼拝」と題する絵が多くあります。
三人という数は、黄金、乳香、没薬の三つの贈り物から来ていると言われます。『黄金伝説』には三人の名まで記されており(ラテン名でカスパル、バルタサル、メルキオル)、多くの従者を引き連れてエルサレムにやってきたとされます。紆余曲折の後、彼らの遺骸はケルン大聖堂に保存されていると言います。
別の伝承では、彼らの肌の色が一人は黒、一人は黄色、一人は白であったとか、年齢が20歳、40歳、60歳であったとか言われます。肌の色は当時知られていた三大陸(アフリカ、アジア、ヨーロッパ)、つまり全世界を代表し、年齢はあらゆる世代を代表すると考えられました。
これらの物語は、史実がどうであったかという関心からではなく、出来事のもつ意味を考えることから出発し、その意味を表現しようとして生まれたものです。実証主義的思考法に慣らされてしまった現代人にとって時に理解しがたく、荒唐無稽に思われるとしても、その根底にある、意味を問う姿勢を見失ってはならないでしょう。
 三王礼拝の物語は漠としているが、彼らが見たという星については天文学的に解明できると考えた人々もあります。ケプラーは木星・土星・火星の合と考え、他にも超新星説、彗星説などが提唱されました。それはそれで興味ある問題ではありますが、仮に事実を解明できたとしても、意味は見えてきません。博士たちが見たものが自然現象としての星であったとしても、そこに意味を読み取ったがゆえに彼らははるばるやってきたのです。
 ユダヤ人の救い主が生まれたというだけなら、日本人には関わりのない出来事でしかありません。異邦の学者たちが礼拝に導かれたからこそ、降誕物語が異邦人であるわたしたちにとって意味あるものとなったことは確かです。

図はジオットの『東方三博士の礼拝』。空にはハレー彗星が描かれている。


Merry Christmas

22日(日)10時45分
降臨節第四主日・総員礼拝・祝会

 マリアの大礼拝にはもはやなくてはならないハンドベルクワイヤー。聖歌隊との息もぴったりで、礼拝音楽委員会の先導のもと、若いメンバーたちの活躍が今年も目を見張りました。
 降臨節第四主日ということで紫の祭色の礼拝ですが、たくさんの会衆が出席され、いい音楽とともに素晴らしい神様への讃美を献げることができました。
 礼拝を終えるとお待ちかねクリスマス祝会。持ち寄りのごちそうはいつもの通りの超豪華版。婦人会の方々を中心に腕に縒りをかけた逸品が並びました。青年会の司会のもと、ゲームあり歌ありと楽しいひとときを過ごしました。子供たちお待ちかねのサンタさんも登場し、プレゼントを手に大喜びでした。

24日(火)19時半
クリスマスイブ・キャンドルサービス]

 「九つの日課による唱詠晩祷」も三年目になります。聖書朗読・黙想講話と黙想・お祈りを各日課ごとに行う形で、蝋燭の光のもと礼拝を捧げました。一般の出席者も多く、旅行者らしき人や、クリスマスイブを二人で過ごすカップルも数組見られました。
 聖書台や聖歌隊席の配置も工夫し、聖マリア教会独自の晩祷の形が出来上がってきました。

24日(火)23時半
降誕日第一聖祭(深夜聖餐式)

 ミッドナイト礼拝は昨年に引き続き聖歌集第五部の聖餐式U(プレイン・ソング)のB、いわゆる「マリア・ミサ曲」による歌ミサです。この時間の礼拝を行っている教会は京都教区でも少なく、これも聖マリア教会の新しい伝統になりつつあります。

25日(水) 降誕日
7時
第二聖祭(早朝聖餐式)
10時45分
第三聖祭(主要聖餐式)

一同主の御降誕を心から祝いました。礼拝後会館ホールで親しい交わりの時をもちました。降臨節第四主日に一足早くクリスマス祝会をもちましたが、やはり降誕日を迎えてはじめて晴れ晴れとクリスマスを祝う気持ちになれるものです。


聖マリア幼稚園コーナー

 去る12月19日、二学期を締めくくる聖マリア幼稚園にとってとても大切な行事「クリスマス・ページェント」が行われました。メインキャストを務めるのは年長組の「緑組」十名です。そして聖歌隊が年中組の赤組さん。また、有志のお父様お母様方がコーラスにご参加くださり、毎年綺麗な歌声を聞かせてくださっています。そしてかわいい小天使・羊ちゃん達に一番小さい花組さん。一年生有志のお手伝いもありました。11月の感謝祭も半ば頃から、緑組はクリスマスを意識して「僕は博士がしたいねん!」「お星さんしたい人手あ〜げて!」と、かなり張り切っていたのです。そしてクリスマスに向けての練習が始まりました。子供達にとってもこの「クリスマス・ページェント」は特別なものです。自分達の兄弟姉妹、またマリアを卒園した憧れのお兄さん、お姉さんが大勢のお客様の前で、堂々と歌や説明をし、きらきら輝くライトに照らさている姿を知っています。そして、自分達が緑組になった時の事を知らず知らずのうちに意識しています。でも、練習は決して楽ではありません。時には厳しい口調で叱咤激励されることもあるのです。緑組は五回の居残り練習もありました。それでも、その時間をも楽しく感じながら練習に励める子供たちなのです。時には上手くいかなくて悔し涙を流し、体調を崩してもみんなと一緒に頑張りたくて、その場から離れようとしないこともありました。そんな中で、小さいながらにしっかりと友達同士相手を思いやり、励ましあい、支えあう心が自然と培われていきます。本番は、午後5時半から礼拝堂で行われました。登園してきた子供達は緊張と興奮とでちょっと落ち着きません。いつもとの違いを肌で感じているのかな…?ベストリーはこの日は緑組の控え室。緊張と戦いながら、隣のお友達の手を取り合って「大丈夫、大丈夫」と声を掛け合い、「なんだか、緊張で涙が出てきそう」といつもと確実に違う子供達の表情を目の前に、私自身も口から心臓が出るという感覚が分かる気がしました。本番までの子供達の頑張りと粘りを知っているからこそ、この日の子供達の一生懸命な姿にお母様方も、また先生達も温かな気持ちになりました。素敵なクリスマスを子供達と過ごせる幸せを感じながら、今年も子供達の成長を感謝し、無事「クリスマス・ページェント」を終えることができました。
              (教諭・サラ生谷朋子)


第一回まりあ寄席開催!

1月19日(日)午後3時30分より、「第一回まりあ寄席」が開催されます。新しい試みで年3回ペースで定例化していく予定です。ご協力お願いいたします。


ニュースとお知らせ

=椹木武夫さん逝去=
12月14日(土)7時40分、京都民医連第二中央病院でテモテ椹木武夫さんが逝去されました。享年84歳。15日(日)19時通夜の祈り、16日(月)14時葬送式が教会で行われました。

=ハンナ星野富士子さん逝去=
12月31日23時30分、西京都病院において急性心不全で逝去されました。享年93歳。1月3日通夜の祈り、4日葬送式が当教会で行われます。

=谷敬子さん退院=
耳の手術を受けられた谷敬子さんは、12月7日に退院されました。

=大塚勝新執事誕生=
12月7日(土)の聖職按手式において大塚勝聖職候補生が公会の執事に叙任されました。聖餐式の執事の部分を担当されます。

=フェア・リネン・クロース奉献=
聖卓およびハイオルターのフェア・リネン・クロースを婦人会が奉献してくださいました。五天制作のしっかりした布地と縫製で、予備にもう一組制作中です。12月15日(日)に聖別され、この日から使い始めました。

=チャジブル補修=
傷みと汚れが目立っていた紫のチャジブルの裏生地補修を中井弘子さんが手配し、費用をお献げくださいました。大層きれいになり、また使いやすくなりました。

=逝去者記念聖餐式(レクイエム)=
12月18日(水)11時から逝去者記念聖餐式が行われ、次の方々を記念しました。(敬称略)
1日―ダニエル野嶋勺(1975)、
3日―星野英謙(1943)、
9日―吉田勇(1971)、
11日―バルナバ速水経憲(1920)、菊地忠夫(1934)、岸喜国(1980)、
12日―ラファエル服部喜三(1978)、
19日―吉田花子(1992)、
21日―モニカ尾上千代、
24日―アクラ中島誠(1975)、
25日―トマス立石愛二(1980)、
26日―エリザベス西原信、
28日―ヒルダ中野京子(1995)、
29日―*アクラ浦地辰雄(1985)、
30日―ドロシー・デッソー(1980)、エリザベス岸喜江(1989)

=教会委員、信徒代議員選挙結果=
12月25日開票の結果は次の通りです(五十音順・敬称略)。
【教会委員】
(12名) 佐々木亨、菅原さと子、立石昭三、辻法子、続木創、新實康男、
西逸郎、野嶋久暉、野本武、南寛、森田朋宏、吉村伸。
(次点宗像康雄、次次点浦地愛。有効投票数87、無効0、白票1)
【教区会信徒代議員】
(3名)谷嘉明、新実康男、服部卓爾。
(次点佐々木功、次次点佐々木亨。有効投票数83、無効2、白票3)

=結婚式予定=
1月12日(日)14時から飯田秀樹・松井千穂さんの結婚式が行われます。

=主教選挙のための臨時教区会=
1月13日(月)10時30分より主教座聖堂において開催されます。新たに選出された3名の信徒代議員、谷嘉明さん、新実康男さん、服部卓爾さんが出席されます。


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