月報「コイノニア」
2003年2月号 No.234


エジプトに逃れ

司祭ヨハネ

占星術の学者たちが帰って行くと、主の天使が夢でヨセフに現れて言った。「起きて、子供とその母親を連れて、エジプトに逃げ、わたしが告げるまで、そこにとどまっていなさい。ヘロデが、この子を探し出して殺そうとしている。」ヨセフは起きて、夜のうちに幼な子とその母を連れてエジプトへ去り、ヘロデが死ぬまでそこにいた。それは、「わたしは、エジプトからわたしの子を呼び出した」と、主が預言者を通して言われていたことが実現するためであった。
(マタイによる福音書2・13―15)

 東の国から占星術の学者たちが訪れたこと、ヘロデ王がベツレヘムとその周辺の二歳以下の男の子を殺させたこと、幼な子イエスは難を避けてエジプトに逃れたこと、これらはマタイ福音書だけに記されている物語です。学者たちの訪問は星の導きという光輝くイメージを伴い、主の御降誕に高貴な花を添える物語であって、それなりにはっきりした意味づけが可能です。しかし、その学者たちの訪問が契機となって、幼児虐殺が引き起こされました。ご降誕の光と喜びとは対照的に暗く悲惨な物語であって、なぜそのような酷い出来事が起こらねばならなかったのか、不可解に思われます。けれども、そのことはしばらく措いて、まずエジプトへの逃避について見てみましょう。
下に掲げたのはジオットの絵です。右端のヨセフを先導役として、中央に毅然とした姿で描かれたマリアと幼な子は、逃れ行く者というより勝利者の凱旋のようで、ロバに乗ったその姿は主イエスのエルサレム入城を連想させます。マタイはこの出来事を預言者ホセアの預言「まだ幼かったイスラエルをわたしは愛した。エジプトから彼を呼び出し、わが子とした」(ホセア11・1)が実現するためであったと述べています。速水敏彦先生はこれを、イエス様の十字架の死が「新しい出エジプト」の開始であると考えた初代教会の信仰を受け継ぎ、そのことがイエス様の誕生においてすでに予表されていることをマタイは示したかったのだ、と指摘しておられます(『イエスの教え―マタイのアングル』296頁)。おそらくジオットも同じような理解をもってこれを描いたのではないかと想像します。
同時にこの出来事は、「狐には穴があり、空の鳥には巣がある。だが、人の子には枕する所もない」(マタイ8・20)と言われたように、この世に安住の場所を持たれなかった主のご生涯を暗示しています。それは常に旅するご生涯でした。「新しい出エジプト」の出来事として、この世を過ぎ越して行かれる主のご生涯でした。
勝利者の姿で描かれる主のエルサレム入城の出来事は、それを記念する「しゅろの主日」(復活前主日)が聖週(受難週)の始まりであることに示されているように、十字架への道の門出でした。弟子たちにも見捨てられ、惨めな敗北者のように十字架につけられて死んだ主が、即復活の勝利者であるという逆説に、キリスト教信仰は根を置いています。エジプトへ逃れる聖家族の姿の中に、ジオットはこの逆説を見事に表現しているように思います。
幼な子たちの虐殺は、光あふれる降誕物語の中でこの世の闇を現わすかのようです。光の出現により闇は一層深まるかのようです。「光はやみの中に輝いている。そして、やみはこれに勝たなかった」(ヨハネ1・5聖書協会訳)。無意味に見える死は決して無意味では終らない。と言っても、やはり不可解です。この不可解の前に立ちつくすしかないのでしょうか。


2003年度
受聖餐者総会開催

教会の教勢と活動報告

 2002年度は下田屋司祭に交代して3年目に入り、礼拝についても新しい試みが行なわれました。前年度の降誕日第一聖祭(クリスマス・ミッドナイト・マス)に加えて、第五日曜日はマリア・ミサ曲による唱詠文語聖餐式が行われました。また、礼拝への主体的参加を一層促すために、「新しい歌を主に向かって歌え―みんなでつくる聖餐式」をテーマに信徒各層の企画による礼拝を、マリア・ミサ曲と同程度の頻度で、第五日曜日のある月の翌月の最終日曜日に行うことになりました。礼拝についての具体的な企画は、各グループと礼拝担当教会委員及び司祭による礼拝実行委員会での検討を経て実施することとし、11月17日に青年会の担当による一回目の礼拝が行われました。

各部門報告

総会資料に沿って各部門の代表者から活動報告が行われました。婦人会からは、「来年度から教会委員会に婦人会の代表を婦人会連絡係として加えていただきますよう」にという要望が出されました。これは、教会委員会と婦人会との連絡が緊密でないため、行事等の準備が十分整わないことが多かったという経験から出されたもので、婦人会代表が教会委員会の協議に加わることによって、婦人会の働きをスムーズに教会の働きに活かしていきたいという趣旨によるものです。また、これを契機に婦人会の中で代表を選出する意味を考えるはずみにしたいという狙いもあります。この要望については、次の教会委員選挙までに成案を得るよう、教会委員会で検討していくことになりました。
 今総会の特徴としては、日曜学校および幼稚園の活動報告に関する意見交換が多かったことが挙げられます。日曜学校については出席者減少に関する質問があり、ボーイスカウト活動と日曜学校の両立・連携の必要性が指摘されました。幼稚園については活動の対外的なPR方法についての質問や意見が出されました。下田屋司祭は、幼稚園教職員全員が現在受聖餐者で日曜学校の教師を兼任しているという例は他の教会では少なく、幼稚園の存在を日曜学校との関係でも大切にしたいと述べておられました。幼稚園、日曜学校の教師だけでなく私たち信徒一人ひとりが、将来の教会活動を担う子供達のために何が出来るかを考えるところからも、今年度の目標「主日礼拝出席者常時百名超、現在受聖餐者三百名」達成に向けての働きを始めることができるのではないでしょうか。
 (書記・南寛・菅原さと子)


婦人会2月例会報告

 2月23日礼拝後の婦人会2月例会は、立石昭三先生に「カンボジアの光と影」という題で、カンボジアの結核およびエイズの全国調査に行かれたお話を聞きました。プロジェクターを用いて現地の写真を見せていただきながら、現代の私たちの生活とかけ離れた世界を目の当たりにしました。私たちの生活では当たり前にある「電気」。その電気がない中での治療。貧しく不衛生な中での闘病生活・・・考えられないことばかりでした。私たちの悩みは、彼らから見るとなんと贅沢な事なのだろうと、改めて考えさせられ、反省させられました。
 そのような中で一生懸命生活をされている現地の方々のために、何か出来ないかとお聞きしたところ、日本からのほんの少しの援助も、彼らにとってはとても大きなものであり、それらを心待ちにしておられるという話を聞き、早速、私たちも取り組めるのではないかと思っています。
 贈り物をするにあたっての品物の相談や、それを持っていってくださる方も、立石先生が紹介していただけるということでした。その計画が実現した際には皆さま、どうぞよろしくお願いいたします。
 このようなすばらしい働きをしてくださっている立石先生という方が私たちの身近にいらっしゃるということを再認識し、改めてそのお働きに感謝し、できる範囲でのお手伝いをみんなでしていきたいと思った一日でした。 (報告・サラ 吉川まゆみ)


聖マリア幼稚園コーナー

 今年度はインフルエンザの猛攻で止む無く予定を繰り下げました。それは、最後の行事の「春のつどい」と卒園式です。10名の年長(緑組)は7つの学校へと巣立って行きます。唯一錦林校へ4名が行き、あとの6人は別々の小学校に右代表で聖マリア幼稚園を背負っての入学です。子供達自身は今、きっとドキドキの状態だと思いますが、私達は心配はしていません。各々の学校で、ゆっくりだけど、自分を発揮し、学校生活を楽しんでいく事でしょう。また進級児は新しい名札をもらわなければとやはり緊張の中、不安と期待を心に秘めて、最後の「春の集い;3月8日」の練習に励んでいます。
 さて、ここで、教会には特にお世話になっているプレプレスクールの状況をお伝えしておきます。3月13日をもって今年度も修了します。在園生の保護者の方々にはボランティアでお手伝いをしていただきました。教材の出し入れ、弟妹のお守り、おやつの準備など。お陰さまで満3年を終えようとしています。先日の信徒総会でもご報告いたしましたが、現在の17組の中で就園年齢に達している10人のうち7人が、この幼稚園に入園して下さる事になりました。そして、小花組としてもう一年、花組に籍をおく子供達と共に、マリア経験者が14名になり、来年度の花組22名(3月末にもう一人入園予定です)のリーダーとなって、他のお友達を率いてくれることでしょう。この3年間にプレプレに関わって下さった子どもたちは53人(来年度に残る子どもたちは省く)、そのうち幼稚園に入園して下さった子ども達は28人にものぼります。何とか順調に入園して頂いているように思います。
 100パーセントでないのが良いと思っています。少子化になったのをきっかけに、また文科省から正式に満三歳児入園が認可されてすぐに、このクラスを開始したのが良かったように思います。皆様の御協力の賜物です。
 でも、今のミレニアムベイビーの波が終わればどうなるのか!?母親迎合型が増せば・・と。とにかく絶対数が少ない少子化には変わりありません。そして、ミニ塾のような幼稚園版が次第に出来かねない情報も伝わって来ています。私学の独自性が変な方向に行かないようにと強く願います。しかし、何はともあれ、子供達の為に大切な部分を残し乍ら、新しい事にはダンボ耳で捉え、子供達の為に頑張りたいと思います。残り少ない今年度を無事に終え、新年度に繋ぎたいと考えています。感謝。 (園長 ルデア菅原さと子)


各部からのおしらせ

=日曜学校=
毎日曜日9時30分より朝の礼拝(礼拝堂)。
3月3日(日)浦川神学生お別れパーティー。16日(日)卒業お祝い会。
23日(日)動物園へおさんぽ。
30日〜4月6日春休み。
4月13日(日)入学式・進級式。
3月14日(金)午後七時半より教師会。

=ジュニアチャーチ=
3月は2日(日)、16日(日)10時より朝の礼拝(礼拝堂)。
3月29日(土)に入学・卒業・進級パーティーを開催予定。

=幼稚園=
3月3日(月)母の会総会。7日(金)理事会。
8日(土)春の集い。10日(月)お誕生会。
18日(火)お別れ会。20日(木)修了式。21日(金・祝)卒園式。

=婦人会=
2月23日(日)午後1時半より教会会館二階集会室にて二月度例会。

=ボーイスカウト24団=
<ビーバー隊>ホームページができました。ぜひご覧下さい。
http://plaza.rakuten.co.jp/bskyoto24bvs
<カブ隊>3月21日(金・祝)〜23日(日)春季カブホリディ(滋賀県葛川少年自然の家)
<ボーイ隊>3月21日(金・祝)〜23日(日)春季キャンプ(滋賀県上桐生キャンプ場)
<ベンチャー隊>3月21日(金・祝)〜23日(日)春季キャンプ(滋賀県上桐生キャンプ場)


ニュースとお知らせ

=被献日マリアミサ曲=
2月2日被献日が主日に重なりましたので、マリア・ミサ曲による文語唱詠聖餐式が行われました。皆さんもうすっかりおなじみで、格別な練習もなしに見事に歌い通しました。

=受聖餐者総会要項作成作業=
2月8日(日)15時から、大勢の教会員が集まって総会要項『教会のあゆみ』の印刷・製本作業を行いました。また、これを9日(日)の礼拝出席者が手分けして欠席者のところへお届けし、郵送料節約に協力しました。

=信徒名簿完成=
永らく課題になっていた信徒名簿が吉村伸委員のご尽力によりこのほどできあがりました。
名簿には個人情報が入っていますので取り扱いに特にご注意ください。

=逝去者記念聖餐式(レクイエム)=
2月19日(水)11時から、次の方々を記念して逝去者記念聖餐式を行いました(敬称略)。
1日―星野せい(1961)、
2日―星野敏謙(1975)、マリア森重孔美子(1988)、
4日―ヨハネ速水久彦(1985)、 続木ハナ(1955)、
5日―*大道静代(2001)、*ローズマリー大道佳子(2001)、
6日―エノク上羽国蔵(一九七五)、
8日―*伊藤富美子(1992)、
9日―谷亮三(1973)、
10日―*アブラハム松永了(さとる1999)、*木田祐次(続木智子父1970)、*奥村金吾(2003)、
11日―岸三樹江(1970)、
13日―司祭高松孝治(1946)、
14日―林 和(1975)、
18日―ヤコブ速水保彦(1988)

=大斎克己献金袋=
今年の大斎節は3月5日から4月19日までです。管区から大斎克己献金のしおりと献金袋が来ています。各自お持ち帰りください。

=大斎始日礼拝=
3月5日(水)11時から大斎始日礼拝が行われます。

=大斎早朝聖餐式=
大斎節中の平日、大斎早朝聖餐式を行います。御聖体に養われて大斎節を完走しましょう。

=浦川慎二神学生実習終了=
3月2日(日)に一年間の教会実習を終了します。同神学生は二月二三日の主日礼拝で奨励を行いました。

=ウイリアムス神学館卒業式=
3月7日(金)11時から主教座聖堂で行われます。アルバン阿部芳克(北海道教区)とシモン岩城征文(京都教区)両神学生が卒業、ペテロ岩城聡聖職候補生(大阪教区)が修了の予定です。

=教区人事異動公示=
掲示板でご覧ください。当教会出身の岩城征文聖職候補生は彦根聖愛教会勤務となります。


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