月報「コイノニア」
2004年7月号 No.251


イスカリオテのユダ

司祭ヨハネ

さて、過越祭と言われている除酵祭が近づいていた。祭司長たちや律法学者たちは、イエスを殺すにはどうしたらよいかと考えていた。彼らは民衆を恐れていたのである。しかし、12人の中の一人で、イスカリオテと呼ばれるユダの中に、サタンが入った。ユダは祭司長たちや神殿守衛長たちのもとに行き、どのようにしてイエスを引き渡そうかと相談をもちかけた。彼らは喜び、ユダに金を与えることに決めた。ユダは承諾して、群衆のいないときにイエスを引き渡そうと、良い機会をねらっていた。
         ルカによる福音書22・1―6


 金の入った袋をしっかり握りしめて立つユダ。その手をとらんばかりにして語りかけているのは祭司長でしょうか。右側にはユダを指しながらひそひそ話をしている二人の人物。そしてユダの背後からサタンが彼に手をかけています。モノクロ図版でしかご覧いただけないのが残念ですが、原画では、控え目ながらも効果的な色彩が用いられています。ユダの衣は金袋と同色で、上から下まで輝くような黄金色です。対する相手は赤に近いえんじ色で、この二人の姿が、他の人物のくすんだ色調や暗い背景の中から浮き出しているように見えます。このユダの相手は宮きよめ(3月号)の場面にも登場しています。彼が神殿の祭司長であるとすれば、ユダの姿はさしずめ黄金に仕える祭司でしょうか。その表情はいかにもいやしげです。
サタンの姿は、形があってないような黒いシルエットで描かれますが、ユダにかけたその手だけは異様な存在感を示しています。あたかも、暗い濃紺の背景が凝集して、非存在としてのサタンが姿を現し、ユダの黄金色の衣にはっきりした手形を印しているかのようです。
これを見ていてあらためて気づきましたが、夜空のようなこの暗い濃紺の背景は、イエスの生涯を描いた一連の壁画のほとんどすべてに共通しています。それゆえこの色が、これらの絵で覆われたスクロヴェーニ礼拝堂の壁面全体の背景色となります。それはこの世の闇を象徴するかのようで、それによってイエスの全生涯の出来事が闇の世を舞台として展開されたこととして浮き彫りにされ、同時に、闇の力との対決と勝利というテーマが壁面全体を通して表現されることになります。そうだとすると、闇の凝集としてサタンが姿を現すこの場面は非常に重要であり、影のようなサタンこそ、この場の主人公となります。
『ユダの弁護人』(1975年、ワルター・イェンス)という書物を思い出します。フランシスコ会の一司祭が、ローマ教皇庁の礼部聖省に対して、イスカリオテのユダを福者の列に加えるべきであるとする列福誓願を行った、というフィクションです。ユダは天の栄光に入ったのであり、公に表敬されてしかるべきだというその主張の根拠は、ユダなくしてイエスの十字架はなく、十字架なくして救済の御計画は成就しなかったということです。だれかがそれをしなければならず、それをするのは神ではなく人間でなければならず、しかも裏切り者としてさげすまれ見捨てられることを覚悟せねばならない。その役回りを自らの意志によって引き受けたユダは、イエスと同様、神のみ心の成就のために己をささげた真の殉教者である。光であるイエスのために、ユダは闇とならねばならなかった。彼はサタンとして神の証人となった、という主旨です。あなたはどう考えられますか。


報告!
将来計画懇談会

 7月11日の第2回目の将来計画懇談会。今月は将来の夢や希望について語っていただきました。題して「マリア教会―あんなこといいな、できたらいいな―」。前回同様約30名の参加で今回は「ね・うし・とら・う・たつ〜」と、干支ごとにグループを組みました。
 グループディスカッションによる主な発表内容は次のとおりです。
◆礼拝・教会生活に関すること
・一人では教会に来られない方へのお迎え
・高齢信徒へのサポート(相談など)や、代祷を捧げている方へのお見舞い
・ハンディを負った方への手話などによるサポート
・無牧の教会との合同礼拝
・野外礼拝
・子どもたちの声が自然に響く礼拝 など
◆伝道・宣教に関すること
・主日礼拝の時は、扉を開ける/入りやすい雰囲気づくり
・クリスマスキャロリング
・宣教を意識した外に向けての働き(ボランティアや講演会など)
・海外教会との交流
・パイプオルガン
・地域やアマ音楽家への礼拝堂解放 など
◆その他
・建設予定の隣のマンション住民へのお誘い
・マンションの一角を「マリアのフロア」として賃貸
・教会の東北角のスペースをオープンカフェに
・塔の鐘を鳴らす
・幼保一元化に向けて、保育への人的育成
・世代を超えた交流の場 など

 このようにたくさんの意見やアイデアが出され、すぐに生かせそうなものから、遠い将来のものまで、これからの教会を考える上での良いきっかけになりそうです。


マリア幼稚園コーナー

 今年の夏は、何て暑いのでしょうか。昨年の冷夏とうってかわっての猛暑。土の中で7年もの間、地上に顔を出すのは今か今かと思い続けている蝉たち。早くから鳴き始めた今年の蝉は幸せなのでしょうね。でも、昨年の蝉はと思うと、何とも自然の掟は厳しいですね。
 さて、そんな猛暑にもめげず、元気いっぱいで登園し続けたマリアの子ども達も無事に一学期を終え、各々家庭に戻っての夏休みを楽しみ初めたことでしょう。一学期のスタートは66人。そのお互いが名前を呼び合い、クラスを越えての交わりも増えつつあります。先生のお話に一心に耳を傾け、思いっきり表情豊かに、自分が表現できる花組、真面目に取り組み冷静に物事を判断しようとする赤組、礼拝堂から登園する様になった緑組は小礼拝堂で神様と思い思いの「朝の挨拶」を交わして二階へ上がっていくのも良い習慣になって来ました。柄も大きくなり、しっかり自分を見つめ、友達の動向にエールを送りながら、かたや花組には、愛おしいという眼差しを向けることも身につき、益々「年長組」が随所に表れ始めました。こんな風に、滞りなく四ヶ月が過ぎました。一人ひとりの成長を神様に感謝します。二学期から園児数が変更します。赤組の1人がアメリカへ、花組にプレプレから2(又は3)人、満3歳児(小花)で入園予定です。また、7月26日には今年度当園に教育課程研の発表が課せられました。浅間が担当します。55年目になる当園の三歳児保育の実践事例を発表いたします。これは、少子化ということでの様々な施策の中で、子育て支援講演会、延長保育(この八月には、特別お預かりとして、四日間実施します。)、未就園児保育等々を行えば良いという、忙しい対応に追われています。しかし、その中にあって、しっかりした足取りで基盤を固めて、今の社会の流れと、今まで通りの保育に新たな目を向けるために、他園の発表を見聞きする事で、より真剣に勉強をさせてもらえる機会になるだろうと思います。三歳は大切な子供達の成長の節目ですから、発表者のみならず、教職員全員で取り組まねばならないと考えています。目前にハードルが置かれた時、それは自分自身を見つめ直し、自分の周りにも目を向け、大きくステップアップ出来る良いチャンスと考えて・・・。いつも本真剣に子供達と接している教職員ひとりひとりを誇りに思い、ほくそ笑んだり、これではいかん!とカツを入れたり、日々、自分の感情を抑えようと自分を鍛えている未熟な園長の感謝・願い・祈り・時には独り言?でした。暑い夏の間も、みんなの健康を祈って。楽しい夏休みを!
(園長 ルデア 菅原さと子)


各部からのお知らせ

=婦人会=
7月25日(日)例会『主の祈りについて学ぶ』。8月は夏休み。

=日曜学校=
7月18日(日)〜19日(月)北小松キャンプ。7月25日(日)〜8月29日まで夏休み。8月3日(火)教師会。

=ジュニアチャーチ=
8月1日(日)10時より朝の礼拝(礼拝堂)。8月6日〜8日(日)キャンプ。芦生にて。車のあるスタッフ募集。

=青年会=
7月12日(月)ミーティング。7月25日(日)ギター講習会(変更の可能性有り)。

=幼稚園=
7月16日(金)お楽しみ会、17日(土)一学期終了。21日(水)〜23日(金)聖保連保育者大会。26日(月)教育課程研究会。29日(木)・30日(金)園外保育(宝ヶ池と御所へ)。8月3日(火)〜6日(金)通園夏期保育。5日〜5日お泊まり保育。17日(火)〜20日(金)特別お預かり。23日(月)二学期教師会。

=ボーイスカウト二四団=
7月2日(金)合同団会議。
<ビーバー隊>7月4日(日)キャンプ下見。7月11日(日)隊集会「おでかけ!ビーバー!」(防災センター)。上進説明会。キャンプスタッフ会議。七月一九日(日)北星地区ビーバーランド「ポケモンビーバー!」(宝ヶ池北園)。7月31日(土)〜8月1日(日)夏季隊キャンプ「ビーバーフレンドパーク!」(綾部)。
<カブ隊>7月4日(日) 北星地区カブラリー「カブリンピック」(宝ヶ池北園)。7月11日(日)上進説明会。7月18日(日)キャンプ下見。キャンプスタッフ会議。7月23日(金)から7月25日(日)夏季隊キャンプ「マウンテンピック」(敦賀)。
<ボーイ隊>7月10日(土)〜11日(日)草刈キャンプ・ハイキングコース下見(芦生)
7月17日(土)キャンプの保護者説明会。7月19日(祝)キャンプ下見。7月25日(日)隊集会「始まりのゴール」
<ベンチャー隊>ベンチャー章挑戦キャンプを企画中。各隊の夏季キャンプに奉仕参加の予定。
<ローバー隊>各隊の夏季キャンプ奉仕参加の予定。
<団>9月4日(土)合同上進式(錦林小学校)、18時より。次回団委員会は8月28日(土)20時より。次回団会議は9月3日(金)20時より。

=ハンドベル=
朝の部毎週火曜日10時半〜、夜の部第2・第4木曜日19時半〜。


ニュースとお知らせ

=電波時計合計四台の奉献=
礼拝開始手順を5月に変更した際、オルガニスト専用置き時計と会館ホール用掛け時計を吉村伸さんがお献げくださいました。オルガニストが礼拝前奏のタイミングをはかるのに非常に役立っています。その後さらに、大塚司祭が司祭按手記念に二台お献げくださいましたので、聖堂内と事務室前に設置しました。

=クルエッツと奉献盆の奉献=
野嶋久暉さんが退職記念としてクルエッツ一組(米国製)と奉献盆(京都聖マリア教会宣教百年記念銘入り)をお献げくださいました。7月4日(日)に祝別式を行い、以後の礼拝で用いています。

=レクイエム=
7月21日(水)7月の逝去者記念聖餐式で次の方々を記念します。
2日―続木満那(1982)、
5日―マリア松田美也子(1978)、
6日―三井正二(1972)、
7日―*ヨセフ下田屋秀二郎(1996)、
11日―マリア太田キヨ(1949)、*司祭片岡常吉(1973、片岡霊恵父)、
12日―笠井金作(1994、菅原さと子父)、
21日―永田保治郎(1941、続木智子祖父)、
28日―エステル立石光(1974)、サムエル大槻憲史(1994)、
31日―マーガレット渡辺喜美代(2000)

=隣地ワンルームマンション問題=
説明会がすでに四回開かれています。地下一階地上五階の計画は多くの問題をはらんでおり、特に地下工事は教会と近隣への影響が懸念されています。また、工事期間中はもちろん完成後も、幼稚園児の安全確保が重要な課題となります。実効ある協定を結ぶべき段階に来ています。


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