月報「コイノニア」
2004年11月号 No.255


ユダヤ人の王、万歳

司祭ヨハネ

そこで、ピラトはバラバを釈放し、イエスを鞭打ってから、十字架につけるために引き渡した。それから総督の兵士たちは、イエスを総督官邸に連れて行き、部隊の全員をイエスの周りに集めた。そして、イエスの着ている物をはぎ取り、赤い外套を着せ、茨で冠を編んで頭に載せ、また、右手に葦の棒を持たせて、その前にひざまずき、「ユダヤ人の王、万歳」と言って、侮辱した。また、唾を吐きかけ、葦の棒を取り上げて頭をたたき続けた。このようにイエスを侮辱したあげく、外套を脱がせて元の服を着せ、十字架につけるために引いて行った。
      マタイによる福音書27・26―31

 ジオット描く下図に、画集では「鞭打ち」のタイトルがつけられています。しかし内容的には、時間を異にする三つの場面が複合的に描かれています。いわば、四次元空間を二次元に投影した絵と言えるでしょう。画面は左側と中央部と右側の三つに分かれます。例によって、ジオットは複数の福音書の記述を重層的に用いています。
左側ではイエスを中心に、その前にひざまずく者、唾を吐きかけようと口をためて顔を突き出す者、平手で打とうと(ヨハネ)右手を振り上げる者など、侮辱する者たちが取り囲んでいます。兵士と記されているこの人々は、おそらくパレスチナ内の非ユダヤ人(ユダヤ人は兵役を免除されていた)およびローマ帝国諸州から徴募された補充兵であったと言われます。彼らは兵士が着る深紅の外套を王の紫衣に見立ててイエスに着せ、王笏に擬して右手に葦の棒を持たせ、王冠に代えて茨の冠をかぶせ、イエスを王に仕立てて「ユダヤ人の王、万歳」と嘲弄します。彼ら自身ローマの抑圧の下にありながら、その傘の下で権力の分け前に与る一方、被支配者のユダヤ人からは「汚れた」異邦人と見なされている。笑止にもそのユダヤ人の王を自称したというイエスに対して、屈折した敵意が容赦なく向けられたことでしょう。
中央付近で棒を振り上げている男は鞭打ちの象徴でしょうか。しかし彼が手にしているのは鞭ではなく棒であり、イエスの手にある葦の棒と同様に半透明に描かれています。葦の棒に言及するのはマタイとマルコですが、ただ「葦の棒でたたき」とだけ記すマルコに対し、マタイは詳細に、イエスの右手に持たせた葦の棒(王笏)を取り上げて頭をたたき続けたと述べて嘲弄を強調します。中央の男は鞭打ちと嘲弄の二役を担っているかもしれません。そして、もしもマタイの記述に基づいて、イエスの手にあった葦の棒が男の手に移ったことを表わすために半透明に描いたとするならば、時間重層的な四次元の表現法として非常に興味深いものとなります。
画面右側で、手を開いてイエスを指し示しているのは、「見よ、この男だ」(ヨハネ)と言っているピラトでしょうか。その前には「十字架につけろ」と言って詰め寄る祭司長たちがいます。
この絵でひときわ目を引くのはイエスの顔とその衣です。衣は兵士が着せた赤い外套ではなく、光輪と同じ黄金色であり、その生地がきわめて丹念に描かれて、真の王者にふさわしい高貴な輝きを放っています。なされるがままに無抵抗でありながら、威厳に満ちたその姿によって、まさに「ユダヤ人の王」を表現しているようです。十字架上のイエスを仰ぎ見て「本当に、この人は神の子だった」と言った百人隊長や兵士たち異邦人の声が、この場面での嘲弄の声を圧倒して響いてくるような気がします。


将来計画懇談会レポート

前回はバザー特集ということで、今号では第4回目(10月10日)、第五回目(11月14日)をまとめて報告します。

■第4回目 テーマ『信徒がもっと増えるには?』
 聖餐式の代祷で「主日礼拝出席者が増し加えられ、この聖堂がますます大いなる賛美で満たされますように。」と祈られるように、信徒が増えていくことなしにマリア教会の将来がないことは教会に集う誰もが思うことです。では将来に向けてどうするか−今回はこのテーマを取り上げてみました。
 いつものように、グループ分けをするのに何かアイデアは、と議長が思案のあげく思いついたのが「血液型」。さあA・B・O・ABによる特徴が現れるのか現れないのか、かくして参加16人による「血で争う激論」が始まりました。いつものように、主な発表内容を報告します。
【増えるにはどんな対象?】
・現在信徒の家族・子弟をもっと連れてくる
・SSやボーイスカウトとの組織的なつながりをもっと強くする
・未信徒の結婚式後も教会につながるようなフォローをしては
【多くの人が教会とつながる工夫・アイデア】
・新しくこられる方に対する「来場者カード」やフォロー方法をもっと考える必要がある(それぞれがもっと意識して声をかける)
・宗教性のない集まりを持つことから始める(子供達への英会話教室など)
・礼拝中だけでも扉を開けておき、少しでも入りやすくする
・教会音楽、時にはもっとノリのいいものに
・逆に年配向けにはオーソドックスな礼拝を
【その他】
・宣教という観点からは、自分達から外へ出ていくことが何よりも大切
・教会コンサートの中に少し聖書のお話などを入れてみては  等々
 話してみるとなかなかのアイデアが出るものです。実は、先日の結婚式で信徒が立会人として役割を担ったのも、この懇談会から出たアイデアがもとになりました。今回の意見は、教会として実現に向けて具体的に動き出せそうなものがたくさんあります。残念ながら今回は少人数となりましたが、これを機にもっと多くの方に教会の裾野を広げるための知恵を絞っていただき、共有していきたいものです。
 ちなみに、血液型別発表の方は「まじめグループ」「最後まで収集がつかなかったグループ」など、わりと世間でいわれる特徴が現れていたように思いますが、今回誰がどのグループだったかはここでは秘密にしておきます。

■第5回目 テーマ『宣教百周年記念事業について』
 続く11月は、今年2月の受聖餐者総会で提起された宣教百周年記念事業についてです。そもそもこの懇談会の発足の経緯は、受聖餐者総会での事業に対する様々な意見をふまえて、教会の将来につながる記念事業やその他のことをもっと幅広く信徒全体で意見交換する場を持とうとの趣旨で始まりました。特に事業の目玉の一つである「パイプオルガン」に関しては、財政面での負担を理由に反対の意見が出されました。
 そこで今回は、財政面の負担はひとまずさておき、聖マリア教会に「パイプオルガンが入る」ということは、いったいどんなことなのか、そうした自分達の学習を兼ねて、この問題を掘り下げてみました。
 冒頭に、他の教会でパイプオルガンの響きを体験したことのある人に挙手いただいたところ、約半分でした。つまり半分くらいは「教会でのパイプオルガン体験」が無い方ともいえます。まずは知る・体験するということなくして、パイプオルガンは語れません。そこで、現在奏楽を担当しておられる方から、今のオルガンの状態やパイプオルガンを入れることによる教会のイメージなどを語っていただきました。
【今のオルガンに関して】
・今のオルガンは、新しい礼拝堂の響きとマッチしてかなり良い響きをしている
・メンテナンスしながら長く使うことも十分可能である
・しかし、やはり現オルガンはスピーカーから出る電子音に過ぎず、パイプから響く本当の音を知ったら「世界」は変わる
 こうした解説によって、「世界が変わる」つまり聖マリア教会の礼拝そのものが変わるというほどの凄いものだとの認識はできたのですが、一方で分からないことも多いので、いくつか質問や意見を出していただきました。
・パイプオルガンを入れた場合、これまでオーガニスト担当が即「新パイプオルガンの奏楽者」というわけにはいかないのか?
・パイプオルガンを入れることが教勢拡大につながるのか?
・オルガンばかりが先行してしまい、信徒のあり方が伴っていないような教会ではいけない 等
 こうした意見や質問を起点に、教会そのものの将来、10年後20年後の教会を担う次世代に託す夢、一方では現実的な財政の問題やCS活動の重要性など意見は多岐にわたり、かなり掘り下げた意見交換がなされました。議長役の私なりに今回を総括すると、教会の将来は、現在教会にいる子供達を含め、次世代を主役に考えることが大切であり、その中でパイプオルガンの購入は私たちにできる大きなチャンスかもしれない、との認識ができたことのように思います。
 パイプオルガンそのものについては、財政面を含めまだまだ多くの意見交換や学習が必要でしょう。今回にとどまらず、次回もまた継続して話をする場をもちたいと思います。次回はいよいよ最終回です。最初のスローガンであった全員参加を実現すべく、これまで参加できなかった方も、来月は皆さんぜひご参加ください。
 (議長 キリル森田朋宏)


マリア幼稚園コーナー

 秋も深まり、登園時の子供達の可愛い手には、色とりどりの落ち葉やどんぐりが握ら
れています。けれども去年と比べてどんぐりの数が少なく、自然界に異変が起こっているのではないかというのを感じずにはいられません。餌を求めて人里に出没するクマのニュースは都会に住む私たちにはどこかひとごとでしたが、先月の芋掘り遠足では、農園に現れる猪の為に、子供達が掘るお芋の株が制限を受けてしまいました。又、八瀬の野外保育センターの遠足では、事前の確認で猿が現れるという事がわかり子供達に野生のお猿さんたちに遭遇した時の注意事項をしっかりと伝えました。実際に出会う事はありませんでしたが、当日保育センターの先生から、私たちの遠足の前日には30匹もの猿が出没したお話を聞いて、ニュースで聞いていた話題がぐんと身近なものに感じたようです。しかしさすがマリア幼稚園の子供達です。お芋掘でたとえ自分の掘るお芋が少なくなろうとも、神様から頂いた(お芋)食べ物を「少し動物達におすそ分けしてあげましょうね。」と言うと、「動物さんもお腹が空いたらしんでしまうもんな。そうしたらかわいそう」と優しい答えが返ってきました。神様のお恵みを分かち合う、本当に大切な事です。今年度、度々上陸した台風の被害や十月の末に中越地方であった大きな地震の被害。幼稚園の子供達は阪神大震災を知りません。けれど、テレビのニュースから伝わる被災された方々の悲しみや苦しみを感じ取っています。食べたいものが食べられず、落ち着かない避難所生活での共同生活をしながら暮らしている方々を思い、自分たちはなんて今幸せであるかを思い、好き嫌いを言わずに食べ物に感謝して食べる。本当に必要でないのにただ欲しいだけで物を買ってほしいとダダをこねたりせず我慢をする。それぞれ子
供達が出来る事を考える機会となりました。11月中の水曜日献金礼拝では、台風や地震で被害を受けたその被災者の方々の為に、特別献金をするべく保護者の方々にお伝え致しました。初め(10日)の水曜礼拝での献金は目的が明確で保護者の方々も子供達と共にお話し合いをして下さったのでしょう、お家の方から沢山の献金をお献げ下さいました。さいごに集計して子供達の手から窓口に届けたいと考えております。私たちの生活の中には、感謝すべき事がなんて沢山あることか。そんな神様からの恵みを感謝する、感謝の集い・敬老感謝の集いを11月18日に致します。収穫感謝のみならず、みんなの命は、おじいさん・おばあさん・お父さん・お母さんから受け継いだものということを改めて感謝し、そのおじいさま、おばあさま方やお家の方々をお招きいたします。また、15日には幼児祝福式をして頂き、子供達の成長を感謝致しました。子供達と「感謝」を考え乍ら感謝の集いに向けて、毎日一生懸命、子供達は歌や劇ごっこやリズムバンドの練習に励んでいます。命だけではなく、子供達一人一人のもつ能力も神様から頂いたものです。幼稚園での経験の中で、個々の持つ力がより磨かれるようにお手伝いし、その成長の場に立ち会える私達教師は幸せだと感じます。神様に「全ての事に付いて感謝しましょう。」
(教諭 クララ 藤田尚子)


会計より年末に向けてのお願い

 年末まであと2月となりましたが、教会会計の年末見通しを考えますと若干厳しいものがあります。
 懸案事項は教区への教区分担金の納付と管区への建築借入の返済であります。
 教区分担金は在籍信徒数から当教会に割当てられておりますが、例年納付しなければならない献金額が収入面で不足しております。どうかまだ教区献金をお捧げいただいていない信徒各位様におかれましては年額(1800円以上×12カ月)をお納めいただきますようよろしくお願い申し上げます。未納の場合、教会が肩代わりして教区にお納めしていることを再確認していただきたく存じます。
 また、礼拝堂建築時に管区からお借りした借入金も今年100万円を返済することで完済となります。来年以降に将来に向けてのストック資金を残していくためには、借入金を今年中にゼロにしておくことが肝要と考えます。
 以上二点ご理解賜りますよう、重ねてよろしくお願いいたします。
(教会委員会会計担当 パウロ 西 逸郎)


各部からのお知らせ

=婦人会=
11・12月婦人会例会12月に予定。内容未定。

=日曜学校=
11月21日(日)「みんなでつくる聖餐式」担当。
12月10日(金)八時より教師会。
12月22日(水)クリスマス礼拝・パーティー。

=ジュニアチャーチ=
11月21日は日曜学校に合流。

=青年会=
12月12日(日)ギター講習会(予定)。

=幼稚園=
11月15日(月)幼児祝福式。18日(木)感謝祭・敬老参観日・施設慰問。
22日(月)グループ会。26日(金)お誕生会。

=ハンドベル=
朝の部毎週火曜日10時半〜、夜の部毎週木曜日19時半〜。
11月28日(日)3時半〜クリスマスミニコンサート(礼拝堂)

=ボーイスカウト24団=
<ビーバー隊>21日(日)隊集会「ビーバーオリンピック」(錦林小)
<カブ隊>11月27日(土)〜28日(日)隊集会一泊キャンプ(百井キャンプ場)。
<ボーイ隊>11月21日(日)隊ハイク(伏見方面)。
<ヴェンチャー隊>クリスマス祝会の企画・計画。
<ローバー隊>11月20日(土)〜21日(日)国際活動セミナー。
27日(土)もしくは28日(日)隊ハイク(北山周辺)。
<団その他>12月11日(土)〜12日(日)芦生しまいキャンプ。12月23日(祝)クリスマス祝会。


ニュースとお知らせ

=退院=
祝部治子さんは10月29日に退院され、自宅で静養しておられます。

=結婚式=
11月13日(土)11時から鍛冶康治・吉村輝美さんの結婚式が行われ、聖歌隊が奉仕しました。立会人は佐々木亨さん、續木泰子さんです。

=洗礼志願式=14日(日)越後幸恵さんの洗礼志願式を行いました。紹介者は福原則子さん、浦地愛さんです。

=幼児祝福式=
14日(日)主要聖餐式の中で幼児祝福式を行いました。

=みんなでつくる聖餐式=
21日降臨節前主日の主要聖餐式は教会学校の担当(3回目)で「みんなでつくる聖餐式―こどもといっしょ」が行われます。

=大掃除=
教会暦最後の主日21日に、ふだん掃除が行き届かない所を重点に、教会の大掃除が行われます。お掃除隊長は野嶋久暉さんです。

=教区会=
23日(火祝)は京都教区教区会です。代議員は佐々木亨、新実康男、服部卓爾の三兄です。

=クリスマス・ミニコンサート=
28日(日)に、初めての試みとして、当教会ハンドベル・クワイアと聖歌隊によるクリスマス・ミニコンサートが一般公開で開催されます。

=住所変更=
木元民さんは、住所変更されました。教会へお問い合わせください。

=隣地マンション建設=
6月以来、教会・幼稚園、平安神宮、入江町町内会が協力し合って建設業者(株)第一都市計画と交渉を重ねてきました。当初計画の地下一階を断念するなどの曲折を経て、11月4日、業者と町内会との協定書が調印されました。

=12月のレクイエム=
12月15日(水)11時から次の方々を記念して逝去者記念聖餐式を行います。他に記念したい方がおられましたらお知らせください。教籍は問いません。
1日―ダニエル野嶋勺(1975)、
3日―星野英謙(1943)、
9日―*吉田勇(1971)、
11日―バルナバ速水経憲(1920)、菊地忠夫(1934)、岸喜国(1980)、
12日―ラファエル服部喜三(1978)、
14日―テモテ椹木武夫(2002)、
19日―*吉田花子(1992)、
21日―モニカ尾上千代、
24日―アクラ中島誠(1975)、
25日―トマス立石愛二(1990)、
26日―エリザベス西原信、
28日―ヒルダ中野京子(1995)、
29日―*アクラ浦地辰雄(1985)、
30日―ドロシー・デッソー(1980)、エリザベス岸喜江(1989)、
31日―ハンナ星野富士子(2002)

=堅信式予定=
1月2日(日)高地敬主教様をお迎えして堅信式が行われます。


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