月報「コイノニア」
2005年10月号 No.266


ひとりぼっち

司祭 ミカエル 藤原健久

だが、ペトロは、「あなたの言うことは分からない」と言った。まだこう言い終わらないうちに、突然、鶏が鳴いた。主は振り向いてペトロを見つめられた。ペトロは、「今日、鶏が鳴く前に、あなたは三度わたしを知らないと言うだろう」と言われた主の言葉を思い出した。そして外に出て、激しく泣いた。
(ルカ22・60―62)

 この聖書の箇所は、イエス様の十字架の前に、ペトロが三度、イエス様を知らないと言う、いわゆる、「ペトロの否認」の場面です。これは四つの福音書全てに記されていますが、ルカだけにあるものがあります。それが「主は振り向いて、ペトロを見つめられた」です。その時、イエス様とペトロがどのような位置関係にあったのか、等を考えると、事実であったかどうか首を傾げたくなりますが、大変ドラマティックな場面であり、ペトロの心の動きを示したものだとしても、私たちに多くのことを教えてくれます。ペトロは三度目の言葉を口にした瞬間に、自分の犯した罪の重さに気づきます。わずか一秒前にでも気づいていれば犯さなかったものを。しかし犯した罪から逃れることはできません。なかったことにすることはできません。その、自分の罪深さを、瞬時にして悟らせてくれたのが、イエス様のまなざしです。イエス様のまなざしは、ペトロの心に直接届くものだったのです。
 私はいつも思うのですが、その時のイエス様のまなざしはどのようなものだったのでしょう。怒りか裁きか、憐れみか感謝か、いろいろ考えますが未だ確定していません。ただ、このイコンのまなざしが、ヒントを与えてくれるような気がしています。
 これは、ロシアのイコン画家、アンドレイ・ルブリョーフの作品です。以前「三位一体」のイコンを紹介しましたが、同じ作者です。元は多分、イエス様が祝福のポーズを取っておられたものと思いますが、周りがはげ落ち、イエス様の胸からお顔までだけが残っています。その分、イコン全体に静けさが満ち、イエス様のまなざしがよりはっきりと見ている側に迫ります。イエス様のお顔は、凛としています。額から鼻筋に掛けてはまっすぐに下り、口元はきゅっと結ばれています。眉は驚きも怒りも笑いもせず、ごく自然に力を抜いた形で収まり、そして、その瞳は、静かにこちらを向いています。表情のどこにも力んだ所はありません。大きな感情の表現はありませんが、しかし「無表情」というのではありません。静かに、私たちの心の底を見抜かれ、その上で全てを受け入れておられるようです。深い意味での慈しみの表情をなさっておられるように思います。
 ペトロがイエス様を否んだとき、イエス様は完全な孤独になってしまいました。ペトロの罪は「イエス様をひとりぼっちにしてしまった」というものです。もし、その時ペトロを見つめられたまなざしがこのイコンに似ているのであれば、それは怒りや裁きではなかったはずです。完全な孤独を知っている人が、他者の孤独に共感するのが、このまなざしであるように思います。「あなたもいつか、つらい孤独を経験することがあるだろう。ひとりぼっちになることがあるだろう。その時にも、私は、少なくとも私だけは、いつもあなたと共にいるよ」と言うメッセージが込められたまなざしのように思います。ただ、自らの罪の重さに打ちひしがれ、全身全霊を用いて泣き叫んでいるペトロが、そのメッセージに気づくのは、もう少し後になりますが。


レスター教区聖歌隊夕の礼拝

 10月17日(月)午後6時30分、いつもは疎らな出席者の夕の礼拝が大勢の人と素晴らしい音楽で満たされました。
 レスター教区のなかで廃屋になる運命の古い教会のステンドグラスや会衆席のベンチを富山聖マリア教会がもらい受け新聖堂に設置されました。レスター教区聖歌隊はその富山に表敬訪問するのが主たる目的であったのではないでしょうか。
 17日5時頃富山から京都聖マリアへ到着。レスター教区聖歌隊約40名付き添えの方を含め50名余がマリア教会聖歌隊と教区聖歌隊「セシリアと合同で「交歓夕の礼拝」を献げました。
 浜屋司祭の司式、藤原司祭の説教、聖歌二曲は日本語、他の二曲は英語、マリアの讃歌は英語、シメオンの讃歌は日本語、日課も同様に二カ国語に分けて読まれました。約一時間にて終了その後教会ホールでティーパーティー、楽しく歓談し、各聖歌隊が一曲ずつ聖歌などを披露して8時30分に閉会しました。


寄稿
堅信式を受けて

ヨシュア 岩本翔太

 私は高校二年生のヨシュア岩本翔太です。
 9月18日に堅信を受けました。受けたきっかけは最初は単純になんかかっこいいからなど、ファッション感覚で受けたいと思っていました。しかし、夏休みの宿題で何となく買った『SOUL SURFER』という文庫本に出会いました。その本の主人公はキリスト教信者で『自分の無くなった腕は神様が私にくれたプランだ』ということをいっていました。そこで私は深く感動し、堅信を受けたい。と思い受けました。ちょうどいいことに、ジュニアチャーチのキャンプに行ったときに名親でもある吉村由理さんに勧められ、「受けたい。」と思い藤原先生に申し出ました。また、吉村和馬君も堅信を受けるということで楽しみでした。
 堅信勉強も藤原先生の熱心でていねいなご指導で、よりキリスト教に魅力を感じていきました。そしてついに堅信を受けて、胸を張ってキリスト教信者だと言えるようになりました。これからは、教会からちょっと遠ざかっている父、母を連れてできるだけ教会に足をはこべたらと思います。これからもどうぞよろしくお願いします。


聖マリア幼稚園コーナー

「プレプレスクールは 今!こんなのです」

4月は5組の親子でスタートしたpre-pre schoolですが、10月現在で14組と大変賑やかになりました。今年度より、火・木・金と週3回になり、10時〜11時半の一時間半を楽しく過ごしています。その短い時間の流れは、自由に遊んだ後、朝のご挨拶、お祈り、そしてその日の主活動へと続きます。自由遊びの中では同年齢との関わりを経験し、主活動の中では社会生活や、ご挨拶など基本的な生活習慣もきちんと身につけて行きます。一人一人がしっかりと成長していく姿が見られ、我が子だけでなく、他のお子さんの成長をも一緒に喜び、時には子どもが立ち止まってしまう事があっても、一緒に考えたり、悩みを分かちあったりと親子で参加して頂いて本当に良かったと思える素晴らしい時間を共に過ごしております。子供達もお母さん方に見守られる中で、安心して経験や活動を広げています。主活動は、季節を感じながら絵画製作や音楽・運動など、色々なカリキュラムが組まれており、親子で触れ合いながら楽しんで活動に参加して頂けるようにと考えております。今年度は嬉しい事にお父様方の参加も多く、お母様方とも和やかに会話を弾ませておられ、大変微笑ましく「子育てには両親の参加が大切」という心強い姿が見受けられます。また関わらせていただいている私の方が、お母様方から教わる事も多く、お一人お一人がしっかりと子供達の事を一生懸命考えて子育てしておられる事に感激しております。しかし、世の中はこのような素敵な方々ばかりではありません。氾濫する情報、安全とはいえない社会状況、核家族化、そして少子化時代を迎えて、子育て支援が子育て放棄支援にならないようにしっかりと考えねばならない場合もあります。子供を産めば母になれるとは限らず、子育てが難しいと感じてしまったり、心から子供が可愛いと思えないと思って育てる意欲を無くしたり・・・など。今、世の中の子育て状況、心がどんどん変化しています。本当に子ども達の為になる、そして、ご両親の子育てを真にお手伝い出来るように、pre-preの門を叩いて下さった方々と共に歩める、他園とはちょっとひと味違う様なクラスとしての存在感をアピールして行きたいと考えています。
 2000年より始まりましたこのpre-pre schoolも六年目を迎えました。スタート当初より菅原園長が担任してきました後、今年度より藤田 が担任する事となりました。私自身の子育ての経験や保育園での経験など、幼稚園から離れていた頃の経験が肥やしとなって、今活かされようとは、きっと神様のお考えであったかのように思えてきます。気持ちも新たに頑張って行きたいと思います。
 pre-pre schoolとしての活動はもちろん、幼稚園の中のクラスという繋がりも大切にしており、10月の運動会の為には、9月からコツコツと準備をして、親子で作り上げた見事な可愛い作品(ケーキ)を使って、競技の練習も重ね、楽しく参加しました。もっとも子供達は恒例のおリンゴ競争がとても楽しみだったようです。また、幼稚園で行われた人権啓発活動にも参加し、人権まもる君から戴いた水仙の球根を鉢に植えました。今後も時々は幼稚園の行事に参加したり、花組との交流も予定しています。これは入園を意識し、親離れ、子離れがスムーズに行えるように、慣らし保育のごく初期の段階として取り入れて行きます。来年の4月にはpre-pre schoolから、嬉しいことに8名の子供達の入園を迎えます。そして来年度も引き続きpre-preで過ごす子供達にも、お兄さん・お姉さんとして新しいお友達を迎える心の準備が出来るようにしてあげたいと思っています。
 お母様方が大切な子供達を思う気持ちに寄り添いながら、このpre-preで、出来るだけ多くの経験を通して、子供達の心身の成長のお手伝いが出来ればと思います。このクラスではまだまだ新人で、不慣れな事が多々ございますが、先生方や保護者の方はもちろん、毎回のpre-preをお手伝いくださっている在園児のお母様方に支えて頂いている事に感謝いたします。教会の方々には、場所の提供とともに壁面に貼ってある作品を通して,子ども達の様子を見ていただいている事に感謝申し上げます。一番小さな弱い子ども達、神様が私達に与えて下さった賜物です。大人が優しくなる心を育ててもらっているのでしょうね。感謝。
(教諭 クララ 藤田尚子)


各部のお知らせ

=婦人会=
10月23日(日)婦人会例会 一部:礼拝、二部:クリスマスカード作り。

=日曜学校=
10月21日(金)午後八時〜教師会。30日(日)遠足[きっづ光科学館ふぉとん]へ。(Jr.と合同)
11月13日(日)復活教会日曜学校と合同で礼拝。18日(金)午後8時〜教師会。

=ジュニアチャーチ=
10月30日(日)遠足[きっづ光科学館ふぉとん]へ。(S.Sと合同)11月6日・20日(日)午前10時〜朝の礼拝。

=青年会=
10月30日(日)昼食当番。11月13日・27日(日)ギター講習会(予定)。

=幼稚園=
10月28日(金)お誕生日会。11月18日(金)感謝祭・敬老参観日/慰問。

=ハンドベル=
朝の部 毎週火曜日10時半〜、夜の部 毎週木曜日19時半〜。

=ボーイスカウト24団=
<ビーバー隊>11月6日(日)集会・秋祭(マリア教会)、27日(日)親子ハイキング(宝ヶ池)
<カブ隊>11月6日(日)組集会(マリア教会)、20日(日)集会(マリア教会)、
26日(土)〜27日(日)一泊体験キャンプ(百井キャンプ場)
<ボーイ隊>11月5日(土)、12日(土)、26日(土)合同班集会「ススメ!」(マリア教会)、
23日(日)隊ハイク
<ベンチャー隊>11月5日(土)・19日(土)ベンチャー集会(マリア教会)、
23日(水祝)ソフトボール大会(錦林小学校)
<ローバー隊>11月13日(日)集会(マリア教会)
<団>11月13日(日)京都連盟90周年記念式典参加(テルサ)


ニュースとお知らせ

=結婚式=
10月15日(土)午前11時より小林志朗さん、めぐ美さんの結婚式が、行われました。大勢の人々が集い、礼拝堂が祝福で溢れました。

=命名=
狩野朋子さんの赤ちゃんの名前が決まりました。「葵(あおい)」ちゃんです。おめでとう。

=幼児祝福式=
11月6日(日)聖餐式中において、「幼児祝福式」を計画しています。子どもたちにお声掛けください。

=日曜学校・ジュニアチャーチの礼拝にご出席ください=
当教会「針の穴」計画の一、「聖餐式前の準備の時」として、日曜学校・ジュニアチャーチの礼拝をご活用ください。その時間に来られましたら遠慮せず、式文・祈祷書を持って子どもたちと共にお祈りをお捧げください。きっと、聖餐式に向けての良い準備の祈りとなるでしょう。

=名札着用のお願い=
牧師からのお願いです。教会の中では名札を着用願います。

=11月のレクイエム=
11月16日(水)一一時から次の方々を記念して逝去者記念聖餐式を行います。他に記念したい方がおられましたらご連絡ください。教籍は問いません。
5日−ユニケ戸川和子(2002)
6日−山口信男(1989)
8日−速水登代子(1921)
9日−*菅原幸男(2002)
10日−竹中千代(1945)、クリストファ・マッチ(1955)、クララ藤原静栄(1993)
13日−ナオミ覚前崎(1960)
15日―ミカエル鎌田福男(1998)
17日−ヨハネ岩城三夫(1959)、司祭 W・B・パーソンズ(1967)
19日−モニカ服部エン(1964)
23日−中山健一(1968)
24日−サラ井上志保美(1996)、ラケル速水冨貴(2001)
26日−中根秋雄(1987)
27日−バルナバ覚前睦夫(1996)、ルカ林恒男(1999)
29日−ヨハネ前田長己(おさみ)(1984)

=ジャガイモ完売=
恒例のジャガイモ販売は前田夫妻の強烈なアピールとそれに応えた皆様の協力でお陰で二〇〇箱すべて完売いたしました。ご協力ありがとうございました。

=米パキスタンのために献金=
聖マリア幼稚園では、水曜礼拝の献金を四回分、パキスタンのために献金することにしています。すでに三回が終わりました。一緒に献金したい方は、幼稚園の先生、牧師にお渡しいただくか、はっきりと指定献金でお捧げください。

=第9回まりあ寄席盛会=
10月16日(日)第9回まりあ寄席が行われました。丸3年を迎えたこの寄席、常連さんの姿も増えてまいりました。今回は笑福亭松喬、桂出丸、桂歌々志の三師の巧みな話術に九〇余名のお客様が引き込まれました。次回は2月12日(日)の予定。

=書籍等貸し出しコーナー=
書籍等貸し出しコーナーを、聖堂玄関に設置しました。お勧めの本やビデオ、CD等を置いておきます。借りたい方は牧師まで一声おかけください。まずは二点。*「ソウル・サーファー」サメに片腕を食いちぎられた一三歳のサーファー少女。彼女の立ち直りには信仰が不可欠でした。(岩本翔太さん紹介。)*ビデオ「復活!名門女学院」九月にKBSで放映されました。平安女学院での山岡景一郎さんの活躍を紹介。マリア教会も紹介されています。

=ウィリアムス祭2005=
11月3日(木・休)午後1時半より、第一部・講演会「聖公会って何?」講師・西原廉太司祭(立教大学
助教授)。午後3時半より、神学館オープンハウス。詳しくは大居さん、加納さんまで。

=教区・社会部講演会=
11月5日(土)教区・社会部講演会「戦争体験を通して平和を祈る」があります。午後2ー4時。教区センター二階会議室にて。戦争体験者三名の方がお話くださいます。


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