2月号その2


寄稿
「中国における日本聖公会」

木村忠一

マリア教会信徒の中で最長老とされる方は山本進兄を除くと木村忠一兄であろう。今年93歳の木村兄はマリア幼稚園から入られ、山本兄は錦林小学五年からマリア教会へ入られたが、お二人は同学年である。木村兄は東京在住で皆様にはめったにお目にかかれないが、数年前までは年に1-2回は礼拝にも参加され、今なお中国人留学生のお世話をされている。中国語に非常に堪能なところから未だに中国の人民日報国際版を購読され、高地主教、武藤前主教、藤原司祭、小谷司祭、浦地司祭、三浦(八木教会)司祭、京都教務所、当教会を退職されるまで下田屋司祭、立石ほかに参考になればとのご好意でその訳を送って下さっている。その記憶力の抜群なこと、正確なこと、几帳面なことにはいつも驚かされる。兄はマリア教会の歴史が風化することを心配され、これまでも度々、以前のことを書いて下さったり、古い信徒の方を紹介して下さったりした。兄は山本進兄と共に1927年、京都一中に入学されたが、その時、同中学の五年に故中堀兄が在学されていた。1932年、兄は京都の島津製作所に入社され、その後、小野恒造兄、大塚兄、中堀兄が島津に入社された。1939年、兄は満州島津に赴任され大連、奉天へ、更に1941年には北京へと転じられ、その間、日本陸軍衛生材料廠嘱託のお仕事をも兼ねられた。1945年終戦当時、北京には十数万人の日本居留民がいて、順次帰国となり兄もその対象とされたが、終戦直後に進駐してきた蒋介石軍の憲兵隊司令官命で技術者留用となり、1949年現在の中華人民共和国軍事(革命)委員会衛生部(省)に技術者として登録。1955年2月第十次興安丸で帰国するまで中国各地を転々とされた。いわば、日本、蒋介石、毛沢東と三代の元老に仕えたものである。引き揚げ船、興安丸には山本進兄から舞鶴へ出迎える、との電報が届き、東京への引き揚げ列車が真夜中に京都駅を通過する際には当時のマリア教会の佐々木司祭が出迎えてくださったのは兄の忘れられない出来事であった。立石は中国の結核対策に従事したこともあり、中国の歴史、地理、風習に関してご指導を戴いた。これから、兄からのお手紙を連載したい。(立石昭三)


 主の御名を賛美いたします。
京都聖マリア教会の信徒の方で、戦時中(1937年以降の日支事変、1941〜45の第二次世界大戦)及びその前後の期間、中国大陸で活躍されました方々の事跡を報告いたしますことはヨハネ木村忠一の使命と考えます。私が現地でお目にかかりました方、お目にかかる機会はありませんでしたが連絡をとり合いました方を報告いたします。
 祝悠春節愉快 全家幸福平安。

地域別による聖公会

1.満州―東北に於ける聖公会

 満州に於ける聖公会布教の創始は古く、信徒数も多かったと記憶しています。この各教会の長老・信徒の方々が終戦に遭われいろいろの筆舌に尽くせぬ困難を経て帰国されましたことは、当時、北京に滞在、終戦直後に技術者留用が決定しておりました私が送り出しました帰国者の方々のご苦労から推察しまして、本当に大変であったと思います。
 ご帰国になられました長老は、現在の日本聖公会管区事務所に詳細にご報告になっていますと確信しておりますので、私が差し挟むことは、何もないと信じています。

1-1.大連聖公会 島田長老

大連はロシアの支配時代に建設しました市街・建物が多く、大連聖公会礼拝堂もロシアが建設したと思われます立派な建物でした。信徒数も多く、聖日礼拝の出席者も多かったと記憶しています。その大連市街地区も終戦が近くなるにつれて、治安が悪化しまして、夜には道路脇の防空壕に隠れていた賊に金品を奪われたと言う話も北京に伝わっていました。
 大連市は現在、隣接の旅順市と合併、旅大市となっております。

1-2.奉天―瀋陽聖公会 永野長老

 奉天聖公会は大連聖公会に比べ、規模は小さく、礼拝堂は一般の民家を改造したものと見受けました。聖日礼拝の出席者も大連聖公会より少なかったと記憶しています。

1-3.その他の都市

 例えば、満州国の首都の新京−長春等にも聖公会があったのではないか、と思われますが実際に訪問していませんので割愛させていただきます。

1-4.北京聖公会  宿谷伝道師(当時)

 北京聖公会の信徒は数名であったと記憶しています。宿谷先生は、中央に庭があり、その庭を囲んで四方に住居があります一部屋に住んでおられ、聖日礼拝もそこで行っておられました。先生は常々、「欧米の宣教師は、中国に着任後の一年間は宣教をしないで、中国語を勉強されて後、任地に赴任するので周囲全部が中国人でも言葉に不自由しない。日本の宗教家は中国語が出来ないので影響力は小さい。」と言っておられ、ご自身も中国語の勉強をしておられました。一方、日本の特高(特別高等警察)の先生への圧力も強く、何度も拘束されておられました模様でしたがそのようなことは全く口にされませんでした。そしてご自身は少しでも中国の生活に近づこうとされたからと思いますが、中国人男性の着ています藍布大掛児(ランブゥダァグァル、藍色に染めた綿布で仕立てた男物の単衣の裾が足首まである長い中国服)を着ておられましたが外出にも着用しておられました。
 宿谷先生は昭和19年(1944)執事の試験受験のため帰国され、北京聖公会は無牧師となり、終戦と共に無くなりましたが北京での状況は宿谷先生ご自身が報告されていますことを確信しております。なお、北京聖公会の最後の奉仕は終戦の年、昭和20年(1945年12月28日であったと記憶していますが北京市東城の元日本人小学校の教室を借用し、その周辺でまだ帰国の順番が来ない日本人児童と中国人の児童、合わせて50人余りを集めクリスマス祝会を開きましたことであります。その時のサンタクロースは私が勤めました。

1-5.欧米の聖職者の方々

 宿谷先生の言われましたように、中国に赴任して来られました宣教師の方々は、1年間中国語勉強をされました後、任地に行かれたのでありますが、こんなところへまでと思われます片田舎にも礼拝堂が建てられていました。これらの礼拝堂で宣教をしておられました先生方で日本が占拠しておりました地域内に居られました方は、一般の第三国人と同様、交換船で強制退去させられたと推測しております。一方、蒋介石の支配地域に居られました聖職者及びその他の方々がどのようになられましたか、は想像のしようもありません。

1-6.
 次に紹介します事項につきましては紹介すべきがどうか迷いましたが、事実と考えまして紹介します。昭和12年(1937)宿谷伝道師着任以前の頃の北京でのことであります。自称「今泉牧師、住所は満州国―東北地区・新京―長春」という男性が北京に来られ、何処で聞いてこられたのか信者の「Y氏」を訪問、「数日間、北京に滞在したいが所持金が足りない」ので新京に帰ったら返金する、と借金を頼まれ、牧師先生と信者の立場で承諾、その後数ヶ月経っても音沙汰なし、というお話を私が北京に到着しました昭和16年(1940)にご本人から聞きましたが、その後、終戦まで何の連絡もなかったと「Y氏」本人から聞きました。聖職の先生方の紹介は以上です。


聖マリア幼稚園コーナー

Pre-preの子どもたち

 二学期にお母さんと一緒に植えた、人権の花の水仙が次々に花を咲かせて良い香りを漂わせています。一年で一番寒いこの2月の寒々しいお庭に、ひときわ強く逞しく凛と咲き、子供達もこの花の様に強く・逞しく・優しく(香の様に)育って欲しいと願うばかりです。三学期に入り、pre―pre schoolは幼稚園の様に一気に風邪が流行る事は無く、毎回少しづつのお休みはあるものの、元気に週三回通ってきてくれています。そんな中から少し子どもたちの姿をご紹介しましょう。
 去る2月2日、鬼と聞いただけで涙が出てしまう可愛いpre―preの子供達は、ボールで豆まきをして、幼稚園に(pre―preのお部屋にこられては大変!)鬼が来る前に退治してしまおうという作戦にしました。お豆も食べて、お腹の中からも鬼退治して、すっきり!心の中の我がまま鬼や泣き虫鬼をやっつけたのでした。また、10日にはお母さんと一緒にホットケーキを作り、お腹一杯食べました。色んな種類のホットケーキ。ジャムにシロップ・チョコレート・この日はトッピングもお好みで、つけ放題!一枚が小さいとはいうものの、一体何枚お腹におさまったのでしょうか! 「美味しいね」とお顔を見合わせて、笑顔で見つめ合う姿を見ると微笑ましく、私たちも嬉しくなりました。三学期からは、毎週木曜日に来年入園する子供達(17組の参加のうち、就園対象児九人が全員入園)対象の一人登園が始まりました。最初は、お母さんのお洋服の裾をしっかり掴んで離れなかった子も、「お母さんは?」と何度も尋ねる子も、今では一人で楽しく一時間半を過ごしています。幼稚園の花組さんとpre-pre全員の子どもたちとの合同保育も行い、双方にとっての良き縦の関係が生まれ、優しいお兄さん・お姉さんと過ごす機会を持つ事ができて、新しい刺激となっています。今年度、私にとってpre―preの子どもたちとの交わりは、何もかもが初めての経験でしたが、毎回、新しい反応や成長を見せてくれる2歳児さん達に学ぶ事が本当に沢山ありました。子供達から学んだ沢山の事を、次年度に生かして、より魅力あるpre―preにして行きたいと考えています。教会の方々には作品を見ていただいたり、またご協力頂きました事御礼申し上げます。 主に感謝!(クララ 藤田尚子)


各部のお知らせ

=婦人会=

2月26日(日)婦人会二月例会 一部:礼拝、二部:報告、話し合い。
3月3日(金)1時半〜3時 世界祈祷日礼拝 於・聖アグネス教会、メッセージ・高地敬主教。


=日曜学校=

2月24日(金)午後八時〜教会学校教師会。


=ジュニアチャーチ=

2月19日(日)遠足スケートへ。3月5日・19日(日)午前10時〜朝の礼拝。


=青年会=

2月21日(日)7時半〜ミーティング。2月26・3月12日(日)ギター講習会(予定)。


=幼稚園=

3月3日(金)お誕生日会。7日(火)午後保育終了。8日(水)春の集い。13日(月)卒園式リハーサル。
16(木)・17日(金)お別れ会。18日(土)第九七回卒園式。20日(月)修了式。


=ハンドベル=

朝の部 毎週火曜日10時半〜、夜の部 毎週木曜日19時45分〜。
3月19日(日)ミニコンサート。


=ボーイスカウト24団=

<ビーバー隊>3月5日(日)・25日(土)集会・春キャンプ準備(マリア教会)。
<カブ隊>3月12日、19日(日)組隊集会・春キャンプ導入(マリア教会)。26日(日)キャンプ荷物点検(マリア教会)。
<ボーイ隊>3月4日(土)GB集会(マリア教会)。11日・18日・25日(土)合同班集会「王様の食卓」(マリア教会)。
<ベンチャー隊>18日、25日(土)・26日(日)「歓迎会」。
<ローバー隊>3月18日(土)集会(マリア教会)。25日(土)・26日(日)京都連盟ローバー研究会(府民の森ひよし)。


ニュースとお知らせ

=誕生=

▽2月17日に小林志朗さん、めぐ美さんに女の子の赤ちゃんが誕生しました。瑞生(みずき)ちゃんと命名されました。
▽24日に續木義也さん、恵さんに女の子の赤ちゃんが誕生しました。
おめでとうございます。神様の祝福をお祈りいたします。


=誕生感謝の祈り=

2月5日、聖餐式中で、松本英里子ちゃん誕生感謝の祈りを行いました。おめでとうございました。


=岡野主教、一年間お世話になりました=

2月12日、岡野主教様が司式説教をご奉仕下さいました。毎月第二日曜日は、藤原司祭が管理である聖三一教会への出張ということで、毎月ご奉仕をお願いしておりましたが、3月は主教様のご都合により、大江司祭がご奉仕下さいます。約一年間、計10回の主日礼拝ご奉仕でした。お世話になりました。ありがとうございました。


=昨年のしゅろの十字架をお持ちください=

3月1日(水)より今年の大斎節が始まります。昨年のしゅろの十字架をお持ちの方は、教会にお持ち下さい。燃やして灰にし、大斎始日(灰の水曜日)礼拝で用います。今年度のしゅろの十字架作成日は、4月8日(土)。


=大斎節中の礼拝=

大斎節中は、週日礼拝を変更します。朝の礼拝を聖餐式に、夕の礼拝を、夕の祈り・嘆願とします。どうぞご参加下さい。


=黙想と祈りの集い=

2月22日(水)午後7時より、黙想と祈りの集いを行いました。また、3月11日(土)より、毎月第二土曜日の夕の礼拝を、「黙想と祈りの集い」といたします。(指導・藤原司祭)


=「キリスト教入門講座」開始=

2月23日(木)午後5時より、聖書研究会を始めました。「キリスト教入門」講座とし、福音書を読み進んでゆく予定です。今後、毎週行う予定です。どなたでもご参加下さい。


=三月のレクイエム=

3月15日(水)11時から次の方々を記念して逝去者記念聖餐式を行います。他に記念したい方がおられましたらお知らせください。教籍は問いません。
5日−プリスキラ藤田久子(1987)、*菅原敏子(1990菅原さと子義妹)
6日−プリスキラ速水えい(1963)
7日―ドルカス星野冨美(2001)
9日―ルツ三井みさ子(2002)
10日−グレゴリー尾崎良嗣(1985)
14日−エリサベツ田中善子(1992)、ペテロ伊豫田勉(1996)
15日−津田敏子(1956)
16日―ミカエル源高根(1997大岡みゆき弟)、牧口啓司(2003浦地恭子甥)
17日−ルデア福原律子(1962)
18日−林正(1952)、徳田竜三郎(1961)
19日−マリア中根緋佐子(1996)
25日−古館三徳(2002)
26日−ミリアム河本昌子
27日−エリザベツ松田ミチヨ(1985)
31日−スコラティスカ岩城道子(1995)、*尾崎良胤(1919尾崎良嗣父)


=主教巡回日=

高地主教との話し合いによって、来る6月18日が主教巡回日となりました。この日に洗礼、堅信を希望の方は牧師までご連絡下さい。また、復活日(4月16日)に洗礼を希望される方も募集します。希望者は牧師まで。


=彦根聖愛教会旧礼拝堂起工式=

彦根聖愛教会旧礼拝堂(スミス記念礼拝堂)が、保存運動を推進してきたNPO法人スミス会議によって、彦根市立病院看護婦宿舎跡地に再建されます。2月4日(土)起工式が行われました。


=四日市聖アンデレ教会礼拝堂聖別式・落成式=

3月21日(火・休)午前11時から行われます。皆様のご加祷をお願いします。


=世界祈祷日=

3月3日(金)午後1時半より、聖アグネス教会に置いて、世界祈祷日の礼拝が行われます。メッセージは高地主教です。どうぞご参加下さい。


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