月報「コイノニア」
2009年7月号 No.311


《聖書を飛び出したイエス様・その七》
     「失敗」なんて無い!

「夢をかなえるゾウ」水野敬也著、から

司祭 ミカエル 藤原健久

 神を愛する者たち、つまり、ご計画に従って召された者たちには、万事が益となるように共に働くということを、わたしたちは知っています。   (ローマ8・28)
 今はあなたがたも、悲しんでいる。しかし、わたしは再びあなたがたと会い、あなたがたは心から喜ぶことになる。その喜びをあなたがたから奪い去る者はいない。
                 (ヨハネ16・22)

 この本は、マリア教会に通う、小学生の女の子から紹介してもらいました。彼女はこの本が大好きで、もう三回も読んだのだそうです。私も読んでみました。うだつの上がらないサラリーマンの青年が主人公です。自分を変えたい、出世したい、人生を成功させたいといつも思いながら、どうして良いか分からない日々を過ごしていました。そこへ、ある日突然、ゾウの顔をしたインドの神様「ガネーシャ」が現れて、成功に向けてアドバイスしてくれる…という内容です。余り類似の本を読んだことがないのですが、一種の自己啓発本、ビジネス書なのでしょう。ビジネス書を小学生が読む、と聞くと驚きなのですが、ガネーシャが関西弁バリバリで、主人公と漫才のような掛け合いをしたり、全体的に軽妙な文体は、読みやすく、引きつけられ、時に爆笑させられます。
 「人生を成功するための具体的なやり方」を教えてくれる本です。どんな方法なのだろうかと、読む前はどきどきしました。人を蹴落とすような競争ではないか、かなり無理をするのではないか、そんなことを思っていたのですが、書かれているのは、予想外のことでした。「靴を磨く」「トイレを掃除する」から始まって、「その日頑張れた自分をほめる」「自分の長所、短所を人に聞く」そして、「身近にいる一番大事な人を喜ばせる」「人の成功をサポートする」、最後には「毎日、感謝する」でした。もっともっと多くのアドバイスがあるのですが、どれも、身近で、すぐに実行できて、そしてやってみて楽しくなるようなものばかりでした。私にとっても我が身を反省したり、新たに気づかされるものばかりで、この中の幾つかは、実際にすぐに試してみました。「人を出し抜く」というようなものは全くなく、最終的には他人への「愛」につながってゆき、読んでいてとても前向きになれる本でした。この前向きさが、子供の読者にも受けるのかも知れません。(もちろんガネーシャの、毒のある「ゆるキャラ」ぶりも魅力なのでしょう。)
 あんまり面白いので、私は反対に、「何かこの本の中に批判できるところはないか」と考えてみることにしました。そこで思いついたのが、「前向きすぎる」です。「人生、成功ばかりではない。時には失敗もする。その時、この本は何を応えてくれるのか。」考えてみたのですが、きっとガネーシャは失敗をも前向きにとらえてしまうのでしょう。「失敗を糧にして、次がんばったらええねん」と関西弁で言うように思います。実は、聖書も同じように前向きなメッセージを私たちに語ってくれているように思います。パウロは迫害されていても、「この苦難はあなたがたの栄光です」と、苦しみを人々の救いにつなげて前向きに捉えました(エフェソ3・13)。イエス様は、十字架の後に復活があることを、弟子たちにはっきりと伝えました。何よりも、聖書は「万事が相働いて益となる」と高らかに宣言しているのです。失敗も、恥ずかしさも、苦しみも、悔しさも、すべては私たちの益となり、きっと神様の栄光をこの世に現す大きなステップとなるのです。
 キリスト教は、どうも外部から「罪、罪と強調する辛気くさい教え」と見られがちです。もしかしたら私たちも同じように考えているかも知れません。もちろん、人間の罪の問題は、深刻に捉えなければなりませんし、正義、平和の実現には困難が伴います。けれども、福音の本質は「前向き」なものです。希望を語り、夢を分かち合い、愛し合うものです。神様が共にいて下さることに感謝し、復活の命を楽しみに待ち望むのです。ワクワクとして、嬉しいものです。それでこそ「福音」…「喜びのメッセージ」…なのではないでしょうか。


第三回 これからの教会を考える『話し合い』

 7月12日(日)礼拝後に第三回これからの教会を考える『話し合い』が開催されました。今回のテーマはマリア教会と「パイプオルガン」です。
 教会創立100周年記念の時の議事録にパイプオルガンを設置しましょうという項目があり、そのため礼拝堂設計時から設置を前提として建設を進めて、パイプオルガンを待つばかりにはなっておりますが、詳細に詰めには至っておりません。今回の話し合いは、思っていることを決定するのではなく、感想を聞く会です。
 色々な発言がありましたので報告いたします。

・いつ設置するの?予算は?詳細にわたっては、まだ白紙の状態になっています。
・なぜか今までのオルガン献金額は、約七百万円とのこと。
・献金の方法では、一日百円献金、記念日の献金等、各自思い思いオルガンのため考えておられます。
・パイプオルガンをせっかく設置するのであれば、教会をアピールできるような、コンサートも出来、市民にも認められるオルガンの設置を。
・また設置の効果で、信徒さんの増加も見られるのでは。
・教会信徒の老齢化、若者の増加が見られないことに伴い献金の下落が心配です。
・オルガン設置に向かって、オルガニストの養成も進めていかなければ。
・設置に先立って、以前教会訪問したように、今度は維持、管理方法等のお話をきいて勉強する必要があるのでは。
・欧州の教会のパイプオルガンを聴きますと癒されます。
・以前パイプオルガンがあったのは、日本で初めてのオルガンでした。修理、修理の戦いでした。今愛知県立音楽大学に納められています。
・音色、聞こえるようです。
・今の電子オルガンも何年弾けるかわからない状態です。
・パイプオルガン機種の決定からのち五年はかかるようです。
 今回の話し合いでまとめるところまで行きませんでしたので、礼拝音楽委員会、教会委員会、また専門の方等に設置のたたき台をお出しいただくことで、第3回の閉幕といたしたいと思います。参加していただいた皆様、ありがとうございました。
(話し合いの会 田中泰之)

写真はイメージです


7/5洗礼・堅信式

 7月5日は、高地主教様をお迎えして、洗礼堅信式を行いました。受領された皆さん、おめでとうございます。
《洗礼堅信受領》
ヨハネ山口順帆さん(教父母・吉村和馬さん、深見和弘さん、浦地愛さん)
リベカ吉川愛永さん(森圭子さん、吉村伸さん、吉村由理さん)
ナターシャ岡本直子さん(吉村伸さん、吉村由理さん、瀬佳子さん)
カリタス赤松智仁さん(田中泰之さん、佐々木功さん、佐々木富美子さん)
《堅信受領》
テレーズ吉村真綾さん(菅原さと子さん、戸川晃子さん、岩城征文さん)
ガブリエル松本優平さん(吉岡和美さん、城重行さん、小林聡さん)
 この日堅信を受領した6名のうち4名は未成年、しかもなんと小学生。これからの当教会を背負って立っていってくれる若者の旅立ちに会衆一同惜しみない拍手を送っていました。


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