月報「コイノニア」
2009年10月号 No.314


《聖書を飛び出したイエス様・その10》
   心で聞く言葉

「手紙〜親愛なる子どもたちへ〜」樋口了一・歌、から

司祭 ミカエル 藤原健久

 あなたがたに新しい掟を与える。互いに愛し合いなさい。わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい。互いに愛し合うならば、それによってあなたがたがわたしの弟子であることを、皆が知るようになる。
           (ヨハネ13・34-35)

 老いの現実を冷徹に見つめ、その中で、子どもたちへの愛情と、親として子供に伝える最後の教えを、淡々とした、けれども温かく優しい曲に載せて、語り掛けるように歌ったのが、この歌です。
 「年老いた私が、ある日、今までの私と違っていたとしても、どうかそのままの私のことを理解して欲しい。私が服の上に食べ物をこぼしても、靴ひもを結び忘れても、あなたに色んな事を教えたように見守って欲しい。」歌の中で語り掛けている親は、加齢と共に、体力、記憶力が衰えてゆく中で、子供に支えを求めて行きます。子供が小さかったときに、自分がどれだけ子供を愛したか、その事実を少しだけ思って、自分を優しく支えて欲しい、と語り掛けます。差し迫る死という現実を見つめながら、残された時間に愛の交わりを深めたいという思いが、心に迫ってきます。
 私はこの歌を聴いて、自分の親のことよりも、自分の子供の事ばかりを思ってしまいました。親が自分を愛してくれたことを覚えて、今度は自分が自分の子供をしっかりと愛さなければならない。自分の親がまだ元気でいてくれる事もあってでしょうか、私の心は子供の方に向きました。
 何度も聞き返してみて、気づいたことがありました。この歌は、自分の口で語れない人の、心の声を歌ったものだったのです。お歳を召して体が不自由になった方は、自分の思いを十分に表現することができません。こちらの手に余る行動や、感情を察しかねる眼差しを前にしたとき、この人が何を言いたいのか、何を考えているのか、分からなくなるときがあるのではないでしょうか。もしかしたら、時に私たちは、目の前にいる人が「自分を困らせようとしているのではないか、自分を憎んでいるのではないか」と考えてしまうことがあるかもしれません。この歌は、自分の口で語れなくなった人の心の中が、実は以前と同じように、このように優しいものなのですよと、教えてくれているように思います。心の思いを察しかねるという点では、小さな子供も同じです。子育ての中で、とても苦しく思うこともありますが、冷静になって子供の心を察してみると、多くの場合自分よりもはるかに優しいのです。
 もしかしたらイエス様も、弟子たちに無言で語られたことが多くあったのかも知れません。イエス様は、はっきりとした言葉で多くの教えを述べられました。けれども十字架の上では、イエス様はほぼ無言でした。弟子たちは、十字架の上で苦しみ、絶命されたイエス様の姿を見て、多くのことを学びました。命のこと、死のこと、復活の命の希望のこと、愛すること…。イエス様が生前に語られた多くの教えも、十字架の姿を前にしたときに、その真の意味が明らかになったのかも知れません。
 私たちはもっと心の耳を澄まさなければならないのかも知れません。きっと優しい、愛の言葉にたくさん出会えるのでしょう。


敬老の集い開催!

 去る9月13日(日)敬老感謝の集いを行いました。マリア教会で七五歳以上の方々は、現在49名おられます。体調を崩されている方もおられますが、多くの方はお元気で、いつも多方面に渡り教会でご奉仕くださっています。
 当日の礼拝出席者71名中、22名の方が「敬老」の方々でした。礼拝では、昨年同様「シニア聖歌隊」が活躍してくださいました。アンセムではリードオルガンに合わせて数曲歌ってくださいました。歌声の美しさと力強さは、あえて「シニア」と頭につける必要のない程の立派な「聖歌隊」、これからも現役として是非ご奉仕ください。
 例年とは違い、参加者全員での記念撮影の後、祝会に入りました。聖歌と、司会の野嶋久暉さんのお祈りで祝会が始まりました。食事のメニューはちらし寿司とお吸い物とデザート(抹茶ゼリー)。どれも婦人会のご奉仕によるものです。ごちそうさまでした。お腹が落ち着いたら、懇親会です。まず、新しく75歳以上の仲間入りをされた方を代表して、谷嘉明さんがご挨拶くださいました。次に末松玲子さんのピアノのリードと、藤原司祭のギターで、懐かしの歌を数曲歌いました。青春だぁ。あまりの素晴らしい歌声に、要望に応え、谷さんがソロで歌ってくださいました。次に浦地愛さん指導による、歌と手遊び(体操?)「ドレミの歌」、かなり難しいものでした。レッツ、エクササイズ!婦人会でご用意くださったプレゼントを小林格子婦人会さんがお渡しくださいました。山本進さんからご挨拶を頂き、聖歌、主の祈り、司祭の祝祷で閉会しました。祝会の時も「シニア聖歌隊」が素晴らしい歌声で会衆をリードしてくださいました。
 改めて「敬老」と言われれば、おかしな気持ちがするくらい、皆さん若々しく、いつも教会で活躍してくださっています。どうぞこれからもご指導くださり、ご一緒に宣教致しましょう。

当教会員のうち満75歳以上で
お祝いされた方は次の通りです。
         (敬称略)
塩見英子、木村忠一、山本進、中堀妙子、上野久子、望月満子、古和菊子、鎌田梅子、浅井みよ、松本時子、山岡和子、椹木信子、木元民、速水佳子、片岡霊恵、東清士、佐々木功、東セツ、有田信子、宗像康雄、石田阿以子、大岡みゆき、西岡正之、青木節子、古館典子、熊谷京子、市井隆子、上阪京子、林悦子、宗像和子、安田文子、速水純子、山岡景一郎、續木智子、邨田志津子、中井康雄、佐々木富美子、久保田栄三、増井幸夫、藤木玲子、速水惠子、増井登喜子、新實康男、宇野祐次、星野謙、有田収、中井弘子、山元智子、谷嘉明


芦生ほっこりきゃんぷ開催!

 先月のコイノニアでもご紹介しましたが、我がマリア教会出入りの各団体では毎年、たくさんのキャンプを色々な土地で行っています。それぞれに工夫を凝らし、事前準備・会議を重ね、素晴らしいキャンプをしているわけですが、そのすべてのキャンプが終わって、「なんのプログラムもない、ほっこりするキャンプをしようよ!」という意見から始まったのが、このシルバーウィークに行われた「芦生ほっこりきゃんぷ」です。
 このキャンプの参加資格は「聖マリア教会に関わりのある人」すべて。キャンプ中は自分勝手に好きなように過ごしてもいいルールになっています。ずっとお酒を呑んでいる人、一日中食べまくっている人、ひたすら美味しいものを作っている人、読書をしている人、ずっと寝てる人・・・さながら楽園なのです。みなさんも一度「ほっこり」しにご参加下さい。
 この企画は五月のGWにも「のんびりキャンプ」として開催されます。都会を抜け出して自然と戯れてみては???


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