月報「コイノニア」
2009年12月号 No.316


《聖書を飛び出したイエス様・その13》
        生ましめんかな

栗原貞子「生ましめんかな」

司祭 ミカエル 藤原健久

生ましめんかな

こわれたビルディングの地下室の夜だった。
原子爆弾の負傷者たちは
ローソク一本ない暗い地下室を
うずめて、いっぱいだった。
生ぐさい血の匂い、死臭。
汗くさい人いきれ、うめきごえ
その中から不思議な声が聞こえて来た。
「赤ん坊が生まれる」と言うのだ。
この地獄の底のような地下室で
今、若い女が産気づいているのだ。
マッチ一本ないくらがりで
どうしたらいいのだろう
人々は自分の痛みを忘れて気づかった。
と、「私が産婆です、私が生ませましょう」
と言ったのは
さっきまでうめいていた重傷者だ。
かくて暗がりの地獄の底で
新しい生命は生まれた。
かくてあかつきを待たず産婆は
血まみれのまま死んだ。
生ましめんかな
生ましめんかな
己が命捨つとも

 数年前に逝去された詩人、栗原貞子さんの代表作の一つです。これは、栗原さんが、広島で被爆したときに経験した実話を元にして作られた作品です。
 私は神学生の時に、初めてこの詩に出会いました。私はこの詩を読んだとき、思わず涙がこぼれました。なぜ泣いたのか、その理由ははっきりとは説明できませんが、詩で描かれている「命」の輝きに打たれたような気がしたのでした。人間の欲望によって起こされた戦争に於いて、最も罪深い行為の一つである原爆の惨禍の最中にも、最も尊い行為である「命」の誕生があり、その喜びは原爆をもってしても消すことができなかったのです。この「命」の力強さ、尊さに、私は心打たれたのだと思います。
 この詩の情景は、クリスマスの夜に重なってくるように思われます。原爆の時ほど酷くはなかったのかも知れません。けれども、イエス様が生まれた時も、ローマ帝国に占領され人々が苦しんでいた時代でした。不潔で不衛生な馬小屋でした。マリアもヨセフも長旅で疲れ果てていました。羊飼いは寒空の下の徹夜仕事で、博士たちは遠い国からの長旅で、疲れ果てていました。けれども彼らは、自分の苦しみを忘れてイエス様の誕生を心から喜び、神様を賛美したのです。
 赤ちゃんは、みんなが必死になってお世話をして、心配をして、生まれてきます。赤ちゃんは、周りの人々からの、無条件かつ無償の愛を受けて、生まれてくるのです。イエス様もそうでした。イエス様は神様の子です。スゴイ方です。そんなイエス様でさえ、みんなから支えられて生まれてきたのです。ましてや何も優れたところのない、ちっぽけな存在である私たちは、なおさらのことです。多くの人々の支えがあって、初めて私たちは生まれてくることができたのです。それこそ、誰かが自分の命を捨てるほどに、必死になってくれたからこそ、私たちはこの世に生を受けることができたのです。イエス様の誕生を思うとき、私たちは自分に与えられた命の尊さに気づくのです。
 今もどこかで、「生ましめんかな」のような状況があるかも知れません。この詩で明らかになったように人間の命は尊いものです。その命を傷つけ奪う戦争は、決して許されません。この詩を読むとき、そしてクリスマスを迎えるとき、私たちは平和の実現に向けて、決意を新たにするのです。


Merry Christmas

19日(土)16時15分
日曜学校クリスマス会

 30数名の子どもたちが集まってくれました。いつも日曜学校に来ている子も、久し振りに合うお友だちも、みんな集まって、大変賑やかでした。礼拝のお話しは「恐るべき博士たち〜おっさんのクリスマスパート4」。ホールでお菓子をいただいた後、幼稚園ホールに場所を移してゲーム大会。四つのグループに分かれて点数を競いました。今年もサンタさんが来てくれました。例年通り、泣き出す子もいました。午後七時、お家の方にお迎えに来て頂いて、帰路につきました。


20日(日)
午前7時、早朝聖餐式。
午前8時、英語聖餐式。

 アメリカから旅行に来られた3名の親娘と共に礼拝しました。



20日(日) 10時45分
降臨節第四主日(主要聖餐式)
総員礼拝・祝会

 今年は大変寒い日となり、来にくい方も多かったと思いますが、当日は約110名の方々と共に礼拝を捧げました。聖歌隊とハンドベルの演奏は素晴らしく、陪餐の最中にすっかり聞き惚れてしまいました。礼拝後はホールで祝会です。恒例となった持ち寄りの食事会も、皆さんの腕によりを掛けた素晴らしい料理がたくさん並びました。楽しいゲームの後、サンタさんの登場です。今年のサンタさんは、かわいそうにインフルエンザで苦しんでおられました。


23日(水・祝)13時
ボーイスカウト京都第24団
クリスマス会

 凛々しい制服姿で礼拝堂が一杯になりました。
 最初の礼拝では、ビーバースカウト、カブスカウトが聖書を立派に朗読しました。
 礼拝の後は幼稚園ホールで祝会です。踊りや劇など、楽しい出し物が続きました。



23日(水・祝)14時30分
キャロリング

 約10名の方が集まり、聖歌隊のコッターを着け、バプテスト病院へ行きました。ホスピス病棟や一般病棟の10カ所ほどで、2曲ずつ聖歌を歌わせてもらいました。皆さん静かに耳を傾けてくださり、わざわざ病室から廊下まで出てきてくださる方、歌い終わった後拍手を下さる方などがおられました。


23日(水・祝)17時
ろうそく礼拝リハーサル

 祭壇奉仕者、聖書朗読者、聖歌隊が集まり、最後のリハーサルをしました。ろうそく礼拝を素晴らしいものにしようと、みんな二時間ぶっ通しで練習しました。



24日(木)19時30分
クリスマスイブ・ろうそく礼拝

 今年は「混声合唱団京都木曜会」の方々が参加してくださり、超満員の礼拝と成りました。礼拝の途中にパイプ椅子を並べて、それでも足りずに立ったまま参加される方もおられました。この日は名簿に記名して頂かないので、正確な人数は分からないのですが、聖歌隊を除く会衆が約130名ほどだったと思います。今年は昨年同様、聖歌隊は二階席で歌いました。九つの聖書日課と黙想、祈り、それに聖歌で構成された、素晴らしい礼拝でした。約一時間半の礼拝後「木曜会」の方々は礼拝堂に残り、納骨堂の前で、3月に逝去された吉村信良さんを偲び、素晴らしい歌声を披露してくださいました。感動的な歌声でした。


24日(木)23時30分
深夜礼拝(降誕日第1聖餐式)

 ろうそく礼拝後、ホールでのお茶会が、例年以上に盛り上がり、その勢いで、今年は例年よりも多い、30数名の方が参加されました。深夜礼拝のレギュラーとなっている方もおられ、また青年の方々も参加され、賑やかに、けれども厳粛に、主のご降誕を祝いました。


25日(金) 午前七時
早朝聖餐式(第2聖餐式)
八時、英語聖餐式
10時45分
降誕日・主要聖餐式

 約30名の方々と共に、礼拝をおささげしました。礼拝後、簡単な昼食をとり、有志の方々で教会のお掃除をしてくださいました。前日のろうそくの後かたづけ、床に落ちたロウの除去、この数日の様々な集会で汚れたホールを、長い時間を掛け、隅々まできれいにしてくださいました。感謝です。


25日(金)17時
ジュニアチャーチ・クリスマス会

 中高生(ジュニアチャーチ)メンバーとスタッフ約20名は、司祭家族も含め、礼拝堂で夕の礼拝を行った後、教会会館でパーティーをしました。久しぶりにたくさんのメンバーが集まり、おいしく食事をいただき、楽しくゲームをしてあっという間に時間が経ちました。



聖マリア幼稚園コーナー

『クリスマスページェント』

 今年の「クリスマスページェント」は12月18日(金)に行われました。本番の日を迎え、登園時間にやって来た子ども達は、いつもと違った夕方からの登園、そして本番の緊張感も相まって、一様に興奮気味でした。衣装に着替え、身も心も準備OK!礼拝堂のろうそくの光に照らされながら♪く〜しきほ〜しよや〜みのよ〜に♪と聖歌隊の入堂からページェントが始まりました。
 年長緑組は、マリア様、ヨセフ様、ガブリエル、大天使に羊飼い、博士に星といったメインキャスト、そして年少花組はかわいい子天使・子羊を演じ、その脇を年中赤組聖歌隊が物語を歌い伝え固めました。そんな子ども達をどん!と支えて下さる保護者有志の聖歌隊のコーラス。そして、園児の先輩、ページェントを経験してきた卒園児。そしてお家の皆様など沢山のお客様が、その様子を温かく見守って下さり、皆の気持ちが一つになって、「愛」の光で満たされた、素敵なページェントとなりました。
 ページェントの練習期間中に、今からさかのぼる事20年前。80周年の記念のクリスマスページェントのビデオを先生達で見る機会がありました。今を知る方々の20年前の姿に話は盛り上がりながら、その時代のページェントに目をやると、そこには、少しの違いはあるものの、今と変わらないページェントの姿がありました。
 20年前の子ども達も、今年の子ども達のように、緑組は叱咤激励されながら、やりきる事でひと回りもふた回りも成長し、その姿を見ている赤組は、自分の役を果たしつつ、来年は僕も私もメインキャストをするんだ!と憧れの気持ちを持ちながら、そのキラキラした眼差しで緑組の姿を見、花組は愛らしい動きで見ている人を愛でいっぱいにしてくれたことでしょう。今年は、久々に自由遊びの中で日々、楽しみながら配役を替えながら「ページェントごっこ」をしている姿がありました。異年齢の関わりの中で、受け継がれていく大切なものの有ることを確信し、そこには、小さき者を愛してやまないイエス様が子ども達を守って下さっていることを感じずにはおられません。ふと気が付くと誰とはなしに歌を口ずさんでおり、暖かな気持にさせてもくれました。
 脈々と受け継がれて来たページェント。そしてこれからも受け継がれていくであろうページェント。今年も幼稚園、教会の沢山の皆様の見守りの下、無事に終えられた事を、皆様に感謝し、いつも傍にいて私たち全てを見守って下さる神様に感謝したいと思います。(赤組 団 聡子)


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