月報「コイノニア」
2010年2月号 No.318


《聖書を飛び出したイエス様・その15》
     おとうさんはウルトラマン!

映画「大決戦!超ウルトラ8兄弟」から

司祭 ミカエル 藤原健久

わたしの命じることを行うならば、あなたがたはわたしの友である。もはや、わたしはあなたがたを僕とは呼ばない。僕は主人が何をしているか知らないからである。わたしはあなたがたを友と呼ぶ。父から聞いたことをすべてあなたがたに知らせたからである。
                              (ヨハネ5・14-18)

 子どもたちと一緒に映画館に行くと、多くのお父さんたちに出会います。皆さん、子どもたちの世話に追われています。トイレに連れて行ったり、おやつを買ったり。私のように、自分も好きで見に来ている人だけでなく、家族サービスのために来られた方もおられることでしょう。せっかくのお休みに、疲れた体を引きずって、可愛い子どものために骨折ってらっしゃる方も多いと思います。
 最近のウルトラマンは、そのようなお父さんたちの心をも、がっちりとわしづかみにしてくれる、心憎い演出がされています。
 主人公は、今や「中年」と呼ばれる年齢に差し掛かった男たちです。それぞれ社会的にも安定した、責任ある仕事に就いています。けれども彼らには、年齢を重ねる中であきらめてしまった、子どもの頃からの夢がありました。宇宙飛行士、プロ野球選手、科学者…。そこへ突然恐ろしい怪獣が現れ、街を破壊してゆきます。誰かが人々を助けなければならない!その時、彼らは思いだしたのです。実は自分たちは、かつてウルトラマンだったということを。彼らはウルトラマンに変身し、見事、怪獣を倒します。そして彼らは、この闘いを通して、自分の夢を取り戻すことを決意し、遅ればせながらも努力を重ね、これまた見事、子どもの頃の夢を叶えるのです。
 「あきらめなければ夢は叶うんだ」という直球勝負のメッセージに、お父さんたちの胸と目頭は熱くなったはずです。私は子どもの横で、ぽろぽろと涙していました。
 四〇年以上の歴史を持つ、国民的ヒーロー、ウルトラマン。悪い怪獣を正義のヒーローが倒す、勧善懲悪の物語ですが、実はウルトラマンには、初代から続く、隠されたテーマがあるのです。それは、「ウルトラマンと人間との関係」です。ウルトラマンがいてくれれば、人間は何もしなくて良いのではないか。ウルトラマンがすごければスゴイほど、人間は、自らの無力さを思い知るほかないのではないか、という疑問です。これは「人間とは何か」という深い問いにつながるものだと思います。決して人間は無力ではありません。ウルトラマンは、人間が応援してくれるからこそ、怪獣と戦えるのです。人間が「ウルトラマン頑張れ!」「私たちがついてるぞ!」と応援してくれるからこそ、カラータイマーが赤に変わってピンチになっても、踏みとどまって、最後の一撃、必殺光線を放つことができるのです。
 イエス様は、「スゴイ」方です。病気も治せば悪魔も追い払う、誰にもできない神様の力を持っておられます。ならば世界の救いをイエス様一人にお任せして、私達は何もしなくて良いのでしょうか。決してそうではありません。イエス様は奇跡を行うとき、必ず私達の信仰を求められます。私達の信仰を増し強めるためにこそイエス様の奇跡はあり、また人々の信仰があるからこそ、イエス様は奇跡を行えるのです。イエス様は私達を「友」とよび、「一緒に歩もう」と呼びかけてくださいます。世界を愛で満たす救い主は、一緒に歩む私達を求めておられるのです。
 世のお父さんたちも、日々、家族を守るため、また世界平和のため、一生懸命働いています。お父さんはみんな、実はウルトラマンなのです。みんなの応援が、何よりのエネルギーなのです。「頑張れ、ウルトラのお父さん!みんながついているぞ!」 


聖マリア幼稚園100周年記念式典を挙行!

 2009年度は、聖マリア幼稚園にとって特別の年度となりました。とても大きな素晴らしい節目を神様から与えられました。今年は聖マリア幼稚園が、1911年に開園して以来100年という一世紀が次に移ろうとする記念の年でした。カスバート司祭が1903年、岡崎の地で 宣教をはじめられたことにより、聖マリア幼稚園にも生命が与えられたのです。それは、かつて岡崎の地で平安遷都1100年を記念して大博覧会が開催されたその跡地に動物園ができ、それと同じくしてその北東角隅から始まりました。いつも、教会の方々に守られ、保護者、卒園生、近隣の方々、そして教職員の繋がりの中にあって、今の子ども達とそのご関係の方々とのお出会いがここにあるのです。では、今年度創立一〇〇周年を記念して行った行事をご紹介致しましょう。

1)在園生の子ども達とその保護者、ご家族をご招待した「感謝の集い」(昨年11月のコイノニア参照)
2)2010年1月30日(土)午後5時半より「創立100周年記念式典・祝賀会」をホテルグランヴィア京都にて行いました。
3)2010年2月6日(土)創立100周年バージョンで、小学一年生から20歳までの未成年の親子を対照としたホームカミングデーです。



今回は2)と3)についてご報告をさせていただきます。

 まず、始めに「創立100周年記念式典・祝賀会」は、京都府、京都市の行政の方々、学校関係、日頃お世話になっている方々を来賓として20名をお迎えしました。ほか、私立幼稚園関係、業者、卒園生(この方々は、募金を頂戴した方々のお名前を基準にしてご案内させていただきました)、教会の方々、旧教職員そして、今年度のこひつじの幹事の方々を含むスタッフ20名を合わせ、総勢177人の参加をいただきました。式典の次第を時系列でお伝え致しましょう。まず、司会は昨年度のこひつじの会会長高橋さゆり様と卒園生の鈴鹿可奈子様にお願いしました。一部:礼拝、二部:記念式典、三部:祝賀会です。一部のお礼拝は高地主教様と藤原司祭により執り行われました。今は亡き宮西ゆき先生と、良子先生の子どもへの思いが記された聖歌を組み込みました。当日のタイムスケジュールを綿密にたてて下さいました式典委員長の三井哲次さんをFDとしてその指示の通り開始される手はずでした。が、・・五人のご来賓にご祝辞を賜ることになっており、その中に門川大作京都市長のご臨席をお願いしていました。当初、公務ご多忙とのことで僅か一五分しかおいでいただけないとのことでしたが、インカムでの連絡により、「おつきになられた。後五分したら・・・」とのことなので、折角なので当園の大切な部分のお礼拝からご臨席いただけるのならと、お待ちすることになりましたが、まだ? まだ?と一〇分遅れで始まりました。そして、ご一緒にお礼拝をお献げすることが出来たのです。厳粛な礼拝と藤原司祭の素晴らしいお説教により、「ここに幼児教育における神様の愛あり」と思っていただけたのではないでしょうか。私立幼稚園の中には、仏、神、キ、無とさまざまな幼稚園の基本理念をお持ちです。が、さすがに幼稚園の先生ゆえ、皆さんが聖歌をお歌い下さったのには感激しました。二部の式典は菅原が式辞でご挨拶をさせていただき、六時一五分に市長がご退席とのこと、気がきでない中皆様に御礼申し上げました。その後、市長、京都府文京課課長様(知事ご名代)、京都府幼稚園連盟理事長、高地主教様、今年度のこひつじかい会長、石田絢子様の五名にご祝辞を賜りました。それぞれに内容に意味のある素晴らしいご祝辞で、さらに事前にタイムスケジュールをお渡ししていたお陰なのでしょう、どの方も時間内に終えて下さり、お聞きくださる皆様の集中されているの中、素晴らしい流れでいとも嬉しい時間を過ごしました。その後、創立記念事業の一つの大きな事業であった、耐震補強工事と園舎内外の改装工事に関し、限られた時間(予算は勿論ですが)誠心誠意私たちの為にお働きくださいました北村工務店の社長様に、藤原理事長より「感謝状」をお贈りさせていただきました。その後、創立100周年実行委員長である卒園生であり、現保護者の竹中慎一様より、この度の周年事業についてのご報告をしていただきました。さあ、いよいよ第三部の祝賀会です。いえ、その前に皆さんから「え?!」と言われたのですが、私たちにとりましては、イースターでの集合写真での経験もあるので何も思わず、写真屋さんから発案で「記念になるならいいですね」と答えてしまいましたが・・、ご臨席の皆さんに立って回れ右をして、上を見あげていただいたのです。それは、全体の記念写真撮影です。御協力いただき感謝です。とてもよい記念になりました。祝賀会が始まり、乾杯のご発声は京都市市立幼稚園協会会長の先生にお願い致しました。し・ば・し・・歓談。テーブルバイキングの形式での美味しい(残念、私はいただけませんでした)お料理を食していただいていました。するとどうでしょう。何とまあ、かわいい子ひつじちゃんが籠に入れられて、各テーブルの真ん中に出て来たではありませんか。迷える子ひつじ?幼稚園からホテルにまでやって来たのでしょうか?それは、進々堂社長の心温まる名案で創られた(名前とぴったり!)特別仕立てのひつじの焼き印のついた素晴らしくかわいいパンが登場したのです。何処にも売っていない羊ちゃんです。当園の子ども達と同じくかけがえのない羊ちゃん達です。後日、他園の先生から「あのパンはどこで売ってられるの?」「ポケットに入れてもって帰らせてもらったわ」「美味しかった」と大好評でした。創さんありがとうございました。そんな羊ちゃんを横目で見ながら、皆様に御礼をいいながらお酌をして回らせていただいている間、幼稚園の先生同士は勿論、旧教職員や卒園生、また教会の方々など入り乱れて再会を喜び、歓談に花が咲いていました。他園の先生も「皆さんも盛り上がってとっても楽しそうでしたね。」との感想を寄せて下さいました。その楽しげな皆さんの中で、ちょっと割って入ってゲームの時間を取りました。聖マリア幼稚園と言えば、幼稚園の創始者であるフリードリッヒ.フレーベルが考慮した恩物の数々を今も大切に保育に取り入れています。今はもうどこの幼稚園でも使われていません。子ども達の大切な創造性を育むといわれている恩物を「こんなことをして遊べるのです」ということを少しご披露したいと思い、第1恩物(基本的に第10まである)の六色の毛糸のまりを持っていきました。ゲームは六色をお野菜に見立てて「♪今日は嬉しいよい天気、お野菜取りに出かけましょ、さあ、いらあしゃい ○○ちゃん・・・」と、失礼ながらも皆様を子どもに見立てて、現職の先生の協力連携プレーで、皆さんを巻き込みご一緒に遊んでいただきました。ゲームで25分程過ごしたのち引き続いて、「聖マリア幼稚園の今昔」のDVD上映をご披露。パワーポイント制作者は、三井さんと団先生。ナレーターは朋子先生、そして、BGMには贅沢にもフルートの生演奏です。現保護者の細野美樹様にお願いしました。あくまでもBGM、でも聖マリア幼稚園らしく? 何か他とは違う形で・・と、実はずっと実現出来れば良いのにと思っていたのです。思いの通り、皆様が集中して聴き、見入って下さっていました。何と会の締めくくりに相応しく素晴らしい!と自画自賛で喜び合いました。最後は、勿論竹中実行委員長からのご挨拶でお開きです。お帰りには、吉村さんが心を込めて、年末年始を返上して、素敵な案を提供していただいて出来上がった「聖マリア幼稚園100年のあゆみ」の記念誌と100匹のひつじ(迷子の一匹のひつじ)をモチーフにしたエコバッグ(これも卒園生の保護者にお世話になりました)をお持ち帰りいただきました。そのバッグは、あるキリスト教の幼稚園での教材としてお使い下さったとのこと。それも嬉しいお話でした。そして、「司会の方の第一声から聖マリア幼稚園の雰囲気が伺われて良い会でしたね。」とのお言葉に、司会をして下さいました方の周到なご準備にも感謝致します。本当に有り難うございました。「温かい会でしたね」「楽しかったです」「素晴らしい皆さんの連携ですね」「卒園生や保護者の方々のご協力も素晴らしいですね」と様々なお声をお聞かせくださり、御礼のお手紙や写真をお送りした後、反対に多くの御礼をいただきました。主催者側の一人として、特にこの日の為に無我夢中で準備をしてきましたが、これは、聖マリア幼稚園を思って下さるすべての方々のお陰です。当日参加して下さった方は勿論のこと、何かの理由で来ていただけなかった方、連絡の取れなかった方・・・すべての人です。厚く御礼申し上げます。そして、日々、園長の「次はあれ、これ、イヤどうしょう!」といろんな指示に従ってこの時を乗り越えてくれた一番身近な現場の先生達にもこの場を借りて感謝・感謝です。

3)の未成年の親子対象のホームカミングデーについてお伝え致しましょう。
ご案内を出した時のはじめの2週間ほどの参加者が、僅か4名!「どないしょ。こんなんでは出来ひんやん」だって、玲子先生のお世話で、11月に開催した時のコンサートをする予定でいましたから。でも、徐々に増えていき最終70名になりました。再度礼拝堂にピアノを搬入してもらい、ピアノ、ヴァイオリン、ビオラ、ソプラノとお忙しい中の方々にお越しいただき、演奏をしていただきました。幼稚園で歌ってきた歌、リズムバンドで演奏してきた曲など、様々な曲を組み入れていただきました。幼稚園を知って下さっている玲子先生ならではなのです。実は、昨年秋の在園児の「感謝の会」の時にもお願いしたところ、その保護者からは、「兄や姉にも聴かせてやりたかった」とのお声をきき、音楽に力を入れている幼稚園でもあるのだから、「そうですよねえ」とその時から私の気持ちは決まったようなものでした。それだけに一人でも多くの卒園生、保護者にお集まりいただきたいのにと思っていました。すると、遠く大分や岡山からも帰ってきてくれた卒園生。嬉しかったです。コンサートの後は、ホールで美味しいケーキやお菓子に舌鼓を打っていただき、和気あいあいの楽しい再会の時間を過ごしていただきました。その中で、幼稚園外でもつながりがあるとはいえ、年長の先輩の膝上に後輩が座って、話に加わっているではありませんか。そんな姿、「ああ、この園の大切な縦のつながりなんだ」とニヤニヤとしながら眺めていました。また、いつでも幼稚園に帰ってきて下さいね。その為にも先生一人一人がいつでも子ども達を迎えることの出来る体制でなければ・・とも考えていました。
 今年度の創立100周年の事業についてお読みくださってどのようなご感想をお持ちくださいましたでしょうか。本当に私は何て幸せなんだろうと感謝で一杯です。どなたにもどなたにも。そして直接、間接に御礼申し上げます。最後に私たちをここに遣わせて下さいました神様に感謝致します。
 園長 ルデア 菅原さと子


聖マリア幼稚園コーナー

『一年のpre-preを振り返って』

 2009年度のPre-pre schoolは六組からスタートしました。二歳のお誕生をむかえる月から参加が出来るクラスですので、幼稚園のように、4月から沢山の人数でのスタートではなく、学期が進むごとに人数が増えて、三月現在では一六組の親子が参加して下さっています。
 4月にはまだ乳児に近く、言葉も片言だった子どもたちも、この一年の間に人と関わりながら経験を通し、沢山の言葉を覚えて会話が弾むようになりました。私たち大人が、知らない国で言葉を獲得しょうとしてもなかなか出来ません。それを思うと子どもたちの学びの力は凄いと思います。又一人遊びや対お母さんと遊ぶ姿から、お友だちの真似をしたり、お友だちのおもちゃや遊びが気になったりと、"お友だち"の存在を意識するようになりました。お家という楽しく自分中心で回っていた毎日から社会という外への第一歩です。お稽古やお家からのお出かけとも違います。自分のペースではない流れに戸惑う子どもたちに、お家の皆様も一緒にドキドキされています。同年代とはいえ生まれ月は勿論、子どもを取り巻く環境が異なれば、成長が一人一人大きく異なるのは同然です。どうしても出来る事出来ない事に目をやりがちとなり、個性を大切にする事は勿論ですが、個性と言ってしまうのは簡単です。しかし、集団の中でこそみんなに認められてこそ個性が輝く事を、皆さんにお伝えしています。お稽古ごとはすぐ結果が見えて、親御さんたちも安心します。Pre-preでは色々な活動を通して一年間過ごす中で、わが子やお友だちの成長を見て頂いています。今出来なくても繰り返しで覚えること、お友だちから学ぶこと。お母様がたやお家の皆様みんなに見守られて認められて、嬉しいという気持ちが自信につながること。毎回 この時!という機会を逃さないように子どもたちの成長・発達についてお話しています。子どもたちの姿を見た上で聞いて頂くと、なるほどと感じて頂けるようです。自分たちも子どもの時にこのように幼稚園・保育園で沢山の大切な経験をしてきたのだなと感じて頂き、子どもたちもお母様もこれから送り出す幼稚園生活がこんなにも楽しくて、刺激的なものなのだと安心して頂けるようにと思います。来年度は六名が幼稚園に進みます。4月には親御さんの選ばれたそれぞれの方向に進みます。残り少ない3月ですが、思い出を沢山心に刻んでもらえればと考えています。
  (教諭 クララ 藤田尚子)


2月号その2へ