月報「コイノニア」
2010年4月号 No.320


《聖書を飛び出したイエス様・その17》
   一緒に何かを造り出したい。

映画「マイケル・ジャクソン THIS IS IT」から

司祭 ミカエル 藤原健久

イエスと弟子たちは共に湖の方へ立ち去られた。ガリラヤから来たおびただしい群衆が従った。また、ユダヤ、エルサレム、イドマヤ、ヨルダン川の向こう側、ティルスやシドンの辺りからもおびただしい群衆が、イエスのして折られることを残らず聞いて、そばに集まってきた。
                 (マルコ3・7-8)

 過日の「マイケル・ジャクソンを語る会」には、多数ご参加下さり、ありがとうございました。老若男女、10名以上の方が、一緒にDVDを楽しみ、感想を語り合いました。次のような感想がありました。・以前からのファンではないが、知人に勧められて観た。日常を忘れて音楽とダンスに浸り、ファンになった。・大スターなのに、謙虚な姿勢でスタッフに接している姿に驚いた。・自然体で踊っているように感じる。・「整形」「児童虐待の裁判」など、悪いイメージを持っていたが、亡くなってから良い話ばかり聞く。・完璧な演奏に加え、それ以上の舞台を通して、いかにして観客を喜ばせようかと尽力しているのが分かった、等々。
 この映画は、昨年、英国で行う予定だったコンサートの、リハーサルの様子を収めたものです。ミュージシャン、監督、ダンサー、裏方、みんなが「素晴らしい舞台を造ろう」と心を合わせ、それぞれの立場で自分の仕事を果たしていきます。彼らの中心で、彼らに指示を出すのがマイケルです。彼らは互いに相手に敬意をもって、一つの舞台を造り上げていきます。
 映画の冒頭で、ダンサーたちがインタビューを受けています。彼らはマイケルに語りかけます。「あなたはエネルギーの源だ。」「あなたがいたから僕は踊っていられる。」「あなたが俺を動かした。」「人生に意味を見い出したかった。それがこれだ。」彼らがどれほどマイケルを慕っているかが分かります。彼らはマイケルと一緒に踊るために集まりました。彼らはきっと、踊りを通して、何かをしたい、マイケルと一緒に何かを造り上げたい、と思っているのでしょう。
 舞台に立つ人だけでなく、テレビの前やCDを聞きながら、踊っている人もたくさんいることでしょう。(誰もが一度は、「ムーン・ウォーク」に挑戦したのではないでしょうか。)彼らも、マイケルと一緒に、何かを造り上げようとしているのではないでしょうか。
 イエス様の周りには、いつも多くの人々が集まってきました。それは、イエス様の奇跡や教えを「求めて」いる人だけではないと思います。多くの人々が、イエス様と、何かを一緒に造り上げたくて、イエス様の元に集まったのではないでしょうか。自分の人生の大切なものを、この人になら懸けられる、と感じたのではないでしょうか。かつて神様は、天地を造られました。それを「創造」と呼びます。イエス様は今、新しい何かを「創造」しておられる、自分もその働きに参加したい、その熱い思いが、人々をイエス様の元に引き寄せたのではないでしょうか。
 「本物」と感じられるものには、人々は集まります。「本物」に出会うためには、人々は労を惜しみません。そして人々は、「本物」を造り上げることに、自分の人生を懸けたいと思っているのです。
 イエス様のお働きの中に、人々は「本物」を感じたのでしょう。そして、マイケル・ジャクソンは、音楽の世界に於いて、多くの人々に「本物」に出会う機会を与えてきたのでしょう。
 確かにマイケルが舞台に上がると、目が引きつけられます。躍りや歌声の一つ一つが、誰にもまねできない彼の個性を表しています。あらためて希有な才能を失ったことを思わされます。


祝 ご復活!

今年は、桜の開花が例年より早くかったのですが、大斎節中桜を愛でながら過ごし、満開の中で、復活日を祝いました。
ご復活の準備を整える聖週の模様をお知らせします。

3月21日(日)午後  作業日

 10名ほどの方々で、しゅろの十字架を作りました。初めて作る方も、久し振りに作る方も、すぐに作り方を覚えて、短時間で約100個の、大小様々な十字架ができました。


3月28日(日)10時45分  復活前主日(しゅろの主日)

 イエス様のエルサレム入城と、十字架での受難を覚える主日です。最初に聖堂前室に集まり、お祈りの後、しゅろの十字架や枝を手にして聖堂内を行列しました。福音書朗読は、教会委員を中心とした信徒の分担による朗読です。受難物語が、自分の目の前で繰り広げられているかのように思いながら、朗読を聞きました。この日は代祷も、特別な物を用いました。五七名参加。


4月1日(木)午後7時 聖木曜日の礼拝

 イエス様が弟子たちの足を洗われた出来事と、聖餐式を制定されたことを覚える礼拝です。「あなたがたに新しい掟を与える。互いに愛し合いなさい」のみ言葉と共に、司祭が信徒の足を洗いました。聖餐式では、久し振りに「大栄光の歌」が歌われましたが、礼拝後は、祭壇上の全ての装飾を外し、受苦日に備えました。六名参加。


2日(金)正午 聖金曜日(受苦日)の礼拝

 京都伝道区・信徒伝道協議会主催の礼拝です。聖アグネス教会で行われました。長い福音書を、幾つかの教会の信徒が分担して朗読しました。説教は黒田裕司祭(下鴨基督教会)でした。


2日(金)午後7時 聖金曜日夕の礼拝(十字架の主に対する崇敬と賛美)

 ガランとした聖堂に、人間の背丈ほどの木の十字架を立てて礼拝しました。悲しく、重い礼拝です。三名参加。


3日(土)午後11時 聖土曜日・復活祭徹夜礼拝 イースター・ヴィジル

 古来よりイースターは深夜に祝われていました。最初、聖堂を暗くし、真新しい「復活のろうそく」だけに火を灯します。ろうそくが聖堂内を行進し、その途中で、会衆のろうそくに火を分け合います。イエス様の復活を祝う、キャンドルサービスです。クリスマスとは、また違う美しさと喜びがあります。「ハレルヤ、キリストは本当によみがえられた」と高らかに唱え、最初のイースター礼拝を祝いました。12名参加。


4日(日)復活日 午前4時30分 ジュニアチャーチ 大文字山早天礼拝

 午前4時半に教会出発。ジュニアチャーチを中心に山上で朝の礼拝をしました。


4日(日)復活日 午前7時 早朝聖餐式

4日(日)復活日 午前8時 英語聖餐式

 昨年も来られた海外からのご家族が、礼拝に参加されました。5名参加。


4日(日)復活日 10時45分 主要聖餐式

 132名の方々と共に、ご復活を祝いました。聖歌隊の素晴らしい歌声と、ハンドベル・クワイヤーの素晴らしい演奏が、礼拝に花を添えていました。礼拝後の祝会も、楽しいゲームで盛り上がりました。持ち寄りの昼食会は、どれもこれもおいしく、皆さんが「もてなしの心」でご用意下さいました。品数も十分で、本当に感謝でした。


 今年の聖週の礼拝で、特記すべき事は、新しい礼拝奉仕者が生まれたことです。聖木曜日の礼拝では、小学六年生の續木明佳さんが、サーバーをしてくれました。復活日の礼拝では、高校一年生の吉村和馬君が、十字架捧持をしてくれました。二人とも一生懸命奉仕してくれました。本当に感謝です。フレッシュな奉仕者が、これからも生まれますように、そしてその事によって教会の信仰が新たにされるように、心から願います。


聖マリア幼稚園コーナー

『2010年度の始まり』

 この春の天変地異に不安を覚えながらも、予想以上に長く咲き続けた桜花の下、8日に始園式・9日に入園式を終えました。今年度は、花組19名(うち四名が進級児)・赤組21名(うち1名入園)・緑組28名(うち1名転入)と68名の子ども達との新しい日々が始まりました。「おかあさんのところにいく〜」「おうちにかえる〜」と、涙と共に愛おしい姿を見せていた入園の子ども達も、時間の経過と共に、安心出来る人と出会い、楽しいと思える居場所を見つけ、次第に落ち着き始めました。そして、その子ども達の様子を見ながら、ふと先月を振り返ると、三年後のこの子ども達の姿がそこにはあります。何も心配する事はない!毎年、子どもの成長の素晴らしさにどれほど感動を与えられるのかと思うと、今、目の前にいる68人のこれからの成長の日々に思いを馳せるのです。今年度は、希望-愛の中を生きるーという主題のもと、各月の主題やねらいが定められ、当園の子ども達の環境、育ち、保護者の方々等に合わせながら、保育内容が展開されて行きます。この主題は、キリスト教保育連盟によるキリスト教保育を基にしていますが、あくまでも参考。内容の進め方は、それぞれの園の環境に合わせて変更されます。しかしそこには神様の存在があり、守り、導きがあるということを心に留めることが何より大切なのです。初めて神様に出会う子ども達が、小さな手を合わせ、目をつむっても大丈夫と安心出来る祈り、目に見えない神様とお話をすることへと日々の保育が繋がって行きます。私たちは、神様を信じ、人々を信じる日々を過ごしたいのです。今の間にこそ、目先にとらわれず、目に見えないものを信じ、先にあるものを見据えて、子ども達の内面にあるものに接して行きたいと考えています。68人の子ども達には六八通りの育ちがあります。だから私たちは、子どもたちの側に立ってその場その場での、保育内容を真剣に考えなければなりません。先生の思いのみで発信しないように。特に新学期のこの時期は。そして、初めての経験、同じ経験でも昨年とは違う体験に通じるように。次第に自信となって行くように。年長を見ながらの憧れにも変えていけるように。先日、塾に通っている年長の子どもが、グループ別行動の中で、一人ずつの発表があり、その中で「今、どんな事をしていますか」との質問をされたそうです。他の子は「なわとび」や「とびばこ」等と頑張っている姿を答えたそうですが、うちの子は「小さい人のお世話をしています。」と答え、どよめきが起り、先生も「それは良い事をしていますね」と言われたとか。私は感激しました。今、年長児は緊張の中、懸命に新入の子ども達のお世話をしています。入園児も手を預ける迄なりました。これは、聖マリア幼稚園の大切な事の一つです。自分がしてもらったから出来ることなのです。親の愛情も同じ、神様の愛はそれ以上、そこには見えないけれども、いつも守られている「愛」があるのでしょうね。教会の皆様には、今年一年もお見守りお導き、お祈り下さいます様どうぞ宜しくお願い致します。
(園長 ルデア 菅原さと子)


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