月報「コイノニア」
2011年9月号 No.337


《聖書を飛び出したイエス様・その34》
   ずっと見ているよ。

映画『うさぎドロップ』から

司祭 ミカエル 藤原健久

 主があなたを祝福し、あなたを守られるように。主が御顔を向けてあなたを照らし、あなたに恵みを与えられるように。主が御顔をあなたに向けて、あなたに平安を賜るように。            (民数記6・24-26)

 くわぁー、覚悟はしていたはずですが、始まった途端にどわっと涙を流してしまいました。子どもを授かってから、小さな子どもが出てくる作品には、めっぽう涙もろくなりました。特別に悲しい場面や感動的な場面でなくてもいいのです。それよりか、ごく日常の小さな場面で涙が出てしまうのです。何に泣けてくるのかと言えば、やはり「愛」です。大人が子どもを心から思いやっている行動や、子どもが誰かを信じ、頼っている仕草は、それがほんの小さい、さりげない動きであっても、感動してしまいます。
 漫画が原作の作品です。独身の平凡な男性サラリーマンである主人公が、ひょんなことから六歳の女の子と一緒に生活することになります。男性が一人で子育てをすることの大変さなども表現されていますが、何よりも中心は、主人公と女の子との愛の交わりです。最初、ぎこちなかった共同生活が、徐々に馴染んでいくところは、見ていて感動的です。主人公が子どものために苦労すればするほど、子どもは主人公を信頼してゆきます。印象的なのは、保育所への通園の場面です。満員電車の中で主人公は子どもを抱っこし、遅刻しそうだから、抱っこしたまま全力で保育園まで走ります。まさに子どものために走り回っています。そんな主人公に、子どもはぎゅっとしがみつきます。それは、落ちないためだけでなく、信頼を表しているのでしょう。
 主人公は子どもにべたべたと過保護にするのではなく、それでも、子どもをしっかりと愛してゆきます。それを存分に表現しているのが「目」です。主人公を演じる松山ケンイチの大きな目は、いつも子どもを見つめています。それが本当に優しそうに、嬉しそうに見つめているのです。
 聖書の中で、祝福を表す表現の中で、神様が「顔を向ける」というものがあります。神様が私たちに顔を向け、私たちの方を見ていてくれることこそが、最高の祝福であるということを説明しているのでしょう。大人が子どもを見つめるのは、子どもへの祝福なのかも知れません。大人が、子どもにしてやれることは、子どもの成長と共に、段々減ってくるのかも知れません。大人が子どもにしてやれる、大切なことは、子どもへの祝福なのでしょう。子どもを見つめ、子どものために祈り、子どもの歩む道を祝福することは、いつまでもできるように思います。
 それにしても、大人が子どもから学ぶことは、何て多いことでしょう。映画の中で主人公が、「親は強いと思っていたが、子どもを持つと弱くなる」と言っていました。確かにそうです。子どもを心から愛するが故に、弱くなることが、沢山あります。子どもによって大人は、自分の弱さを知り、謙虚さを学び、助け合うことの必要を知り、愛し合うことの深さを知るのです。子どもに、本当に感謝です。


敬老の集い開催!

 去る9月11日、『敬老の集い』が行われました。聖餐式中には恒例[シルバー聖歌隊]がご奉仕がして下さいました。礼拝後、二四名の(七五歳以上の!)方々を前に、ちらし寿司、婦人会お手製のおすましとデザートを戴きました。吉川まゆみ姉の司会で、「実は私・・・」のカミングアウトのコーナー(?)があったり、みんなで歌をうたったり・・・と、楽しいひと時を過ごす事が出来ました。

当教会員のうち満七五歳以上で
お祝いされた方は次の通りです。
         (敬称略)

塩見英子、山本進、中堀妙子、上野久子、望月満子、古和菊子、鎌田梅子、浅井みよ、松本時子、山岡和子、椹木信子、木元民、片岡霊恵、佐々木功、宗像康雄、石田阿以子、大岡みゆき、西岡正之、青木節子、古館典子、上阪京子、林悦子、宗像和子、安田文子、速水純子、山岡景一郎、續木智子、邨田志津子、中井康雄、佐々木富美子、久保田栄三、速水惠子、増井登喜子、新實康男、宇野祐次、星野謙、中井弘子、山元智子、谷嘉明、西山静夫、立石昭三、浦地恭子、樋本恵子、立石恭子、長谷川郁子、津田富子、新實正枝、山岡怜子、西山佐英子、橘高アヤ子、竺沙光子


東日本大震災被災者支援 京都教区・第2期募金のお願い

2011年9月1日
京都教区教役者・信徒の皆様

京都教区 主教 ステパノ高地 敬
東日本大震災対策室長 司祭 ミカエル藤原健久

 東日本大震災と原子力発電所の事故によって被災された多くの方々や悲しみの内にある方々を覚え、神様のお守りをお祈りいたします。
大震災から早や半年が過ぎようとしています。この間、広大な地域での被害とその深刻さが報道されるたびに心を痛める毎日でありました。京都教区では震災直後から皆様の尊い献金をお預かりし、それを用いて被災者支援のために様々な活動を行ってまいりました。主に支援物資の購入運搬や仙台への現地担当者の派遣を行い、わずかではありますが東北教区の支援活動を支えることができました。誠にありがとうございます。また、管区の財政的支援のもとに京阪神3教区共同で日立ボランティアセンターの活動を6月末まで行い、京都教区からも延べ24名の方が参加してくださいました。
さて、京阪神3教区では、8月から来年6月末まで福島県いわき市の小名浜聖テモテ教会を拠点に聖テモテ・ボランティアセンターを新たに設置し、第2期の活動を行うこととなりました。つきましては、これまで教区にご送金いただきました献金を「第1期募金」とし、9月から新たに「第2期募金」を始めさせていただきます。用途は以下の通りです。この趣旨をご理解いただきまして、ご協力を何卒よろしくお願いいたします。

                 記

期  間:2011年9月1日より2012年6月30日まで。
目標金額:300万円
用  途
(1)聖テモテ・ボランティアセンター(福島県いわき市小名浜地区)への
   ボランティア派遣のための交通費   40,000(円/人)×5(人/月)×10(月)=2,000,000(円)
(2)その他の地域へのボランティア派遣のための交通費
     50,000(円/人)×1(人/月)×10(月)=500,000(円)
(3)その他の支援活動のため                   300,000(円)
(4)物資購入、事務費、その他           200,000(円)


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