月報「コイノニア」
2011年11月号 No.339


《聖書を飛び出したイエス様・その36》
   幸せは積み上げて行くもの

ローラ・インガルス・ワイルダー著『大草原の小さな家』から

司祭 ミカエル 藤原健久

 あなたがたの父は、願う前から、あなたがたに必要なものをご存じなのだ。          (マタイ六・八)

 今から100年以上前のアメリカの姿を、活き活きと伝えてくれる小説です。1970年代からテレビドラマ化され、九年間にわたって放送されました。日本でも大人気で、私の妻も、毎週土曜日に見ていたと言います。最近ではDVD付きの雑誌も刊行されました。美しい風景とテーマ曲が、大変印象的です。
 題名の通り、人家もまばらな大草原で、殆ど自給自足に近い状態で生活する家族の姿が描かれています。畑仕事や狩りに精を出すお父さんは、丸太の家から何から、すべて自分の手で造り上げる、真に力強く頼もしい存在です。お母さんは、パンやバターを作り、料理を用意し、家族の世話をし、そして、娘たちを、「レディー」として厳しくしつける、とても優しく時に厳しい存在です。賢い姉、元気な自分、そして可愛らしい妹。家族が互いに信頼し合い、支え合って、日々を過ごします。困難なときもありますが、いつも笑顔とユーモアと、そしてお父さんの弾くヴァイオリンの調べに合わせた歌や踊りの絶えない家族です。彼らの姿に、多くの人々が心温められたことでしょう。
 作者のローラは、平凡な農場の主婦でしたが、四〇歳を越してから、周囲に勧められて、自叙伝的な本作を描き始めました。その文章は、素朴ですがとても活き活きとしており、どれほど素敵な少女時代を送ったのかが、伝わってきます。「ローラは幸せな気分で一杯でした。風は、草の間で、低くサワサワ歌っています。バッタやキリギリスのギシギシいう鳴き声が、この広い広い大草原の四方八方からわき立つように聞こえてきます。…けれど、こうした音はみんな、大きくて、暖かくて、幸せな静けさを感じさせるのです。(六四頁)」
 他方、自然災害や、先住民族の人々との確執や争い、「侵入」してきた「開拓者」からの、先住民族に対する醜い差別意識や暴力による抑圧もありました。主人公には十分に理解できない厳しい現実があったことも事実です。
 けれども幼い少女にとっては、大好きな家族と、穏やかな毎日があれば、それで十分幸せなのでした。電気や自動車、水道やテレビが無くても、素朴な料理が何よりのごちそうで、身の回りのものはすべて最高のおもちゃなのでした。
 彼らの姿を見ていると、幸せな生活に必要なものって何なんだろうな、と思います。私たちは、モノがたくさん無いと不安に思います。けれども私たちにとって本当に必要なものは、実は私たちが思っているよりも多くないのではないでしょうか。
 私たちは、先に幸せの「ゴール」を決めてしまって、それに向かって走ろうとしているのかも知れません。けれども本当の幸せは、小さな出来事を積み上げていくことで造り上げられていくのではないでしょうか。幸せは、誰かによって上から評価されて決定されるものではなく、一人一人が自分の足元から積み上げて行くものなのだと思います。
 神様は、すべてのものを「良い」ものとして創って下さいました。今日も神様は私たちに、必要なものを備えてくださいます。幸せな日々を感謝したいと思います。


大阪教区・川口基督教会で野外礼拝!

 今年は吉村野外礼拝委員長さんの企画で、11月20日(日)大阪教区川口基督教会での野外礼拝をおこないました。参加人数が少々少なく、心配でしたが川口教会のご出身であられる続木智子さんはじめ総勢22名の参加で、大型バスにゆったりと座って午前8時30分に出発しました。
 到着すると、内田司祭はじめ多くのアッシャーのお迎えを受け礼拝堂に案内いただきました。素晴らしいパイプオルガンが目に入りました。東京主教座聖堂の教会で拝見しましたのと一緒のパイプオルガンでしょうか。この川口は川口居留地として外国人の商人、宣教師達の生活の場でした、ウイリアムズ師は、最初の宣教師として居住、多くのキリスト教学校の開校した場所で、平安女学院もこの地で産声を上げたという地でした。(照暗女学校)
 この日はこども祝福式で、マリア教会のこども達も参加させていただきました。また、収穫感謝の祈りもあり、献げられた果物等は家のない人を支援されています三光塾(ボランティアグループ)へ奉げておられます。説教では藤原司祭が今日のこども祝福式に因み、お話されました。内田司祭とは東京用賀にあります神学校時代の先輩、後輩の間柄とのこと。お昼の食事ではカレーライス、サラダ、ケーキ付の接待を受け、信徒様と交流のひと時を持たせていただきました。内田司祭、奥様、信徒様ありがとうございました。
 お食事いただいた後、レクレーションは1970年開園された万博会場へ。信徒でした江口一久様勉学の地でした国立民族博物館と日本庭園を見学しました。民博では世界各国の生活、衣装、楽器、宗教等学びました。庭園ではお茶室洞庵(はんあん)でお菓子、お薄をいただき、一時癒されました。お隣のお茶席、万里庵の額には表千家、裏千家二人の家元で書かれてた茶室名の額が、掛けてありました。お庭は、シシオドシ、水琴窟(すいきんくつ)の音の響き、またヤマモミジの紅葉、ヤブツバキの真っ赤な花の色、小さな庭ですが、素晴らしい景色を造っています。
 広場にはバラ園が私達を迎えてくれました。岡本太郎作太陽の塔を後にし、バスの中で「名探偵コナン」のビデオを見ながらマリア教会に無事戻ってまいりました。ありがとうございました。(野外礼拝実行委員・田中泰之)


ボーイスカウト京都第二四団 新入隊員募集中!

 京都で24番目にできたこの二四団はマリア教会を母体に京都でも大変活発な団として活動し、来年は60周年を迎えます。ご存じのように、ボーイスカウト活動の創始者は聖公会の司祭の子息であったBP卿であり、聖公会とは切っても切れないご縁です。該当年齢の方、ご紹介ください。

募集対象

ビーバー隊:幼稚園年長組9月〜小学校2年生
カ ブ 隊:小学校2年生9月〜小学校5年生
ボーイ隊:小学校5年生9月〜中学校2年生


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