月報「コイノニア」
1999年5月号 No.189


「わたしはある」という方

牧師 司祭 イザヤ 浦 地 洪 一

モーセは神に尋ねた。「わたしは、今、イスラエルの人々のところへ参ります。彼らに、『あなたたちの先祖の神が、わたしをここに遣わされたのです』と言えば、彼らは、『その名は一体何か』と問うにちがいありません。彼らに何と答えるべきでしょうか。」
神はモーセに、「わたしはある。わたしはあるという者だ」と言われ、また、「イスラエルの人々にこう言うがよい。『わたしはある』という方がわたしをあなたたちに遣わされたのだと。」 (出エジプト記3ノ14、15)

 モーセは、羊飼いとして平凡な毎日を過ごしていました。ホレブ山に羊を追って行ったとき、そこで、彼は不思議な宗教体験をしました。燃えているのに燃え尽きない柴を見つけ、近づくとそこから神の声が聞こえました。そこでモーセは、「エジプトの地で、奴隷のようにこき使われ、苦しみ叫んでいるイスラエルの民をエジプトから連れ出し、カナンの地へ導き出せ」と命じられました。
 モーセは、「わたしがどうしてそんなことをしなければならないのですか」と抵抗しましたが、「わたしはあなたと共にいる」と、神は強引にモーセをエジプトに行かせようとされます。モーセはさらに、イスラエルの人たちに、「あなたを遣わした神の名は何と言うのか」と問われるとどのように答えたらよいのですかと尋ねると、神は、「わたしはある。わたしはあるという者だ」と言われ、また、「わたしはある」という方がわたしをあなたたちに遣わされたのだと言えと教えました。
 神は、ここで自己紹介をしておられます。「わたしは、あなたたちの先祖の神、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である主である」という自己紹介と共に、「わたしはある」という神だと言われます。
 聖書の神の名ヤハウェの動詞から「ある、いる」と関連づけられていると言われています。名前は、その本質を表していると言いわれます。神の本質は「ある」という方だと主張しています。神は、すべてのものを造り、すべてのものを存在させる根源です。神は私たちの目に見える範囲のものだけをお造りなったのではなく、宇宙の存在の根源です。
 現在の私たちは、いつも「何かをしなければならない」と思っています。良
いことをしなければ、役に立つことをしなければ、効率をあげなければと、いつも何かに追われているような気持ちで生活をしています。行動するとか行為をするということが大きく評価され、何もしないでただそこに存在するだけだと評価されないという傾向があります。「神は、生きて働く」神でもありますが、その前に、「ある、いる」「あなたと共にいる」という方です。私たちも、神の被造物として、神によって存在させられ、「ここに置かれている」ことに意味を見いだしたいと思います。


祝 ご復活

 4月4日(日)イースター。聖マリア教会のイースターは朝4時30分にスタートします。ジュニアチャーチの中高生たちとスタッフが集まり一路大文字山へ。教会から哲学の道の満開の桜を見ながら銀閣寺道を通って大文字登山。大の字のてっぺんで朝の礼拝を献げました。
 午前7時からの早朝聖餐式、午前8時からの英語聖餐式ののち、午前10時45分より幼稚園ホールにおいて、イースター礼拝が行われました。
 今年12月には待ちに待った新礼拝堂が完成するため、この形での幼稚園ホールでの大礼拝はこれが最後ということで、心なしか聖歌隊の歌声も、希望に満ちた響きで、たくさんの会衆と共にご復活をお祝いする礼拝を気持ちよく献げました。
 礼拝後、記念写真を撮影し、教会会館において祝会が行われました。祝会の司会は続木創兄。マリア名物の持ち寄りのごちそうに舌鼓を打ちながら楽しく時を過ごしました。
 帰りには、前日日曜学校の子供たちを中心に婦人会の方々と作ったイースターエッグをいただいて家路につきました。


日曜学校
野外礼拝のための
巣箱づくりに挑戦!

 5月9日(日)の野外礼拝に備えて、日曜学校では4月25日と5月2日の二回の主日を使って、芦生に住む野鳥のための巣箱づくりに挑戦しています。
 これは日曜学校のスタッフたちが教師会で出た意見を元に、日本野鳥の会のメンバーの方に連絡をとり、ご指導を賜り、このたび実現の運びとなりました。なれない大工仕事にかなづちで指を挟んだ子もいましたが、何とか当日に間に合う目途をつけました。
 野外礼拝当日は日本野鳥の会員の方々も芦生までご同行いただき、礼拝後設置する予定です。


聖マリア教会新礼拝堂
建築起工式を挙行

1999年4月25日(日)午後2時

施工業者はコーナン建設株式会社に決定!

 4月25日(日)午後2時より、礼拝堂建設用地にて建築起工式が執り行われました。武藤六治京都教区主教の司式、浦地司祭補式のもと、水の聖別から始まり、聖歌、聖書朗読ののち、詩篇132、48編を唱えながら主教様に聖水をふりかけていただき、建築用地の四周を祝福していただきました。
 武藤主教様、谷建築実行委員長、一粒社ヴォーリズ建築事務所石田所長、コーナン建設鈴木支店長の順にシャベルを使って土を掘り、工事を始めるしるしとしました。
 このたび施工をお願いする事になったコーナン建設には今回の私たちの礼拝堂建築に大変な協力をいただき、見積もりに際しても感動的な数字を出していただき、その意欲を示していただいています。必ずいいものができあがることと確信しています。

(株)一粒社ヴォーリズ建築事務所
代表取締役所長 石田忠範氏

コーナン建設(株)阪神支店
取締役支店長 鈴木正人氏

 礼拝堂建築実行委員会および教会委員会は、礼拝堂建築について次のように作業を進めてきています。
○ヴォーリズ建築事務所では、3月に入って建築実行委員会と協議を重ねながら実施設計図面の作成、官庁への提出書類の作成および提出を進めてきました。委員会では建築業者の選考のために資料を集め、検討を続けてきました。建築業者については、推薦を受けたり、申し出でを受けた業者の中から、(株)竹中工務店、豊国建設(株)、(株)藤木工務店、西松建設(株)、コーナン建設(株)の五社を選びました。
○3月30日 (火)午後1時30分から、教会会館に五社を招いて、実施設計図面を渡し、4月13日(火)正午までに、見積書を提出して頂くよう依頼しました。
○4月13日、五社から見積書(各2部づつ)が提出され、これをヴォーリズ建築事務所と建築実行委員がその内容をそれぞれ分析検討しました。
○4月16日(金)夕開かれた建築実行委員会において、専門家の意見を聞きながら、5社の内から一社を選ぶ協議を行いました。見積り価格、会社の営業状況、過去の建築実績、建築後の責任の持ち方など、いろいろな面から検討した結果、コーナン建設株式会社阪神支店に依頼することに決定しました。
○コーナン建設は、大阪市内に本社があり、阪神間に支店を持っています。教会建築の経験もあり、ヴォーリズ建築事務所の設計による工事も行った経験があります。
○教会の建築資金の状態を考慮し、設計事務所が調整しながら、さらに交渉を続け、近く正式契約を行うことになります。
○具体的な工事は五月初めから始まり、12月初めには竣工の予定です。


神学生ご紹介

飯野正行神学生

今年度、当教会において、土曜日と日曜日、実習勤務されるウイリアムス神学館の神学生フランシスコ飯野正行さんをご紹介します。飯野神学生は、北海道教区新札幌聖ニコラス教会出身。北海道聖書学院を卒業。日本自由福音教団の夕張、岩見沢の教会で七年間牧師として勤務。1997年4月、聖公会に転会されました。札幌に保育園の先生をしておられる奥さんと中1、小4のお嬢さんがおられます。42歳。神学館では、一年間学ばれます。


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