月報「コイノニア」
1999年6月号 No.190


「あなたは、どこにいるのか」

牧師 司祭 イザヤ 浦 地 洪 一

その日、風の吹くころ、主なる神が園の中を歩く音が聞こえてきた。アダムと女が、主なる神の顔を避けて、園の木の間に隠れると、主なる神はアダムを呼ばれた。「どこにいるのか。」彼は答えた。「あなたの足音が園の中に聞こえたので、恐ろしくなり、隠れております。わたしは裸ですから。」神は言われた。「お前が裸であることを誰が告げたのか。取って食べるなと命じた木から食べたのか。」アダムは答えた。「あなたがわたしと共にいるようにしてくださった女が、木から取って与えたので、食べました。」主なる神は女に向かって言われた。「何ということをしたのか。」女は答えた。「蛇がだましたので、食べてしまいました。」 (創世記3ノ8―13)

 エバは、蛇に「決して死ぬことはない。それを食べると、目が開け、神のように善悪を知るものとなることを神はご存じなのです」と言われて、誘惑に負け、食べてはならないの木の実を食べてしまいました。そして、エバはアダムを誘い、同じように禁断の木の実を食べさせました。
 その結果、二人に変化が起こりました。先ず第一に、二人の目は開けて、自分たちが裸であることを知り、二人はいちじくの葉をつづり合わせて、腰を覆いました。そして、次に、神の前に裸であることができず、木の間に隠れました。
 この、アダムとエバの物語は、実は、私たち自身のことを言っているのだということに気づきます。
 これは、神に背いた結果、先ず第一に、そこには人間同志が裸でいることが出来なくなった姿があります。人と人とが、心からほんとうの裸になることが出来なくなってしまったのです。人は常に、自分の弱さや醜さを隠そうとし、心に鎧をつけ、壁をめぐらし、虚栄と強がりで身を固めよう必死になっています。人間相互の不信感は、第一に神の命令に背き、誘惑に身を任せ続けている原因に由来する結果だと言うのです。
 そして、神からも顔を背けます。神に会いたくない。神から隠れる。神の存在を認めたくない。しかし、神は厳しく追及する神です。「どこにいるのか?」と。その言葉は、単に居る場所を聞いている言葉ですが、それは、あなたの拠って立つ所、何をしているのか、それで良いのかと聞いてきます。どこに隠れても、私たちはこれに応えなければならないのです。「人間とは何か」という命題に対して、「人間とは問われるもの」と定義した哲学者がいます。「応答する」という言葉を英語で、レスポンスresponseと言います。この言葉に「できること」アビリティabilityを付けると、レスポンシビリティresponsibilityとなります。これは責任という言葉になります。「応答し得る」。私たちが生きるということは、神の「どこにいるのか」という問いかけに応えるということです。神の問いに応える方法は、口先で調子よく応える答えでは通用しません。生きざま、生きていくこと自体で応えていくのです。 私たちは、神に応答する責任があります。応答することが神への責任を果たすことです。
 しかし、アダムは、「あなたがわたしと共にいるようにしてくださった女が、木から取って与えたので、食べました」と、責任をエバに転嫁しました。そして、エバは、「蛇がだましたので、食べてしまいました」と、蛇のせいにしました。いつも言い訳を考え、人のせい、親のせい、社会のせいにして、自分の罪を認めようとしない、私たちの姿が、ここにあります。


ついに礼拝堂建築工事開始

礼拝堂建築の動き
○去る5月12日、教会の会館事務所において、コーナン建設株式会社との間で、工事請負契約書に調印しました。
工期/1999年4月25日着手、同年11月30日完成引渡。
請負代金/1億4910万円、うち工事価格 1億4200万円、消費税710万円。
請負代金の支払い/第1回支払 1491万円(契約時)、第2回支払 4473万円(躯体工事完了時)、第3回支払 5964万円(竣工引渡時)、第4回支払 2982万円(竣工後二ケ月)という内容になっています。
○4月12日、ヴォーリズ建築事務所から京都市に、建築基準法に伴う確認申請書が提出されていましたが、5月13日付、関係規定に適合している旨、承認の通知を受けました。
○工事は、原則的に朝8時から5時まで。後片づけ等のため六時を過ぎることもあります。また、日曜日は休みます。会館の南側に建築現場事務所(二階建)を設置し、敷地の北東角に工事車両用仮駐車場(二台)を設置します。
 コーナン建設の常駐現場責任者は、山本正人さんと西村徹也さんが担当されます。なお、ヴォーリズ建築事務所の担当者檜山元一郎さんは横浜へ転勤となり、石若義雄さんが引き続き担当されます。
○5月17日(月)、コーナン建設株式会社に契約時第1回支払分として1491万円を支払いました。
○5月21日(金)、京都市の許可を受け丸太町通歩道の街路樹撤去作業。ボーイスカウト用物置の物品移動、うさぎ小屋・物置の移動、幼稚園のプールの移動、仮囲い用資材の搬入が行われました。
○5月22日(土)、丸太町通り歩道に重機乗入れのため敷鉄板敷設。幼稚園園庭側仮囲い設置。
○5月24日(月)、電気、電話、火災報知器回線のやり替え作業。
○5月25日から、渡り廊下、旧礼拝堂玄関の取り壊し、ベストリー、会館入口、二階押入部分の養生の工事が始まり、29日には、丸太町通の塀と門の取り壊しが行われました。礼拝は、幼稚園ホールで行い、礼拝後の昼食は従来通り会館集会室でいたしますので、礼拝後は園庭から一度外に出て、会館にお出でください。
○会館南側にあったボーイスカウトのプレハブ物置を取り壊し、幼稚園屋上に新しい物置を設置しました。(工事完了後、もとの位置に移設。)
○下水配管の関係で、幼稚園の一階園児用トイレが当分の間、使えなくなります。園庭に仮設トイレが設置されています。おとなも使えます。
○聖マリア幼稚園の保護者の方から要望がありましたので、5月31日(金)午後7時30分から、会館集会室において、建築工事の安全対策について、保護者への説明会が行われます。
○6月4日午前、新礼拝堂の納骨堂について協議のため、ヴォーリズ建築事務所の担当者と牧師は、京都市環境保健局生活衛生課に出向きます。
○6月3日(木)午前9時から、新礼拝堂の位置決め(縄張り)が行われます。6月4日(金)には、試験杭の打ち込みが行われます。
○礼拝堂建築実行委員会では今後、毎月第1金曜日、午後7時30分から、ヴォーリズ建築事務所、コーナン建設のそれぞれの担当者と三者で懇談会を持つことにしました。
 さらに委員会では、新礼拝堂の各部屋の備品等の詳細についての検討作業を行います。

再び皆さまの
   熱い献金をお願いします

礼拝堂建築実行委員会
委員長 谷 嘉明

 私たちが愛して止まなかった懐かしい礼拝堂が取り壊されてまもなく三年が経過しようとしております。私たちは新しい礼拝堂を建築しようと誓い合って献堂に向かって募金活動を開始しましたが、教会員の皆さんの心からなる献金が続々と献げられ、私たちの夢の実現に向かって大きく一歩近づきました。また、他教会の信仰のお仲間や、私たちに連なる友人の皆さまから実に多くの尊い献金をお寄せくださっていることは、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
 どのような礼拝堂であるべきかについては、これまでに数え切れないほどの話し合いが持たれ、その結果、設計は一粒社ヴォーリズ設計事務所が担当することになり、ヴォーリズ事務所を交えての協議を重ね、納骨堂などの一部を除いては実施設計図面がまとまりました。次いで、施工業者の選定に移り、教会建築に経験のある業者の中からまず五社を絞り、見積書の提出を依頼しました。見積もり合わせの結果、コーナン建設(株)が第二位を1000万円以上の差をつけて第一位となりました。その見積もりは細部に至るまで積算がなされており、しかもそれぞれの単価が非常に低く抑えられており、「聖マリア教会の礼拝堂は是非我々の手で建てたい」という意気込みと熱意が溢れており、建築実行委員会では全員がコーナン建設に建築を依頼することに賛同いたしました。
 こうして施工業者は決まりましたが、私たちが当初考えておりました建築予算より、約1800万円ほど超過していました。そこで設計上、省略できるものや、単価の安いものへの変更など、かなりの点で変更した結果、1000万円近くは削減することはできました。しかしまだ880万円が超過しており、再考の末、ステンドガラスをダルステンドガラスに変更したり、外部御影石を石状吹き付けタイルに変更したり、外部植栽を別見積もりとして外したりして予算を絞り込みました。しかし、エレベーターの中止やトップライトの短縮や空調設備など、これまで充分に議論し、結論を得てきたものを取りやめるわけにはいかないと考えました。また、礼拝堂正面チャンセルの考え方などヴォーリズ設計事務所のコンセプトの根幹をなすものについてはヴォーリズの考え方を尊重すべきとも考え、議論を詰めた結果、建築費は1億4300万円まで絞り込まれました。この段階でコーナン建設に更に一層の無理をお願いして100万円の再度の出精値引きをしていただき、結局1億4200万円となりました。建築実行委員会ではもうこれ以上の削減は無理と判断し、当初予算より200万円超過の1億4200万円とすることに決定しました。
 先日、起工式も無事に終わり、いよいよ新しい礼拝堂が現実のものとしてさらに一歩近づいた現在、教会員の皆さまには今一層の熱い想いの込められた献金をお捧げいただくよう心からお願いするものであります。そして、募金活動の輪をもう一度力強く外へも向かって拡げようではありませんか。


新たに
外部献金にご協力
 いただいた方々

(3月25日〜5月20日扱い分)

(敬称略)
瀧津、天野信雄、辛木弘江、山下二美、星野香織、福田富士子、加藤富美子、藤田真依・早紀、八王子復活教会、細木春世、伊藤俊二、西埜誠、中根夏雄、長尾恵美子、豊田治、廣川能嗣


おりおりの献金

(5月2日〜23日)

逝去者記念
上羽邦夫(たつえ)、速水佳子(富子、経清)、佐々木功(キタ)
誕生日感謝 
野本富久栄、佐々木まゆみ
感謝献金
吉村伸(自動車祝福式)、速水佳子(納骨堂)、岡崎入江町町内会(会館使用感謝)


ご存じですか

自動車祝福式

皆さん!自動車祝福式って知ってますか?「新車を買ったら、成田不動尊のお守り」というのが、日本人一般の常識となっているようです。しかし「我々クリスチャンにはちょっと!?」と、敬遠していたあなた!あるのです。「自動車祝福式」。
5月2日(日)午後四時、このたび新車を購入されたYさんの自動車の安全を祈って浦地司祭司式、飯野神学生補式のもと、挙行されました。
式文に従い詩篇を唱えながら、聖別された水を用いて自動車の周りを清めました。
新車ご購入の折りにはご遠慮なくお申し出ください。


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