月報「コイノニア」
1999年8月号 No.192


君し踏みてば 玉と拾はむ

牧師 司祭 イザヤ 浦 地 洪 一

信濃なる 千曲の川の 細石も
  君し踏みてば 玉と拾はむ

 これは万葉集の中の歌です。(巻十四ノ三四〇〇) 
「信濃なる」で、信州の山々が映ってきます。その千曲川のほとり、小さな石が散らばっている河原です。その小さな石をじっと見つめ、小石の一つを拾い上げて胸元でしっかり握りしめている乙女の姿が浮かんできます。彼がこの小石を踏んで行ったかも知れない。きっと踏んだにちがいない。もしそうだとすれば、この小石は「玉」だわ、「ダイヤモンド」だわと、じっと抱きしめています。愛するあの人が少しでも触れた石であれば、もうただの石ではない。命そのものだわと彼のことを想っているのです。
 犬養孝著「万葉の人びと」(新潮文庫)の中からこの歌を見つけたとき、私は「サクラメント」という言葉を思い出しました。
 サクラメントという言葉は、日本聖公会祈祷書では「聖奠」と訳されています。カトリックでは「秘跡」、プロテスタントの教会では「聖礼典」、ハリストス教会では「機密」と訳されています。サクラメントの意味を説明するのは難しいのですが、祈祷書の二六二頁、教会問答の第十四には次のように記されています。
 「問 救いに必要な聖奠とは何ですか」
 「答 目に見えない霊の恵みの、目に見えるしるしまた保証であり、その恵みを受ける方法として定められています。」  
 この文章は何回読み返しても意味がよくわかりません。
 実はこういう意味です。神さまの恵みとか愛とか聖霊の働きとかは、わたしたちの目には見えません。しかし、目に見える「物」を通して、その目に見えない神の恵みや愛や聖霊の働きをしっかりと受け取る方法が与えられているのですよと言っています。その物こそが、恵みや愛や聖霊の働きのしるしであり、恵みや愛や聖霊を受けているということのしっかりとした保証であり、イエスさまが、わたしたちが恵みや愛や聖霊を受けるために、定めてくださった方法なのですよということです。
 そして、もっと具体的に、サクラメントとは「洗礼」と「聖餐」のことをいいます。
 洗礼は、水という物を通して、聖霊を受け、聖霊の働きによって新しく生まれかわります。聖餐の目に見えるしるしは、パンとぶどう酒です。これをいただくことによってキリストの体と血に与ります。キリストの体を食べる、キリストの血を飲むという行為によって、神さまが与えてくださっている恵み、愛そして聖霊の働きを、わたしたちが心と体の全体でしっかりと受け取るのです。神さまは、わたしたちに特別の恵みを与えてくださっている、これほど愛してくださっている、聖霊を注ぎ、助けてくださっているということを、わたしたちは確信することができるのです。
 もう一度、千曲川のほとりにたたずむ乙女に思いを戻しましょう。
 愛するあの方が踏んだかも知れない小石、それはダイヤモンドにまさる大事な大事なもの。胸元でしっかり握りしめる物を通して、彼の愛を感じ、彼への恋慕が無限に広がっているのです。
 わたしたちが受ける聖餐式のパンとぶどう酒は、彼が踏んだかも知れない石というような不確かなものではありません。
 「これはわたしの体ですよ、これはわたしの血ですよ、これを食べるたびに、これを飲むたびにわたしを記念しなさい」と、イエスさまが、わたしたちに直接与えてくださった目に見えるしるしなのです。これをいただく時、今、あの方がわたしと共にいてくださるということを確信する保証なのです。
 わたしたちは、千曲川のほとりにたたずむ乙女のような、熱い思いと恋慕する感性をもって、イエスさまを仰いでいるでしょうか。河原の小石よりももっと確かなパンとぶどう酒を胸もとにいだき、玉やダイヤモンドにも比べられないようなキリストの御体と御血をいただいていますのに。


一九九九年度上半期会計報告

一月に始まる教会年度も半年を過ぎ、上半期分の報告をさせていただきます。
上表に、一月から六月までの収支を掲載させていただきました。収入の部の表については、イースター・クリスマス・大斉克己献金といった時期の献金以外は予算対比を二倍して参考パーセントにしていただければよいかと思います。ご覧のように収入が予算を大きく下回っております。信徒の方には月約献金、教区分担金の滞りのないようにお願いいたします。また、感謝献金を折にふれお献げください。支出については、いまのところ予算対比を見ても抑えられてはいますが、建築工事に伴い、予想外の支出も出てくるかと思います。建築献金その他、大変でしょうがよろしくお願いいたします。


礼拝堂建築進捗状況

○基礎土台の鉄筋組み、型枠の設置の作業が行われました。7月7日には、基礎土台のコンクリートの流し込みが行われ、9日、型枠外し、10日、埋め戻し作業が行われました。
○聖マリア幼稚園では、礼拝堂建築に合わせて、この夏休み期間中に、園舎の改装工事を行います。保育室、遊戯室、職員室、廊下等室内の塗り替え、遊戯室(ホール)の床の張り替え、および園舎外壁の塗り替えを予算850万円(税別)で行われます。この工事に伴い、幼稚園ホールが使えなくなりますので、次の主日から8月末まで、主日の礼拝を会館集会室において行います。
○7月12日 (月)/埋め戻し作業、13日/埋設配管、14日/作業用タワークレーン設置、15日/一階部分柱および壁の鉄筋組方作業、16日〜17日/一階部分配筋および型枠組立てが行われました。
○7月19日(月)〜21日(水)/一階部分型枠建込みおよび二階スラブ貼り。22日(木)〜24日 (土)外部足場、ステージ組立、二階スラブ配筋、型枠建込み、鉄筋圧接、スリーブ入れ、スラブ配管。26日(月)から一階部分のコンクリート打設が始まりました。
○幼稚園が夏休みに入って、幼稚園園舎の改修工事が始まりました。一階天井、壁、階段等のケレン、付属物の撤去工事、ボード貼り、一階の天井、壁の塗装。外部足場の組立、外壁の洗い等の工事が進んでいます。
○8月16日は、幼稚園ホールの床張り替え工事に入りますので、幼稚園に入ることはできません。従って、今年は幼稚園屋上での「大文字送り火」の見学はできません。
○7月26日(月)一階部分のコンクリート打設が行われました。27日(火)〜31日(土)は、さらに上階の足場の設置、二階部分の鉄筋の圧接、鉄筋組、型枠の建込みが行われました。
○幼稚園園舎の改修工事の方は、一階天井、壁、の仕上げ塗装が行われました。

建築委員会の動き

○7月2日夜、ヴォーリズ建築事務所、コーナン建設、建築実行委員会の定例三者協議会が行われました。工事の進捗状況の報告を受け、今後の工程について説明を受け、細部について協議しました。
○7月4日行われた教会委員会において、工事がこのまま工程通り進めば、年が明けて1月10日(成人の日)に、礼拝堂聖別式・竣工感謝の会を行うことを決めました。ご予定ください。
○7月9日夜、礼拝堂建築実行委員会が行われ、建築資金会計の報告、前室部分の詳細、納骨堂等について協議しました。
○7月16日(金)夜、ヴォーリズ建築事務所の石若氏臨席の下、礼拝堂建築実行委員会が行われ、主に基礎部分の手直しの問題について話し合われました。
○7月23日午後7時30分から、会館集会室において、ヴォーリズ、コーナン、建築実行委員の三者協議会が行われました。現在行われている工事の小礼拝堂基礎部分他数ケ所に不手際と連絡不足が判明し、教会側から厳重に抗議し改善を求めました。ヴォーリズから所長が、コーナンから支店長が出席し、陳謝すると共に対処方法について報告され、今後の改善策について話し合われました。
○7月30日、午後7時30分から、二階集会室において、建築実行委員会が持たれました。礼拝堂建築代金の支払いの予定と資金繰りの問題および借入金について、また、納骨堂のデザインと募集の方法等について協議しました。


新たに外部献金に
ご協力いただいた方々

(6月25日〜7月20日扱い分)
(敬称略)樋口芙美子、青木正一、中野利治、BSマージャン有志、江川瞳、桜井昇、 村守道芳、岡田晃、上田弘敬、大野史子、清水満智子、二之部文雄、千葉敦子・晃・治、小川暢男・たかね、山本宗一朗、崇史麻梨子、茂木虎夫、小浜聖ルカ教会、森本光生、菅原一幸、後藤経子、後藤武近、坂口順治


感謝・記念献金

(7月1日〜7月31日)

逝去者記念
辻淳一(とめ)

誕生日感謝 
佐々木栄、森田朋宏、葉子、侑人

感謝献金
森田浩一朗、みどり(誕生感謝の祈り)、吉村伸、由理(出産)、浅井みよ(快気)

節目節目に感謝献金を献げることをお勧めします。
感謝献金袋は書棚ボックスのサイドにあります。


ニュースとお知らせ

=誕生=
吉村由理さん(吉村伸さん夫人)は、7月5日午後、種田産婦人科医院において、女児を出産されました。母子ともお元気です。おめでとうございます。その後「真綾(まあや)」ちゃんと命名されました。

=命名=
7月1日誕生された戸川正憲・晃子さん夫妻の赤ちゃんは、「悠真(ゆうま)」ちゃんと命名されました。

=誕生感謝の祈り=
7月4日、主日聖餐式に引き続いて、森田浩一朗さん・みどりさん夫妻としおりちゃんの「誕生感謝の祈り」が行われました。

=入院=
▽小谷春夫司祭は、体調を崩され7月7日から、京都市立病院に入院しておられます。
▽谷嘉明さんは、7月23日、岩倉の洛陽病院心臓病センターに入院されました。ともにお祈りください。

=帰宅=
白神芳子さんは、長く入院され、その後、ご息女の相馬順子さんのお宅で静養しておられましたが、去る22日、岡崎の自宅に帰られました。

=転籍=
ご本人の希望により、山本昌宏さん、靖子さん、彩さん御一家の教籍を、7月28日付で、聖アグネス教会に送付しました。

=夕の礼拝お休み=
土曜日の夕の礼拝は、8月末日までお休みにいたします。

=会館で主日礼拝=
幼稚園園舎の改修工事が始まりましたので、先週の主日から会館集会室において礼拝を行っています。礼拝後は、椅子を移動させてテーブルを出し、その場で昼食をいただきますので、ご協力ください。8月末までしばらく不便な礼拝生活になりますが、しばらくご辛抱ください。

=神学生実習一学期終わる=
ウイリアムス神学館神学生飯野正行さんは、7月4日で第一学期の実習が終わり、北海道教区へ帰られました。9月11日(土)から二学期の実習が始まります。

=会館集会室にエアコン設置=
教会会館集会室および厨房に冷暖房装置が設置されました。大事に使いましょう。

=第1回バザー実行委員会行わる=
7月7日(水)夕、今年初めてのバザー委員会が行われ、11月3日(水・祝)、例年のように会館、幼稚園一階、園庭を用いて実施することが話し合われました。次回委員会は9月8日(水)。

=GFS全国リーダー研修会に参加=
佐々木富美子さんは、7月26日 (月)〜29日(木)、北海道芦別市スターライト・ホテルにおいて開催されるGFS全国リーダー研修会に参加されました。

=ジュニアチャーチ夏のキャンプ=
ジュニアチャーチは、7月24日(土)から25日(日)、芦生キャンプ場でキャンプを行いました。
中高生7名、引率者10名、小学生3名、計20名が参加しました。

=日曜学校北小松キャンプ=
日曜学校では、7月31日(土)から8月1日(日)まで北小松キャンプ場において、聖アグネス教会の日曜学校と合同でキャンプを行っています。午前九時、聖マリア教会に集合。開会のお祈りの後、バスと自家用車で出発。礼拝、水泳、ゲーム、キャンプファイアー、屋外での食事と楽しく過ごします。
小学生35名、幼児7名、中高生4名、大人48名、計延べ94名が参加しています。

=ピアノを求めています=
聖マリア幼稚園では、保育室用にアップライト・ピアノの寄贈を求めています。お宅に眠っているピアノがあればぜひお申し出で下さい。

=バス停「岡崎道」東へ移動=
教会会館前にあったバスの停留所が、7月1日から、約百50メートル東へ移動し、二ケ所あったバス停が一つに統合されました。礼拝堂建築工事にともなう危険を避けるため、また近隣の方々のご協力を得て市交通局に要望していました。

=聖公会女性フォーラム=
▽日時・9月14日(火)午後2時〜15日(水) 受付午後1時から
▽場所・京都パレスサイド・ホテル
▽参加費・12000円(宿泊、食事、諸費)・部分参加・2000円+食費実費
▽テーマ・「マルタ」と「マリア」をどう生きていくか?
▽申込み・8月13日(金) 牧師まで。
▽主催・女性が教会を考える会・女性フォーラム準備会
▽申込〆切・9月10日、牧師まで。

=霊性修養会=
▽日時・9月23日(木)〜25日 (土)
▽場所・大阪聖パウロ教会
▽講師・Ken Munns 司祭(オーストラリア聖公会)
▽費用・登録料3000円

=京都教区第40回「信徒の集い」=
▽日時・9月23日(木)〜24日(金)
▽場所・鳥羽グランドホテル(天然温泉)
▽参加費・15000円(参加費補助あり)
▽テーマ・「心豊かに主に感謝」▽講師・青木嘉子氏(社会福祉法人歯車の会事務局長、ボランティア活動家)
▽申込・締め切りを過ぎていますので、大至急参加費を添えてお申し込みください。牧師まで。
▽担当・三重伝道区

=日本聖公会第18回部落解放セミナー=
▽日時・8月23日(月)〜25日(水)
▽場所・千葉県人権啓発センター
▽主題・「周縁から視る―展望を求めて」
▽定員 30名▽参加費・16000円(宿泊費、食事、資料代等)
▽主催・日本聖公会部落差別問題委員会

=浦地司祭Eメールアドレス変更=
浦地司祭電子メールアドレスが変更になりました。
uraji@ma2.justnet.ne.jp
以前のニフティサーブのアドレスも現在は平行して使えますが、将来廃止にする予定です。アドレス帳を書き換えてください。


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