月報「コイノニア」
1999年10月号 No.194


仲間を赦せない家来のたとえ
   ―マタイ18−21〜35―

牧師 司祭 イザヤ 浦 地 洪 一

一 主の祈り
 わたしたちは、毎日、主の祈りを唱えています。
 「天にいますわたしたちの父よ」と祈ります。ずうっと唱えていきますと、「わたしたちに対して罪のある者を赦していますから、わたしたちの罪もゆるしてください」というところがあります。
 前の文語の祈祷書では、「我らに罪を犯すものを我ら赦すごとく、我らの罪をも赦したまえ」となっていました。
 祈祷書の改正が提案され、口語の祈祷書の改正案が出されたとき、「わたしたちに対して罪のある者を赦していますから、わたしたちの罪もゆるしてください」というような、交換条件で罪を赦してもらうようなことはお祈りできないと、頑固に反対する人がいました。「自分に対して罪を犯している人を赦していなければ、神さまから私の罪を赦してもらえないのか」、「どんなに赦そうと思っても、赦せない時だってあるのだ」というのです。そんな時には、主の祈りのそこの部分は、唱えないと言い張っている人もいました。
 みなさんも、同じようなことを感じながら、主の祈りを唱えたことがあるのではないでしょうか。
 しかし、イエスさまが、「このように祈りなさい」と教えられた言葉の聖書の原文では、
「わたしたちの負い目を赦してください、わたしたちも自分に負い目のある人を赦しましたように。」 (マタイ5−12新共同訳)
となっています。明らかに 「自分に負い目のある人を赦しましたように」と過去の形になっていますから、先に人の罪を赦しているということが前提になっています。従って、唱え難いから言って、わたしたちの考えで自分の都合の良いように、主の祈りの言葉を差し障りのない言葉に替えることは許されません。

二 「仲間を赦さない家来」のたとえ
 マタイの福音書十八章二十三節から三十五節のたとえは、人を赦すのに何回ぐらい赦せばよいでしょうか?」いうペテロの質問に対するイエスさまの答えとして語られています。
「一人の人に7回ぐらい赦せばよいでしょうか」
「いや、7の70倍まで赦しなさい」
と言われました。それは、四百九十回まで赦して四百九十一回目には赦さなくてもよいという意味ではありません。無限に、無制限に、赦して、赦して、赦し続けなさいという意味です。なぜそれほどまで赦さなければならないのかという答えが、このたとえ話によって語られています。
 ある王様が、家来たちに貸したお金の決済をしようとしました。決済し始めたところが、一万タラントン(ギリシャの通貨で、六千万デナリオン。)も借金している家来が、王様の前に連れて来られました。
 しかし、その借金は一生かかって働いても返済できるような金額ではありませんでした。王様はこの家来に、持ち物を全部を売り払い、妻も子どもも、自分さえも奴隷として売って返済するようにと迫りました。
 ところが、その家来は、王様の前にひれ伏し、『どうか待ってください。きっと全部お返しします』と涙を流して願いましたので、王様はその家来を憐れに思って、彼を赦してやり、その借金を帳消しにしてやりました。
 借金を赦してもらったその家来は外に出て帰ろうとすると、自分に百デナリオンの借金をしている友達に出会いました。すると、その友達を捕まえて首を絞め、『借金を返せ、さあ返せ』と言って迫りました。その友達はひれ伏して、『どうか待ってくれ。返すから』としきりに頼みましたが、承知せず、その仲間を引っぱって行って、借金を返すまで赦せないと言って牢に入れてしまいました。
 仲間たちは、事の次第を見て非常に心を痛め、王様に事件を残らず告げました。すると、王様はその家来を呼びつけて言いました。『不届きな家来だ。お前が頼んだから、借金を全部帳消しにしてやったのだ。わたしがお前を憐れんでやったように、お前も自分の友達を憐れんでやるべきではなかったか。』
 そして、王様は怒って、借金をすっかり返済するまではと、家来を牢役人に引き渡しました。
 これが、このたとえの内容です。そして、最後に、「あなたがたの一人一人が、心から兄弟を赦さないなら、わたしの天の父もあなたがたに同じようになさるであろう。」という言葉で結ばれています。

三 神さまの論法
 「なぜ、そんなに人を赦さなければならないのですか」という質問に対するイエスさまの答えは、神さまは、あなたの数え切れないほどの罪を、負債を、借金を無条件で赦してくださっている。赦していただいている罪の量や内容を数えあげたらとてつもなく、莫大な量である。毎日々々これを赦していただいているのだ。それだのに、神さまから赦していただいている自分の罪のことを忘れて、または棚に上げて、隣人、兄弟、仲間のそれとは比べれものにもならないような小さな罪を赦せないとはどういうことなのかと言われるのです。
 イエスさまが、私たちに、「赦しなさい」と命じ、互いに赦し合うことを求められるのは、歯を食いしばって我慢しなさいとか、お人よしでいつでニコニコしていなさいというような、単に忍耐力の訓練や精神主義で克服することを求めておられるのではありません。
 神さまとの関係において、隣人を見なさい、兄弟を見なさい、仲間を見直して見なさいと言われるのです。私たちが神さまから赦されている罪の大きさを思えば、どんなに大きな罪でも兄弟の罪を赦せないはずはないと言われるのです。
 あなたの隣人を愛しなさい。それは神さまがあなたを愛してくださっているからです。
 人に仕え合いなさい。それは、イエスさまが、あなたに仕えてくださっているからです。
 人を赦しなさい。もし私たちが、心から兄弟を赦さないなら、神さまも私たちを同じよう私たちを赦さないでしょう。

四 神さまは、一人子を与えてくださった
 神さまは、私たちの罪の赦しのために、その一人子を、その命をお与えになりました。私のような者のために、愛するひとり子の命を十字架にかけて、お与えになりました。それによって、私たちは罪の赦しという特別の恵みをいただいているのです。その恵みを受ける値打ちも価値も何もない者が、無条件で、この恵みをいただいたのです。その恵みのありがたさを知り、心から感謝し、神さまを賛美することができる者だけが、ほんとうに人を愛し、人を赦すことができるのではないでしょうか。
 「主の祈り」を私たちの思いや、私たちの都合に合わせるのではなく、私たちが、主の祈りの主旨に合うように変えられていく、日々生まれ変わっていかなければならないのではないかと思います。
(9月12日、主日聖餐式説教から)


今年もやります
11月3日バザー開催!

 今年秋のバザー開催し、鋭意準備を進めております。
 今年は、運動場が「礼拝堂建築工事に伴い狭まくなっている」こと、例年並みのバザー規模とすれば、会場が「分断される」こと等を踏まえて、開催規模・施設について、慎重に検討いたしました。
 本年度の内容の一端をご紹介いたしますと、模擬店では、「うどん」に変わって「カレーライス」が新しく登場します。「喫茶コーナー」は青年会が中心となって画期的な企画を検討されております。
 また、幼稚園ホール改修により、その使用については、格段の丁寧さが必要とされ、床、壁の養生について検討中であります。
 チケットの発行は、婦人会の熱心なご努力の下に、早々に配布準備が整い、バザー寄贈品のお願い状と共に、すでに皆様方のお手許に届いているかと思われます。奮ってご購入下さい。あわせて、寄贈品のご提供を切にお願い申し上げます。
 後日、バザー当日のお手伝いについて、お知らせとお願いをさせて頂きますが、会場が二箇所になるため、会場を移動される来場者、特に子供たちへの丁寧な目配りが必要とされます。整理・誘導の係(人数)を充実いたしたく、男性諸氏のご協力をもお願い申し上げるしだいです。
 (バザー委員長・野本武)


礼拝堂完成が一歩一歩現実に…

十二月竣工に向かって順調

○9月3日(金)午後7時30分から11時まで、二階集会室において、礼拝堂建築実行委員会、ヴォーリズ建築事務所(石若氏)、コーナン建設(引野氏、山本氏)の三者協議会が行われました。工事の進捗状況について報告を聞き、さらに工事細部の仕様等について協議を行いました。
○9月9日(木)午後、続木創委員と浦地司祭は、ヴォーリズ建築事務所の石若氏と共に礼拝堂の残響問題の調査のため、日本キリスト教会夙川教会、日本基督教団立花教会および平安女学院短期大学礼拝堂を訪ね、礼拝堂の室内の音響について実地調査しました。
○9月10日(金)午後7時30分から10時30分まで、二階集会室において、礼拝堂建築実行委員会が開催されました。礼拝堂の細部について検討し、主に残響について協議しました。
○9月17日(金)午後7時30分から、二階集会室において、礼拝堂建築実行委員会が開催されました。(ヴォーリズ建築事務所の石若氏出席) 旧礼拝堂の椅子等家具の修繕について、スコット・マーレー司祭にお願いすることにし、とりあえず一脚の見本修繕をお願いすることにしました。各室の細部について検討しました。また、礼拝堂の残響について、八〇%出席の状態で、1.8秒〜2秒が得られることを前提に壁や天井、床の材質を再考することとし、設計の検討と見積りの見直しを依頼することにしました。
○9月22日(金)の実行委員会は、台風18号の接近のため、急遽、日程を変更し、26日(日)礼拝後に礼拝堂建築実行委員会を行いました。主に礼拝堂の残響問題について協議し、予備費の中から三百五十万円をあてて、当初の残響秒数に近いものにすることを承認しました。
○9月の建築工事の進捗状況は、梅雨の頃、日程が一時遅れていましたが、8月末には追いつき、現在では、ほぼ予定通り進んでいます。
○9月5日から、内部の足場を取り除き、床にコンクリートを打つために鉄筋の配筋、型枠組上げの工事が行われました。12日から床のコンクリート打ちが行われました。床のコンクリートの養生がすんだ後、内部に再度足場が組み上げられ、西側、東側の外壁のALC板の建て込みが行われました。
○10月10日の日曜日、礼拝堂中央のタワー・クレーンの取り外しの工事が行われます。この日は、園庭に大型重機が入りますので、当日の自動車の駐車はご遠慮ください。


新たに外部献金に
ご協力いただいた方々

(7月25日〜9月20日扱い分)

(敬称略)飯田正人、伊藤世志子、乾園子、居原田朗子、上野貴久代、上野咲子、北村敏博・浩美、田中淳、田中穣、富田正通、野村秀夫


感謝・記念献金

(9月1日〜9月30日)

誕生日感謝
三井彩子、浅井みよ、江口翠

逝去者記念
片岡霊恵(片岡静)、佐々木功(佐々木雪栄)

結婚記念感謝
三井哲次・順子、久保田栄三・恵子

受洗受按記念感謝
鎌田梅子

敬老の日感謝
塩見英子、速水富貴、中堀孝志・妙子、星野富士子(卒寿)

感謝献金
江口翠(卒業)、谷嘉明(退院)、増井幸夫(納骨堂)、山本進、木元民、リクルート(株)、外人旅行者、京都聖マリア幼稚園

節目節目に感謝献金を献げることをお勧めします。感謝献金袋は書棚ボックスのサイドにあります。


ニュースとお知らせ

=手術=
岩城昭夫さんは、8月320日昼頃、作業中、紙の断裁機に右手の指を挟まれ、伏見区醍醐の共和病院において7時間におよぶ手術を受けられました。同病院に入院しておられます。お祈り下さい。

=逝去=
続木智子さんのお兄さん、ステパノ木田裕さんは、9月17日早朝、大阪警察病院において、がんのため逝去されました。同日夕通夜の祈り、十八日午前十一時から葬送告別式が、いずれも川口基督教会において行われました。お祈り下さい。

=逝去者記念の式=
9月12日、主日の聖餐式に引き続いて、去る8月14日、97歳で逝去されたガマリエル渡辺常造さんの逝去一ケ月記念の式が、ご遺族も参列され行われました。

=神学生二学期実習=
ウイリアムス神学館の二学期が始まり、9月11日 (土)から飯野神学生の実習勤務が始まりました。

=転宅=
▽青木ゆりさん宅は転居されました。
▽続木義也・恵さんのご家族は、9月27日に転宅されました。
なお、28日(火)午後、住宅の祝福式が行われました。
住所・電話番号は教会へお問い合わせください。

=敬老感謝の集い=
去る9月19日礼拝後、教会会館において、75歳以上の方々をお招きして敬老感謝の集いが行われました。13名の方々がご出席下さり、婦人会の心づくしの「お赤飯」を頂き、続木創さんの司会のもと、プレゼントやお歌やゲームなど楽しいひとときを過ごしました。

=堅信式五十年記念を迎える方にプレゼント=
京都教区では堅信式を受け、五十年以上信仰生活を続けておられる方々に、教区主教から記念の「銀のスプーン」が贈られることになりました。私たちの教会では、1949年9月19日以前に堅信式を受けられた方は22名おられます。以後毎年五十年を記念してプレゼントされます。

=9月婦人会例会=
9月14日(火)午前10時から、岡崎天王町「洛翠」において、9月の婦人会例会が行われました。第一部礼拝では、浦地牧師から聖書のお話を伺い、美しい秋の庭園を眺めながら美味しい京料理をいただき、午後の第二部は、宇野祐次さんによる「上手に写真を撮る方法パート2」。各自愛用のカメラで、お庭で撮影会。楽しい一日を過ごしました。25名が参加しました。

=京都伝道区会=
8月29日(日)、午後2時から、京都教区センターにおいて、京都伝道区伝道区会が開催されました。伝道区内の各教会の近況報告が行われ、次期伝道区長の選挙が行われ、大江真道司祭(京都聖ヨハネ教会牧師)が、再選されました。

=トルコ地震救援募金=
去る8月17日、トルコに大地震が起こり、大勢の死傷者がでましたが、会館の入口に募金箱を置いて、被災者救援のために募金の呼びかけをしました。9月12日と19日の2回の主日で、13782円が寄せられ、日本聖公会管区事務所へ送りました。募金は管区からACT(Action by Churches Together)を通して現地に届けられます。

=台湾地震救援募金=
台湾の地震の被災者のために救援募金の要請が、教区総務局から来ています。教会関係の救援活動のために受付に募金箱を置いています。ご協力下さい。

=ホームステイのお願い=
来年3月17日から23日まで、英国のレスター教区から、同教区主教夫妻と聖職、信徒20名が京都教区を訪問されます。親交を深めるために17日、18日、19日の3日間、京都教区の信徒宅にホームステイ(個人宅の宿泊)することを希望しておられます。ホームステイにご協力いただける方は、牧師まで申し出てください。

=教区成立記念日=
去る9月19日は、京都教区成立58年を記念する日を迎えました。1941年4月に開催された日本聖公会第20総会において、すべての地方部を教区にすることが決議され、同年9月19日に聖アグネス教会において、佐々木二郎主教の主教按手式が行われました。この日を教区成立記念日と定めることが昨年の教区会において決議されました。教区一致の日としてこの日を覚え、教区内各教会では特別に定められたお祈りがささげられました。

=秋のキリスト教講座=
連続講演『日本聖公会史の虚像と実像』▽講師 大江 満 氏
▽会場 京都教区センター
▽第一回 10月8日(金)午後7時30分「日本聖公会組織成立物語の崩壊」
▽第二回 10月15日(金)午後7時30分「外国宣教団に分割された日本聖公会」
▽第三回 10月22日(金)午後7時30分「戦時下合同問題で分裂した日本聖公会」
▽主催 京都伝道区信徒伝道協議会

=京都教区第40回「信徒の集い」=
9月22(水)午後から23日(木)正午まで、三重県鳥羽グランドホテルにおいて、「第40回京都教区信徒の集い」が、三重伝道区の担当で開催されました。当教会から、浅井みよさん、市井隆子さん、大岡みゆきさん、佐々木富美子さんが参加され、新実康男さんと新実正枝さんが部分参加されました。

=浦地司祭Eメールアドレス変更=
浦地司祭電子メールアドレスが変更になりました。
uraji@ma2.justnet.ne.jp
以前のニフティサーブのアドレスも現在は平行して使えますが、将来廃止にする予定です。アドレス帳を書き換えてください。


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