「コイノニア」
1999年11月号 No.195


口で告白して救われる

牧師 司祭 イザヤ 浦地洪一

人は心で信じて義とされ、口で公に言い表して救われるのです。  (ローマの信徒への手紙十章十節)

 わたしがまだ三十代の頃でした。一年間、アメリカの神学校で学び、それが終わってから、一人でヨーロッパの各地を巡り、エルサレムの聖ジョージ神学校で六週間の聖職者のための短期コースを受講して帰国するという機会が与えられました。
 髪を肩まで伸ばし、汚いジーパンに赤いシャツを着て、鞄一つを持って、イギリス、フランス、オーストリア、スイス、イタリアと、気の向くまま列車で旅を続けていました。
 とくに、スイスやオーストリアは憧れの地でした。少年時代のわが家の壁には、いつも時計屋さんから貰ったカレンダーが掛かっていて、スイスの山々の美しい風景写真が載っていました。「サウンド・オブ・ミュージック」という映画は何度も見て、いつも頭の中にあの美しい風景を思い描いていました。一生に一度はスイスやオーストリアへ行ってみたいというのがわたしの夢でした。
 そして、それが、実現したのです。セント・アントンという町で一泊し、山や街を散策した後、列車で、ゴトン、ゴトンと、スイスの国を横断しました。真っ青な空、山の頂きの白い雪、灰色の岩肌、緑の高原、湖、黄色や赤色の花畑の帯。本当に夢が実現し、カレンダーの景色の中にいるのです。典型的な日本人の例外ではなくわたしは、夢中でカメラのシャッターを切り続けました。延々と何時間もその美しいカレンダー絵のような景色が続きました。駅で列車が止まるたびに乗客は少なくなり、わたしが乗った車両には数人しかいなくなりました。カメラのシャッターを押すのにも飽き、最初の興奮もさめてぼんやりと窓の外の風景を眺めていました。
 その時、自分の心の中に不思議な思いが起こってくるのを感じました。
 今、長年の夢がかなっている。こんなに美しい景色を見、空気にも触れている。十分に堪能して、感動しているはずなのに、なぜか心が晴れないのです。何か、もの足りないのです。そのときにフッと、一つの聖書の箇所が頭を横切りました。それは、冒頭に掲げたパウロの手紙の一節でした。その当時は、まだ新共同訳の聖書ではありませんでしたから、浮かんだ言葉は、「人は心に信じて義とされ、口で告白して救われる」でした。
 そうなのです。目で美しい景色を見て、肌で感じて、頭の中では、夢が実現していることは認識しているのですが、「美しいね」「きれいだね」「すばらしいね」と、口で表現して、告白していないのです。だから心が救われていないのです。美しいネ、美味しいネ、幸せだネと告白して、心から同感する人があったとき、救いを実感することでできるのだということに気がついたのです。そして、イエスさまを信じて生きるということも、そうなんだと気づいたのです。そのことが、大変なことを発見したような気持ちになって、周りの景色のことなど、どこかへ行ってしまいました。
 この気持ちを誰かに伝えたいという衝動に駆られ、列車の中を見回しました。反対側の遠く離れた席に尼さん(修道女)の帽子の後ろ姿が見えました。
 わたしは、そこまで歩いて行って、尼さんの前の席に座り、「英語を話せるか」と聞き、「聖書を持っているか」と尋ねると、その尼さんは怪訝な顔をしていましたが、黒い鞄から聖書を取り出してくれました。「ローマ書の十章十節を開いてくれ」と言い、そこを読むのを待ってから、一気にしゃべりました。「どんなに美しい景色を見ても、どんなに長い時間それを見ていても、口で告白して、心から同感する人がいなければ救われないのだ。信仰の問題も一緒だ。心に信じて義とされ、口で告白して救われるのだ」と。たぶん片言英語で、手も足も全部使って、思いを伝えようと恥も外聞もなく懸命に語りました。その尼さんは、ヒッピー風の変な東洋人が何を言っているのかというような顔をしてキョトンとしていましたが、わたしは、一方的に「解ってくれますか」と言い、聴いてくれたお礼を述べて、自分の席にもどりました。一生懸命しゃべったおかげで、わたしは心が晴れ、落ち着いた気持ちになって、再び車窓の景色に見とれていました。
 三十分ほどたって、さっきの尼さんが、列車の通路をよたよたと歩いてきて、今度は、むこうがわたしの前に座り、にっこり笑って「あなたの言っていることがわかった。その通りだ」と言って、握手を求めてくれました。そして、もう一度ニッコリ笑って、自分の席に戻って行きました。わたしは、ほんとうに幸せな気持ちになりました。二十六年昔の忘れられない出来事です。
「口でイエスは主であると公に言い表し、心で神がイエスを死者の中から復活させられたと信じるなら、あなたは救われるからです。」(ロマ書十章九節)


1999年度
バザー開催!

 恒例のバザーも間近になってまいりました。11月3日午前10時より午後3時まで、京都聖マリア教会において、京都聖マリア教会・ボーイスカウト京都第24団・聖マリア幼稚園共催により開催されます。
 今年のバザーは礼拝堂建築工事中ということもあり、例年と勝手が違い、準備に手間取りました。しかし、バザー委員を中心にみんなで知恵を絞り、ひと味違った素敵なバザーになりそうです。
 ご近所の皆さん、お友達にも声をかけて、一人でもたくさんの方が参加してもらえるバザーにしましょう。

それではコイノニア名物「コーナー紹介」です。

受 付

 幼稚園園庭に入ると、ホール前に受付ブースがあります。前売りチケットの精算がまだの方はここで精算してください。また、チケットをお持ちでない方はこの受付で購入してください。
 チケットはおでん400円、カレーライス400円、喫茶セット300円が連なったもので、額面1100円を1000円で販売します。ばら売りも可能です。この三種以外の出し物については現金でお買い求めください。
 自転車は旧礼拝堂玄関前においてください。勿論当日は乗用車は乗り入れできません。
 今年は上図面のように会場が工事中の礼拝堂を挟んで二カ所に分断されます。それぞれ入り口で靴を入れるビニール袋を受け取り、それに靴を入れて各自でお持ちください。

飲食コーナー

*おでん
 婦人会のおでんはいつも大人気。長年鍛え上げられた絶妙のさじ加減は、どこの高級料理店シェフもおよびません。

*カレーライス
 新メニュー今年の最大目玉です。例年の好評「うどん」を捨ててまで挑む野営の定番「カレー」。ボーイスカウトたちはいかにバザー風にアレンジできるか??

*喫茶セット
 青年会・ジュニアチャーチがお贈りするとろーり生クリームのシフォンケーキと飲物のセット。今年は新企画でライブ喫茶に変身。それも歌うは皆様お客様。レパートリー2002曲の中から好きな曲をチョイスして生演奏をバックに歌えるのです。カラオケ得意のお父さんお母さん、ついに生オケに挑戦してみては!

*石焼芋
 昨年大好評だったリヤカー型の石焼芋車を今年は2tトラックのにパワーアップ。今年も達人のもと修行済。

*生ビール・ジュース
 買い物をして一段落、やはり生ビールです。今年もたくさん飲んでもらいます。ビール券の差し入れも大歓迎。

物販コーナー

*寄贈品
 バザーの核である寄贈品。例年なかなかの掘り出し物もあります。目を皿にして探して下さい!

*ミニバザー
 毎月第一日曜日礼拝後に婦人会主催で開催されているミニバザー。今回も堂々ラインアップ。

*陶器
 萬古焼も四年目。今回は石焼きビビンバ鉢など新製品も並びます。品数が少なめなので早い時間帯に完売になりそうです。お急ぎ下さい。

*野菜
 ボーイスカウトの団委員三輪さんの奥様の実家より朝どりの野菜を産地直送。土の匂いのする野菜を!

*山菜
 我らのキャンプ場、芦生のある京都府北桑田郡美山町から山菜がやってくる。

*お総菜
 京都聖マリア教会婦人会が腕によりをかけて造ったお総菜。そのさじ加減は名人芸。

*ベトナム民芸品
 世はエスニック大ブーム。あなたの家もこのオーナメントでイメージチェンジ!

*焼きたてパン
 焼きたてパンが時間単位で搬入。最高です。

*干物
 今年も中央市場直行の干物が勢揃い。ちりめんじゃこ、鰺の開き、みりん干し・・・

*甘納豆
 ボーイスカウトの元団委員、遠藤さんの甘納豆。これもマリアのバザー名物です。

*雑貨
 ユニクロよりもユニークなクローズが勢揃い。必見!

*手芸品
 マリア教会婦人会はここでも技を見せます。乞うご期待


礼拝堂建築いよいよ大詰めに!

クレーンも解体。
仕上げも着々と…

2000年1月10日の竣工・聖別式に向かって順調。

 礼拝堂建築工事もいよいよ大詰めを迎え、10月10日(日)には新礼拝堂の屋根の上にそびえていた大型クレーンも撤去され、その勇壮な姿を露わにしてきています。
 建築実行委員会は、10月も1日、8日、15日、22日、29日と5回の委員会を持ち、内装材料や、塗装色などの確認を進めています。一方、懸案の納骨堂の利用規程や募集方法、資金繰の融通のための具体的な方法等、協議事項はたくさんあり、まだまだ議論を深めなければならないところです。追って皆様には詳しい報告とご案内を差し上げる予定をしています。


感謝・記念献金

(10月1日〜10月24四日)

誕生日感謝
速水富貴、速水恵子、浦地愛、中野豊、吉村和馬

逝去者記念
吉田栄子、宇野裕次(誠治)

結婚記念感謝
新実康男・正枝

感謝献金
新実康男・正枝(旅行)、(株)京阪都市計画


各部からのおしらせ

=日曜学校=
10月31日(日)秋の遠足パート1。聖アグネス教会の日曜学校と合同で鞍馬山へハイキング。
11月21日(日)秋の遠足パート2。勧修寺の畑をお借りして、大根ぬきをし、収穫感謝の礼拝を献げます。
11月8日(月)午後7時半より11月度SS教師会。委員、スタッフの方ご予定ください。

=ジュニアチャーチ=
11月7日(日)午前10時より朝の礼拝。
11月14日(日)大阪市立科学館へ秋の遠足。
11月21日(日)日曜学校遠足手伝いのため朝の礼拝は休み。

=幼稚園=
11月15日(月)幼児祝福式。
11月20日(土)感謝祭の集い。
11月22日(月)施設慰問。

=青年会=
11月14日(日)岸和田復活教会の聖餐式に出席。先方青年と交流をもつ。

=婦人会=
10月21日(日)午後1時30分から、幼稚園ホールにおいて、婦人会10月例会。第一部・礼拝 第二部・「バザーお仕事会」。

=幼稚園母の会=
11月5日(金)以降毎週金曜日12時半から、クリスマスページェントコーラス練習をはじめます。
11月29日(月)幹事会。

=ボーイスカウト=
11月28日(日)芦生キャンプ場冬支度。
青年会と協力して、雪対策などの作業を予定。


ニュースとお知らせ

=入院=
猪俣美紀さんは、子宮体ガンが発見されたため、10月5日、高槻市の愛仁会高槻病院に入院され、8日、子宮摘出の手術を受けられました。術後の経過は良好で、21日、退院され、自宅で静養しておられます。お祈りください。

=お便り=
中根冬雄さんの近況について娘さんの熊谷維久子さんからファックスでお便りをいただきました。内容によりますと、行田病院から療養型の病院で門倉好文記念病院に転院され、ずっとそこに入院されるそうです。ご本人はお元気だそうで、皆様のおかげという感謝の一筆が添えられていました。 病院の住所は教会へお問い合わせください。

=ジャガイモ完売=
10月11日に届いた、恒例の「北海道産直じゃがいも農林一号」200箱は皆様のご協力により完売いたしました。この収益は、建築資金の一部として充当させていただきます。

=京都聖マリア教会関係逝去者記念礼拝=
日時 10月31日(日)午前10時45分
場所 京都聖マリア教会
礼拝 聖餐式 
司式説教 司祭 浦地洪一
教会の暦では、11月1日は「諸聖徒日」です。
また、11月2日は「諸魂日」と言います。これらの日は、日本の習慣でいう「お盆」にあたり、世を去った信仰の先輩の魂の平安のために祈り、すべての亡くなった身近な人々を覚えてお祈りをささげます。私たちの教会関係の逝去者を覚え、主の聖餐を通して交わりをいたしましょう。ぜひ、ご出席ください。

=浦地司祭Eメールアドレス変更=
浦地司祭電子メールアドレスが変更になりました。
uraji@ma2.justnet.ne.jp
以前のニフティサーブのアドレスも現在は平行して使えますが、将来廃止にする予定です。

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