京都聖マリア教会 月報「コイノニア」
1997年12月号


法用渉主教さんの最後の言葉

 中部教区の法用渉主教さんは、去る10月24日午後10時30分、京都の自 宅において、肺ガンのために、逝去されました。68歳でした。法用主教さ んは、学生時代を京都聖マリア教会において過ごされました。中部教区の教区 報「ともしび」の11月号に「教区主教職を去るにあたって」と題して、最後 の文章を寄せておられます。ここに転載させていただきます。法用主教さんの 魂の平安のため、ご遺族のためお祈り下さい。

教区主教職を去るにあたって
 あれは、ちょうど今年6月末頃からであった。これまで殆んど順調に、計画され、手帳に記された会合、行事が一つ一つ済まされていたのに、この頃から少々予定外の仕事(これまでも気にはなっていたのだが、まだまだと感じていたが)が気になり出して、先ず一歩手探りをはじめた。これまでは、何とかタイミング良く、(自分一人よがりだけでなく、中部教区の教没者・信徒の方々の寛容な心と、聖公会の信仰のスバラシさのために許容されていた部分が、大部分だったのだが)事が進み、ほとんど危機的な状態に至らずに進んで来ることが出来た事を、いつも神様に感謝して来たものだった。
 しかし、今回は何状況は異なっていたような感じがした。それには、今から思えば伏線があったようだ。毎年恒例の半日ドックもあまり気にせずに、二枚コピーをとって一枚を個人的ドクターに、もう一枚を自分にと思って、月一回の診察兼クスリもらいに行き、二、三の問題箇所が見られるので、C・Tや超音波も予約して行くような事もあったが、全く気にしていなかった。これも今から思えば軽率であったかもしれない。―――しかし、今現在の状況の中で“もしあの時”“あのことをやっておいたら”良かったのに、という考えは、キッパリあきらめ、考えない事を家内と約束したので、問題ではないが―――何はともあれ、自分をこえた“大きな時”―――神様の定められた時(コヘレト3)―――が単なる感じではなく、身体的に感じられるようになり、この頃から退職手続をはじめていたし、同時に今年になって、「身体論」に興味が出て来たり、多田富雄師、中村一子姉等々による生命科学にも読書の触手が動いていた。特に、多田師の“生命現象のスーパーシステム論”などに大いに感動していたのを思い出す。
そのような時に、七月に入って咳がひどく、時々深い咳が出ており、“ヒョットしたら夏かぜ”?と思ったりしていたが、その事をドクターに話して、咳・啖のテストをしたが、大した問題は出ておらず、むしろその一週間後ぐらいから血が混じりはしめた。そして、一カ月後その病院で、「喉」の検査をしたが、原因不明―――丁度その病院に呼吸器科がないので、紹介状をもらって、名大病院―――信徒ドクターの紹介もいただき、八月下旬に五日間の検査入院、そして九月十一日その結果を聞くという、一大転機に直面させられる事になった。詳細は記せないが、後に一言のメモを書いたのを覚えている。
その日から、自分の立てた人生計画はふっとび、自分に残された人生をいかに生かせていただくかを求める時が始まった。それは始まっただけで終わりや、以前のような結果が出て来るものではない。私だけの、私に対して下さる人生のしめくくりは、申し訳ないがどなたにも分かっていただけないだろうし、勿論、私自身にも計画できるようなものでもないはずだ。旧約聖書の詩編を見る、この“人間の計画する時”と“神様の時、計画”の落差は実にハッキリと記されていたことを思い出す。
自分にも明らかでなく、神様と私個人との信仰の交わりの時の事は、かつて人は“「死の床」につく”という表現をしたのを思い出した。その時、すべてのことの主人はその死の床につく者――年齢、社会的立場にかかわらず――であったのに感動したことを思い出している。そして、今日これからの人生の時は私にとって“死の床”につくということなのかなと思い、現在で死の床につく体験をどうか、私に与えてほしいというのが私の願いである。どうか皆様の信仰を、この世的に強制しないで、私を自由にしてほしい。バウロの“もう今から誰も私をわずらわさせないで下さい”との言葉を感謝をもって味わわせて下さい。
どうか、一人の聖職が人生の最盛期を中部教区の皆様のため、出来る限りの奉仕をさせていただいた感謝を、どうか秘められた、一人の信仰者の祈りとして神様のみに捧げさせて下さるよう伏してお願いいたします。私、葬儀等についても、どうかこれまでの伝統、面子にこだわらないように、十年間中部教区で主教として働かせていただいた個人の祈り、信仰、奉仕を神様が受け入れて下さるように、祈って下さればほんとうにありがたいと思います。
最後に、一言だけ、一主教とされたもののわがままな一言を記させて下さい。聖公会には、時代の動きに、ニーズに、正義に仕える仕事もありますが、同時に、一人静かに真実に神たる方との交わりに生き、小さな祈り、小さな奉仕に生きがい、信仰の人生のあること―――勿論、人の性格にもよると思いますし、その性格によって神様の生命がその人の生きざまを形成して行きます。このような静かな信仰は現在の活発な活動的信仰の蔭に隠れているようですが、しかし、人間が一面社会の一員であると同時に、他の一面では個人であり、他の人々と異なる個性が与えられていることも明らかな事実です。どうか、この二つの人間の側面を、二千年の間かかって磨き上げて来た聖公会―――そして、これから日本という特別な国に立てられた日本聖公会にあって、どのように形成、磨き上げるかが、今私たちに問われていると考えています。そして、そのような信仰は、二代、三代、四代と連綿として家族の中で熟成されていくものと考えてもいいのではないでしょうか。
皆様ほんとうにいろいろありがとうございました。心から中部教区の今後の発展を祈っております。(遺稿)


バザーを終えて

バザー委員長 
アウグスチヌス 宗像康雄

 11月3日は文化の日、間違いのない青空のもと、聖マリア教会恒例のバザーを皆で一緒に盛大に持つことができました。あの懐かしく美しかった赤レンガの礼拝堂がなくなって、二度目の秋です。去年のバザーは、教会、幼稚園、ボーイスカウトが一体となって、空前の盛り上がりをみせ、収益も二〇〇万円を突破して、全額を礼拝堂建築のために捧げることができました。
 しかし、主の御心にかなう礼拝堂を立てることは、二、三年でけりがつくような生易しいことではありません。今年のバザーは去年とは一味違って、長続きできることが問われていたと思います。そこで一昨年以前の慣例に戻って、バザーの収益は教会への献金とボーイスカウトの活動資金とに折半することにしました。また、幼稚園母の会のバザーは、既に9月11日に開かれました(11月21日に十万円を礼拝堂建築募金として献金していただいています)。
そこで、バザー実行委員の数も去年の半数ですが、バザーについて全くの素人の私以外は、婦人会からは超ベテランの佐々木富美子さん、速水純子さん、幼稚園からは菅原さと子先生、ボーイスカウトからは副委員長をしてくださった森田秀樹氏をはじめ、小島敏夫氏、三輪寛氏、荒木靖氏とベテラン揃い、壮年会からは真の実力者、中野豊氏、青年会とジュニアチャーチからは新進気鋭の浦地愛さんに立石みどりさんが参加されました。出だしこそ去年より三週間ほど遅れましたが、てきぱきと実行することに徹して、三回の委員会でバザー開催にこぎつけました。しかし、これも委員以外の数多くの方々の並々ならぬご協力とご援助の賜物で、去年の三井バザー委員長からは詳細なマニュアルをいただきました。ことにバザー前日のボーイスカウト全員の働きぶり、数多くの教会員の多彩で、しかも息のあった活躍ぶりには、目を見張る思いをいたしました。
バザー当日は、去年と変わらぬような大勢のお客様で終日賑やかで、自作の大きなゲームを持ち込まれた山本昌宏さんのゲームコーナーでは、子供たちの歓声が絶えませんでした。23ヶ所もできた各コーナーから総計一二八万もの収益をあげることができました。バザーを支え、また楽しんでいただいた一人ひとりの方々に心からの感謝を捧げます。
「わたしたちは数は多いが、キリストに結ばれて一つの体を形づくっており、各自は互いに部分なのです。」 ローマの信徒への手紙 12・5


公演間近!

礼拝堂建築のためのコンサート〜その2〜
西谷玲子と仲間たち

 募金委員会では、礼拝堂建築募金コンサートの第二弾として、聖アグネス教会の礼拝堂をお借りして開催することを企画しました。
 このコンサートは礼拝堂の建築募金のPRを目的とし、いい音楽を聴いてもらい、広く一般の方にもその趣旨を理解していただこうというものです。三月の「クラウス・オッカー・バリトンリサイタル」の大成功に続いて、この第二弾の私たちの力を合わせて、ぜひ成功させたいと思っています。残る数日間、一人でもたくさんの方にチラシを配ってPRしてください。一日でも早く私たちの礼拝堂が与えられますよう・・・・

とき:1997年12月7日(日)16:30開場/17:00開演
ところ:聖アグネス教会礼拝堂
入場料:2,000円

ピアノ:西谷玲子
ヴィオラ:俣野ゆみ
ヴァイオリン:続木 創

Program
バッハ:主よ人の望みのよろこびよ
シューベルト:即興曲 作品90 No.2.3.4
モーツァルト:ヴァイオリンソナタ ト長調 Kv.301
ショパン:バラード 第1番 ト短調 作品23
シューマン:おとぎの絵本 作品113

西谷玲子プロフィール
京都市生まれ。京都市立堀川高等学校音楽科を経て、京都市立芸術大学音楽学部を卒業。京都室内楽協会正会員として活動。その後、オーストリア・ウィーンへ留学。ウィーン国立音楽学校在学中、ピアノ演奏科に在籍。優秀賞を得て、卒業ディプロマを取得。帰国後、京都市より京都新人芸術家選奨を受ける。合奏団のチェンバロ奏者、歌曲・器楽の伴奏、室内楽の分野を中心に「親しみやすい音楽会づくり」を目標として活動。ラジオ大阪(OBC)・KBS京都のラジオ番組のパーソナリティー、音楽集団「バードランド」のメンバーとしての演奏など、幅広い活動で、さらに「音楽的好奇心」に磨きをかける。ピアノを竹内美知子、下村和子、島崎清、E.ザイラー、W.パンホーファー、M.エッガーの各師に、チェンバロを有賀のゆり、室内楽を岩淵龍太郎、K.メッツル、W.バンホーファー、S.フュールリンガー、A.プリンツの各師に師事。現在、京都音楽院アカデミーコンセール京都ピアノ科講師。


教会委員会報告

 去る11月9日(日)午後3時30分から5時まで、二階集会室にて、武藤主教の臨席を得て11月定例教会委員会が行われました。次のような事項を協議しました。
@各グループ、委員会からの報告
A募金委員会より、建築資金計画、バザーの結果報告、コンサートについての報告、外部募金趣意書発送準備作業の報告
B建築委員会より、話し合う会の結果について、今後の進め方を協議
C教区会の報告と議案について
Dクリスマス礼拝と祝会について―12月21日にクリスマス総員礼拝を行う。礼拝後祝会、司会は続木泰子さん。食事は持ち寄りとする。
E日曜学校強化委員の任命―日曜学校をさらに強化するため、教会委員から吉村伸、津田繁、菅原さと子三委員を日曜学校強化委員とし、現在の日曜学校の先生と共に協議していく。

 次回委員会は11月30日礼拝後


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