京都聖マリア教会 月報「コイノニア」
1998年3月号


サタンを意識して大斎節を過ごす

牧師 司祭 イザヤ 浦地洪一

「それから、霊≠ヘイエスを荒れ野に送り出した。イエスは四十日間そこに とどまり、サタンから誘惑を受けられた。その間、野獣と一緒におられたが、天使たちが仕えていた。」
    (マルコ福音書一ノ一二,一三)

 主イエスは公生涯に入られる前に、聖霊に導かれ、荒れ野において、四十日間、悪魔の試みに会われ、これと戦い、うち勝たれました。マルコによる福音書には、簡単に触れているだけですが、マタイによる福音書では、もう少し詳しくそのことが伝えられています。
 主イエスは、四十日四十夜、断食して空腹を覚えられました。そこに「誘惑する者」、すなわち、サタン、悪魔が現れて、イエスを誘惑しました。「あなたが神の子ならば、この石がパンになるように命じてみよ」、「あなたが神の子ならば、ここから飛び降りて、天使が助けにくるか試してみよ」、「わたしにひれ伏せ、そうすれば世界の国々と繁栄をおまえに与えよう」とささやいたのです。
空腹の中でもだえているときに、食欲という肉の欲望に訴え、神の子としてこれから使命を果たそうとする者に、神を試そうとさせ、神への絶対服従の道を歩き出そうとする者に、この世の支配、栄華と引き替えに悪魔に礼拝させようとします。悪魔やサタンという生き物がいて、イエスに働きかけたというより、イエス自身が心の中に起こってくる欲望と闘い、まさに人間イエスと神の子としてのイエスの身を裂かれるような葛藤を体験しておられたのでしょう。そして、いずれの場合にも、最後には、「サタンよ、退け」と、サタンの誘惑を敗退させられました。
 それにしても、サタンは、聖書の言葉を用いてイエスに近づき、いつも神を試させようとします。やさしい言葉を用いて、最もらしい理由をつけて誘惑してきます。サタンとは、人を神から引き離そうとする力、神に近づこうとするものを妨げる働きです。
 サタンは、なまくらな信仰生活をしている者には現れません。サタンを意識することすらない者には、サタンは勝ち誇り、サタンの罠にすっぽりとはまってしまっている者には、声さえ聞こえません。反対にサタンが活発に攻撃をしかけてくるのは、人が、神に近づこうとする時、神に従おうとする時、神と共に生きようとする時です。神に近づけば近づくほど、サタンは、働いて神から引き離そうと、必死になって誘惑をしかけてきます。
 教会の暦では、今年は、2月25日から「大斎節」に入ります。この日か、日曜日を除く四十日間、主イエスが荒れ野で、飢えと渇きに耐え、サタンの誘惑に打ち克たれたことを覚え、わたしたちも、祈りと克己の時、サタンの働きを見破り、サタンの試みに打ち克つことに努める期間とされています。
 ともすると、マンネリ化するわたしたちの信仰生活に緊張を取り戻し、神との関係を正すために、サタンと向かい合い、悪魔と闘うときです。日常の生活の中で、それぞれ、悪魔の誘惑と闘う具体的なプログラムを持ってみようではありませんか。たとえば、毎日、時間を定めて聖書を読むとか、祈りの時間をもつとか、主日礼拝を守るとか……。平凡なことですが、四十日間これをやりとげようとすると、サタンは必ず現れて、誘惑を仕掛けてきます。
 四十日後、4月12日、わたしたちは、イースター(復活日)を迎える。サタンの誘惑に打ち克って、共に心から感謝と喜びの朝を迎えようではありませんか。


一九九八年度
受聖餐者総会開催

2月15日(日)
幼稚園ホールにて

去る2月15日、幼稚園ホールにおいて信徒総会が開催されました。
出席者44名(午後1時5分現在)に委任状80通を加え、現在受聖餐者総数193名の過半数を越え総会は成立しました。しかし、礼拝堂建築など教会のおかれている現状を考慮すると、44名という出席者数には淋しいものを感じます。

 聖歌380番、開会祈祷につづいて、97度の教会の教勢と活動報告が議案書に沿って行なわれました。続いて97年度教会会計報告、98年度の目標と活動計画、98年度教会会計予算など諮られました。会計報告では、@教区分担金五二人分未収により一般会計で負担した。A阪神大震災献金は今年度で終了する。B交通費については宮西信徒奉仕者が病気のため未執行分が多い。C牧師俸給は三ヶ月分のみ支出。残りは施設維持積立金として支出した件などの報告がありました。Cについては、従来は牧師俸給を幼稚園への寄付金として執行していたが、府の補助金との関係で幼稚園の剰余金を減らすために教会(幼稚園施設を含むと解釈)の施設維持積立金として執行した。しかし、会計処理上の問題があるので、4月1日付で幼稚園に支出しなおすというもの。
 98年度教会会計予算については、@前年度繰越金は特別会計に繰り入れる。収入総額は1480万円。A英語会衆の食費を雑費で執行していたが、集会費で執行する。B自動車維持費は今年度は車検があるの増額。C保険料は礼拝堂がなくなったので減。D福利厚生費は牧師の年金掛け金。E教区献金は主教が来られた時に信施金を献金してきたが、相当額を教区献金として支出。F牧会協力費は信徒数が少なく自立できない教会への協力金。教区から年末に値上げ通知。G公租は芦生キャンプ場の税金と若王子墓地の管理費。
などの説明が成されました。

質疑応答

Q:牧会協力費の値上げの説明を。
A:教区予算の牧会協力費は教区会では倍増が承認された。各教会への割り振りは財政局と各教会の会計との交渉で行われる。
Q:今年は倍で、来年は3倍、再来年4倍になりかねない。
A:代議員の方に教区会で実情を伝えてもらいたい。

 確認事項として、@前年度繰越金処分の件。A施設維持積立金は預かり金として幼稚園に支出する件。B年度末剰余金は特別会計に繰り入れ件。以上を承認。
 その他として、募金委員会と建築委員会との関係について、両委員会から合同の意見が出ているので、次回教会委員会で諮りたい件のほか、婦人会から、リーストコイン(一番小さいお金)一円玉を廊下の瓶へ献金してもらいたい旨のアピールがあった。
 閉会祈祷、主の祈りを一同共に唱え、聖歌448番を心を一つにして歌い、午後3時過ぎに閉会した。

雑感

クレネ人シモン 南 寛

 午後3時過ぎ、予定より数分遅れて信徒総会は無事終了した。世間的にも滞りなく総会が終了したことは、現在の教会の活動方針が信徒に支持された証しであり、ありがたいことなのだが、素直に喜べない何かが心に残る。総会を迎えるにあたって、私には少しの怯えと期待があった。99年中に新礼拝堂を完成させると趣意書に記載されているが、今総会に建築計画が提案されなかったこと。昨年夏に外部献金用の趣意書ができていたにもかかわらず、幼稚園の現在の保護者とボーイスカウトスカウト以外には発送されず、外部献金全体の予測ができないため、正確な資金計画が提案されなかったこと。これらを指摘されたらどうしようという怯えである。 建築委員会も募金委員会も決して単にサボっていたわけではない。建築委員会は毎週のように開催され、募金委員も3000件近い外部献金用の名簿作成に追われていた。進め方のまずさは別として、皆精一杯努力してきた。そんな状況を斟酌して、喉元まで出ていた疑問を、押さえてくださった信徒の皆さんの気持ちは十分理解できる。しかし、もしこの件で紛糾していたら、建築委員会の意思決定方法や募金委員会の事務処理方法が改善されるかもしれない。そんな期待があったことも事実である。
 昨年、一昨年の議論を支えたものが解決したのか、それとも消失したのか、80通という委任状が教会委員会への信頼度を示しているのか、私には分からない。分かっているのは、教会委員、建築委員、募金委員を見捨てることはできても、礼拝堂を、教会を捨てることはできないということだけである。書記としては、議案どおりのに報告が大半で楽な仕事と喜んだが、月報に総会報告につづいて雑感を書かずにはいられなかった総会であった。


二月教会委員会報告

 2月1日午後一時から四時まで、二階集会室において、2月の定例教会委員会が開催され、主に次のようなことが話し合われました。
@各会、委員会からの報告
A浦地司祭の京都聖ステパノ教会管理牧師就任について
 4月1日付、教区の人事異動に伴い、浦地司祭の京都聖ステパノ教会管理牧師任命について、教区主教から諮問がありこれを了承した。一ケ月に一主日出向。その間、主日礼拝は原則として信徒で守ることにする。
B一月末会計の報告を受け承認した。
C受聖餐者総会資料の報告事項、予算案の確定、1998年度の目標と行事計画について協議した。
D建築委員会および募金委員会の委員の構成と今後の進め方について
 建築委員会と募金委員会を一つにして礼拝堂建築の業務に当たる方がよいという意見があり、その構成等について協議した。現在ある建築委員会および募金委員会で協議し、その意見を聞いた上で次回委員会で結論を出すことにした。

建築委員会報告

 建築委員会は現在、設計者の選定段階に入っています。先日皆様にもお知らせしましたような条件で、設計者を募集したところ、八社の立候補がありました。その中から慎重にかつ厳正に選定したいと思います。経過については追って細かく報告いたします。
 また、総会に向けての中間報告を発行いたしました。報告文中に記しましたとおり、信徒の皆さんと共に歩む建築委員会を目指しています。ご理解の上ご協力お願いします。

募金委員会報告

 募金委員会は、実質上の仕事(名簿の整理、外部趣意書の発送)等に大変手間取り、ようやく一連の外部趣意書の発送に漕ぎ着けました。2月27日には「お仕事会」をし、溜まっていた発送作業の目処をつけました。無駄な経費を削減するため、可能な範囲での趣意書の配達等を考えております。みなさまのご協力お願いいたします。


3月号次ページへ