タイからの祈り 〜 タイでの体験 〜

 今夏、勤務するプール学院高校生19名と私を含む引率2名で、タイへ「ボランティア・スタディーツアー」に行ってきました。ボランティアといっても、炊き出しやワークをするというのではなく、タイの東北部(イサーン)にスリンという町があるのですが、そこで経済的に貧しい家庭の児童・生徒たちと一緒に遊ぶというものでした。
 また、タイの文化や風土も学びたいと、現地の高校生や郊外にある村の小学生たちとの一日交流プログラムも行いました。本校の生徒たちは、初めての土地で不安と期待をもって彼らと対面したうようでしたが、タイの子どもたちの人懐っこい“笑顔”にすぐ打ち解け、ドッジボールや大なわ、いす取りゲームなどに夢中になっていました。たった一日を一緒にいただけなのですが、お別れの時には涙ぐむ生徒もいて、言葉は通じなくても心から仲良くなれたと思いました。
 一週間のツアーでしたが、生徒たちには良い経験ができたと思います。発展途上国ということで自分が抱いていたイメージと、実際訪問してみて随分と印象が変わった人もいたようです。
 もちろん、今回訪問したところがタイの全てはありません、バンコクに行くとまた違った一面を見ることになるでしょう。しかし、お互い文化も言葉も違っていても、心を開いて接することで互いに理解し合えるということを、生徒たちはそれぞれ学んだようでした。
 私自身が今回のツアーで印象的だったのは、行く先々で3月に発生した東日本大震災のことを聞かれ、心配して下さっていたということです。日曜日にはカトリックの聖餐式に出席したのですが、礼拝説教の中で神父さんが、「3月に日本で津波のニュースを知り、祈りを合わせました。そして映像で、困っている人のために働く人々のことを見てきました。自分も困っているのに、人を助けている人を見て心を打たれました」という話を聞き、私も心を動かされました。
 遠く離れたタイの、しかもバンコクから車で一日がかりの遠く離れた地方の人びとが、被災した人のことを思って祈っている……。私たち日本と関わりがある施設だから余計にかもしれませんが、知らない誰かも祈っている。この事実を実感し、私も被災者のためにもっともっと祈らなければいけない、そして世界に向けて更なる祈りを続けないといけないと思いました。
 ボランティアツアーということで、何か少しでも励ましになればと意気込んで行きましたが、今回も現地の方に励まされて戻ってきた次第です。  このような出会いを私たちにプレゼントして下さった神様に感謝いたします。                     

 プール学院中学校・高等学校 チャプレン
 尼崎聖ステパノ教会副牧師
 司祭 パウロ 井上進次