ハラスメント(日常生活の破綻につながる不当な言動)・虐待などの予防

と対応に関する規則

 

1   総  則

(目的)

この規則は、大阪教区の構成員が教区や教会の諸活動において、ハラスメントの予防に関する理解を深め、互いを思いやり、安心して参加し、より豊かな教会を形成すること及びハラスメントが起きた場合の対応と配慮を行うことを目的とする。

(用語の定義)

  この規則で「ハラスメント」とは、日常生活の破綻につながる不当な言動をいい、嫌

がらせ、暴力、虐待、いじめやDVなどを含む包括的な概念をいう。ハラスメントには

セクシャル・ハラスメント、モラル・ハラスメント、パワー・ハラスメントなどがある。

(1) セクシャル・ハラスメントとは、不適切な身体接触、性的虐待、性的ジョークなどで相手を不快にする性的な言動をいう。

(2) モラル・ハラスメントとは、精神的虐待あるいは嫌がらせのことで、態度や行動で相手の言動をそれとなく非難することから始まり、徐々に中傷・無視・冷たいまなざし・罵倒などの精神的暴力を行うことによって、相手の安心や自信、自由の感情を著しく減退させ、自分の思い通りに支配しようとする言動をいう。

(3) パワー・ハラスメントとは、指導的な立場にある者が相手に対して職務上の権限を用い、不適切で不当な言動により行う嫌がらせ行為をいう。

(4) DV(ドメスティック・バイオレンス)とは、配偶者・恋人からの心身に対する暴力をいう。

2 この規則で「牧会」とは、教区・教会の諸活動にその構成員が参加していく営みをいう。

3 この規則で牧会的配慮(パストラル・ケア)とは、教会生活において指導的な立場にある者の援助行為をいい、信仰者としての成長を促すものをいう。

(委員会の設置、名称)

     第1条記載の目的を達成するために委員会を設置し、その名称を牧会支援委員会(以下「委員会」という。)とする。

(小委員会の設置)

   委員会の目的を達成するために、委員会のもとに以下の小委員会を置くことができる。

(1) 相談窓口小委員会

(2) 調査小委員会 

(3) 調停小委員会 

2 相談窓口小委員会は、常設とする。

3 小委員会の設置、運営に関しては別途定める。

(事務所、監督)

 委員会を大阪教区事務所内に設置する。

 大阪教区主教(以下「主教」という。)は、教区の司牧者として委員会を監督する。

(対象)

     この規則は、大阪教区及び同教区が包括する教会の営みに参加している者を対象とする。

2 教区の関係施設に関しては、当該施設のハラスメントなどの予防、対応に関する方針に原則的に従う。ただし、相互の協力、連携が必要な場合は、状況に応じて柔軟に対応する。

(活動)

 委員会は、第1条の目的を達成するために以下の活動を行う。

(1) 教会がより豊かな共同体となるための必要な働きかけ

(2) ハラスメントに関する啓発活動

(3) 牧会相談など

 (4) ハラスメントが起きたときの関係者への対応と配慮

 (5) その他牧会支援に関する事項

 

  委員会、協力委員及び協力機関、団体

(委員会の組織構成)

委員会は、当該委員及び第4条第1項第1号に規定する相談窓口小委員会の委員をもって組織する。

 (委員長、副委員長、委員の任命)

委員会及び小委員会に、委員長及び副委員長各1名を置く。

2 主教は、常置委員会に諮り、委員会及び小委員会委員長、副委員長及び委員若干名を任命する。委員の任命に際しては、原則として、男女、年齢層が偏ることのないように配慮する。

10  (職務)

     委員会及び小委員会委員長は、当該委員会を代表し会務を統括、執行する。

2 委員会及び小委員会副委員長は、委員長を補佐し委員長に事故あるときは、その職務を代理する。

3 委員は会務を執行する。

11  (任期)

     委員会及び小委員会委員長、副委員長及び委員の任期は3年とし、再任を妨げない。

2 委員会及び小委員会委員長、副委員長及び委員が、任期途中で退任したときは、後任者の任期は前項にかかわらず前任者の残任期間とする。

3 委員会及び小委員会委員長、副委員長及び委員は、後任が任命されるまで任務を遂行する。

12  (相談員、協力委員)

    委員会は、牧会支援に関する専門的な助言や援助を必要とする場合は、相談員、協力委員を置くことができる。

2 相談員、協力委員は、法律、医療、福祉、教育などの専門的知識及び経験を有する者の中から、委員会が推挙し、常置委員会の承認を経て主教が委嘱する。 

3 委嘱に関しては、教区が別に定める。

13  (協力機関、団体)

委員会は、ハラスメントなどの防止に関する専門的な対応機関や、その知識を持つ団体に関する情報を収集するように努め、必要時には協力機関、団体と適宜連携する。

 

章  委員会及び小委員会の開催手続き、報告

14 (委員会の招集、開催)

   委員会及び小委員会は、それぞれ委員会及び小委員会の委員長が招集する。

15 (定足数、議決) 

    委員会及び小委員会は、委員総数の2分の1以上が出席しなければ、議事を開き議決することができない。

2  委員会及び小委員会の議事は、出席者の過半数で決する。ただし、賛否同数の場合は、委員長の決するところによる。

3 委員会及び小委員会の委員は一人につき1個の議決権を有する。

4 委員会及び小委員会においては、代理人をもって議決権を行使することはできない。

16 (報告)

   委員会は、小委員会の報告を含め、常置委員会及び定期教区会にその活動を報告しなければならない。

2 小委員会は、年1回以上、委員会にその活動の概要を報告しなければならない。

17  (守秘義務及び非公開)

委員会及び小委員会委員長、副委員長、委員、相談員及び協力委員並びに第2項に掲げる傍聴者は、個人のプライバシーに関して知り得た事項につき、守秘義務を負う。

2 委員会及び小委員会における相談、調査及び調停手続き並びに内容については、公開しない。ただし、委員会が相当と認める者の傍聴を許すことができる。

 

章  補償及び牧会的配慮(パストラル・ケア)

18 (補償の請求、対象)

被害者は、教区に対して、主教、司祭、執事及び聖職候補生、伝道師、信徒奉事者、常任の委員、主教が任命・委嘱した者並びにこれに準じる者(以下「聖職等」という。)の加害行為により身体的精神的被害を受けた場合は、教区が別に定める基準により治療費用等の補償を求めることができる。

2 被害者に対する教区の補償は、聖職等の加害行為が実証され、かつ、身体的、精神的被害を及ぼしたことが証明された場合に限り認められる。

3 第1項及び第2項に関する必要な事項は、細則で定める。

19 (補償請求権行使の期間)

    加害行為に因る補償請求権は、被害者叉はその法定代理人が被害及び加害者を知ったときから5年間行使しないときは、補償請求することができない。

20  (求償権)

     第18条により、教区が被害者に補償したときは、教区は、加害者に対して求償権を行使することができる。

21  (牧会的配慮の提供)

    委員会は、被害者、加害者及び関係者に対して、専門的な対応を含め、総合的な配慮に努めなければならない。

22  (加害者に対する対応)

委員会は、扱った事案について事実が判明し、加害者被害者の関係が明確になったときは、再発を防ぐため、加害者がリハビリ、休養、治療などの必要で専門的な対応を受けるよう努めなければならない

 

章  調  査

23  調査

委員会は、調査が必要なときは、調査小委員会を設けて実施し、もしくは外部機関に調査を依頼することができる。ただし、その結果が2週間をめどに得られるよう努めなければならない。

 

章  研  修

24  (研修)

    委員会は、第1条に掲げる目的のため、聖職等に対して研修を行う。

 

第 7 章 利用可能な外部機関の情報の提供

25  (情報提供)

    委員会は、教区の構成員に対して、ハラスメント・虐待などの予防、利用できる外部機関の情報を様々な手段を通じて提供しなければならない。

 

章  規則の改正

26 (規則の改正)

この規則は、教区会の承認を得て改正される。

 

章  施行細則

27 (施行細則)

     この規則の施行に関し必要な細則は、この規則に定めるもののほか委員会が起案し、常置委員会の協議を経たうえ、主教の承認を得るものとする。

 

附  則

この規則は、2012年11月23日から施行する。