| 《新刊紹介》 |
| ローラ・リン・マクべイン『カウンセラーの仕事』 |
| ―第10回ウイリアムズ主教記念基金講演録― |
| 立教学院は創立125周年を迎えた1999年に、ウイリアムズ主教記念基金によってカナダ、ブリテッシュ・コロンビア大学のローラ・リン・マクベイン博士(教育学)を招聘し、立教大学および日本各地で記念講演とワーク・ショップを開催した。この時のマクベイン博士による三つの講演、T「私は何故カウンセラーになったか?―カウンセラーとしての自分史―」、U「心理的苦悩の中にある人々への心理的支援」、V「女性への暴力:ドメスティック・バイオレンスでの被害者の認知と支援」、を一冊にまとめたのが本書である。 マクベイン博士は、職場における女性と男性のネットワーク、態度、行動、結果についての研究で1991年にブリティッシュ・コロンビア大学で教育学博士の学位を取得して、現在、コミュニケーション、自尊心、対人関係などの問題、女性問題、精神保健(情緒、精神などの障害、性的虐待、アルコール依存、薬物乱用、精神的外傷、精神閉塞、ストレスなど)の分野での著名な研究者であるとともに、カナダ西海岸のバンクーバー地域の家庭援助機関で援助プログラムの実際を担当している実務家でもある。 T「私は何故カウンセラーになったか?」において、自分史を語りながら精神的ケアの問題を社会的システムの中でケアしていくべきであるとする主張は、私たちに実に多くの示唆をあたえてくれる。恵まれていたとはいえない少女期。そして「家族、友人、先生たちからより高い教育を受けるように励まされたことは、私にとって幸いなことでした」として、薬学専攻から看護学学士コース入学、さらに臨床心理士修士課程へと進み、博士課程を終えて学位の取得までの努力の過程が語られていく。自己葛藤の中での聖公会の信仰との出会い、臨床心理士としての独立、そして現在携わる「共同体の生活の質に影響を及ぼす問題」への取り組み、自身の闘病体験と「癒し」の必要、家族・社会的支援のネットワークの意義などを語る“自分史”は、たんなる講演録の域を超えて感動的である。他の二編の講演記録とあわせて、わが国のこの分野での専門家・実務家はもとより、ひろく教育関係者が一読すべき内容にあふれた講演の記録といえる。A5判・本文(日本文・英文)160頁、ウイリアムズ主教記念基金委員会編集。 |
| (広報主事・鈴木 一) |