Ecumenical News International の記事から

ENI-01-0312
イスラエルに関する言葉を引用して、アメリカは人種差別に関する討議から退席

アレックス・ドゥヴァル・スミス
 9月5日、ダーバン(ENI)──(表向きはイスラエルを差別主義国と特定しようとする動きに反対しての)アメリカ合衆国の人種差別に関する世界会議からの退席という決断は、火曜日ダーバン会議の代表者や運営担当者から大きく非難された。

 月曜の夜に行われた南アフリカでの163カ国による一週間に及ぶ会議のアメリカ代表団の縮小という決断は、アメリカは大西洋横断奴隷貿易補償問題から注目をそらすために中東問題を利用したのだという意見に、ただちに見舞われることとなった。

 世界教会協議会(WCC)代表団長であるヴーメ・ドンダラ主教は次のように語った。「アメリカのように民主主義を誇っている国が、自分が少数者になると激しい議論を続けることが困難になってしまうことに絶望しました。このことは戦争に代えて「対話」をしようという理想を持っている若い民主主義諸国に対して恐るべきメッセージなのです」。

 提案されていたこの国連の会議の最終的な宣言に参与するNGO会議が起草した文書は多くの人々の間に鋭い反発を招くこととなった。最も大きな議論を呼んだNGOの文書は「人種差別主義国家」とイスラエルを呼び、パレスチナ人地域の占拠を非難するのに「民族虐殺行為」という言葉を使った部分であった。

 NGO会議に参加したWCCはヒューマンライト・ウオッチや国際アムネスティーなどの有名な組織を含めて、そのような言葉を使うことに距離をおいている団体の一つであった。スポークスマンであるボブ・スコット氏は次のように語った。「私たちはその文書に賛成したエキュメニカル作業部会に属していました。しかし、私たちはその文書のある特定の表現については留保しています」。

 金曜日までの残る会期に代表団を縮小するという立場を火曜日にアメリカが表明することから生じた混乱の中で、人権高等弁務官マリー・ロビンソン氏は、アメリカとイスラエルの退席は「残念である」が、「現在までダーバンで採択された文書は建設的なものです」と語った。

 アメリカの国務長官コリン・パウエル氏は月曜日、彼は「米国の代表団は帰国すると聞いた」と述べているのに対して、ロビンソン氏は火曜日、南アフリカのその町にあるアメリカの代表はオブザーバーではなく定員数の代表団として残っていると語っている。しかし、ワシントンD.C.からの政界の著名人の欠席によって、アフリカ系アメリカ人が自国政府を監視することが不可能になったことは明らかである。

 アメリカの先導に従って、世界ユダヤ人会議は火曜日、同機関が「イスラエルを特定し政治的な手段として反セム族主義を行使するのに抗議して」国連の会議を「退出する」と宣言した。

 同会議はただちに奴隷補償問題に転じ、アメリカや南米からの補償を求める人々によるいくつものデモが火曜日に行われた。